教室にもどると、柴くんはいなかった。しかたなく、三木くんに居場所を聞いてみる。
「柴くん、どこに行ったか知らない?」
「あいつなら、妹に呼ばれてどっか行ったよ」
「妹? あっ、そういえば。今年入学したんだったね」
「それなら、一年生の教室に行ってみようか」
また、一階におりた。でも、一年生の教室をのぞいても、柴くんは見えない。
てるてる坊主だけじゃなくて、柴くんまで消えちゃったの?
みんなで、あちこちさがしまわった。それでやっと、渡り廊下で見つけた。
紙袋をかかえた妹さんと向かい合って、なにか話しこんでいるみたいだった。
「あとにしたほうが、いいかな?」
「やっと見つけたんだぞ。今聞かないで、いつ聞くんだよ。おい、柴っ!」
ハレくんの声に、柴くんたちがふり返る。
「あ、天川! それに太陽まで。な、なんで、ここに……」
「ごめん、柴くん。今日の朝の、てるてる坊主のことで聞きたいことがあって──」
「お、おれは知らない! 真央、逃げるぞ」
とつぜん、妹さんの手をつかんで走り出した。
「え! 柴くん、どうしたの!?」
「今回は、ライの推理が当たってたってことだ。追いかけるぞ!」
ハレくんも、ほかのみんなも走り出す。わたしも、あわてて追いかける。
「柴! 逃げてもムダだぞ」
「ハレくん、そんな言い方だめだよ。柴くん、わたしたち、話を聞きたいだけなのっ!」
「だから、おれはなにも知らないって! 追いかけてくるな──」
「きゃあ!」
妹の真央ちゃんが、ころんだ。
柴くんはすぐに止まって、体を起こしてあげる。わたしたちも心配してかけよる。
「真央、だいじょうぶか!?」
「ケガしてない? ひざとかすりむいてない?」
真央ちゃんは泣きそうな顔で、首を横にふる。そして、つぶやいた。
「てるてる坊主が……」
落とした紙袋の中から、見覚えのあるてるてる坊主が飛び出していた。
「これって、わたしたちのクラスの……」
「やっぱり、とったのは柴だったんだな」
「ちがうよっ、お兄ちゃんじゃないよ。わたしだよっ」
真央ちゃんは、おこったように言う。わたしとハレくんたちはびっくりする。
「柴くん、どういうこと?」
「だから、それは……い、言えないっ」
柴くんは、気まずそうに顔をそらす。
今までのわたしだったら、「じゃあ、もう聞かないね」って帰ると思う。
だけど、ちゃんと解決するって決めたから。まだあきらめられない。
「柴くん。さっきも言ったけど、話を聞きたいだけなんだ。なにがあったのか、ちゃんと知りたい。だってわたし、柴くんのことを決めつけたくないから」
「天川……」
柴くんは、がくっとうなだれる。それから、ゆっくり口をひらいた。
「じ、じつは。一年生は、週末に、学校でお泊り会があったんだ。真央はそのときに、掲示板からとって、家に持ち帰ってきて……」
「とるの、たいへんだったよ。でも、ほうきで引っ張ったら、とれたよっ」
「そっか! だから、テープがやぶれてたんだね。……でも、どうしてとったの?」
「てるてる坊主に、お顔が描いてあったもん! 消さなくっちゃ」
えっ! 消す?!
あわてて、落ちているてるてる坊主をひろう。
「ほんとだ! か、顔が……どうして、消しちゃったの?」