わくわくいっぱい、つばさ文庫の新シリーズ! 超~優柔不断で自分になかなか自信がもてない5年生の女の子、天川空がある日突然、天気をあやつるチカラを手にいれた!? 勇気も自信もなかったけど、つよい意思で天気をあやつるために、はじめて自分で目標をたてて、やるって決めた! 個性豊かなお天気男子たちといっしょに、運動会を晴れにせよ!(公開期限:2026年8月31日(月)23:59まで)
11★仲間のために
バシャッ!
鳥居の下にある大きな水たまりをふんで、服がぬれちゃう。
でも気にしない。水たまりは、あっちこっちにあるもの。
この二日間、街ではずっと雨がつづいている。太陽はすっかりかくれて、空は不気味なくらい暗いまま。
悪天蝶のせいだよ。しかも天気だけじゃなくて、アメくんまで……。
アメくんはたおれてから、ずっと寝込んでいる。
今日、学校にいる間も心配で、帰りの会が終わってすぐに校舎を飛び出した。
神社に着くと、まっすぐ、アメくんが寝ている部屋に向かう。
「アメくん!」
部屋のまん中で、ふとんの中にいるアメくん。その周りを、ハレくんたちと、夜雲さんがかこんでいる。
「夜雲さん。アメくんはどう?」
「それが、まだ熱があるんだ」
そっと、アメくんの顔の横にすわる。枕元にお見舞いの花束をおいた。
「アメくんに元気になってほしくて、きれいな花を持ってきたよ。蘭ちゃんから、もらってきたの。ほら、アメくん見て……」
アメくんは、なにも答えてくれない。目を閉じたまま、苦しそうに息をしているだけ。いつも白いほおは、まだ赤く火照っている。
「ねえ、夜雲さん。病院は? 注射とかお薬とか──」
「それはだめだ」
ライくんが、しずかに声を上げる。
「元は神さまの俺たちの体に、薬や注射をくわえたら、よけい悪くなるかもしれない。今はそれ以外で熱を下げる方法をためして、様子を見るしかない」
「そんな……原因は、分からないの?」
「天気の神さまは本来、それぞれの天気にものすごく強いんだ。ハレなら、どれだけ暑くてもバテない。アメなら、どれだけ雨にぬれてもカゼをひいたりしない。だけど今は力を失って、悪天蝶の天気に弱ってしまう体になったのかもしれない」
じゃあ、わたしのせいだ。わたしが、鈴をこわして、力をとっちゃったから……。
「夜雲さん、看病かわるよ。わたし、治るまで、ずっとアメくんのそばにいる」
「空には、べつにやることがあるだろ。特訓をつづけるぞ」
ハレくんが立ち上がる。
「こんなときに? アメくんを、放っておけないよ」
「アメは、空がここで張りついてたって、よろこばない。じぶんが心配されるのを、だれよりもいやがるから。そのくせ、周りの心配ばっかりする」
「そうそう! アメメの口ぐせあるじゃん。〝ぼくはだいじょうぶ、みんなは?〟じぶんのほうがしんどくても、ぜったいそう言うしさ」
「じぶん以外のだれかのためだったら、一番無茶をするからな」
フウくんとライくんも、口をそろえて言う。
「オレたちが暗い顔してかこんでいるより、がんばっているほうが、アメは元気になる」
ハレくんは、自信まんまんに言う。
たしかに、わたしがこまった顔をしていたら、アメくんも同じ顔をするんだよね。
アメくんは、やさしくほほ笑んでいる顔が一番似合うのに。
「アメくんは、ぼくがちゃんと看病するよ。空ちゃんは心配しないで、がんばって」
夜雲さんが、やさしく気づかってくれる。
わたしはうなずいて、立ち上がった。
「ありがとう、夜雲さん。ハレくんの言うとおり、わたしは特訓をがんばるよ。それで、今日はなにをするの?」
「空は、熱くなる心を見つけられた。そして、その心もだんだん強くなってきた。だから今日から、晴れの儀式の練習をする」
「儀式……さいしょに、雨をふらせたときみたいな?」
「あのときは、印も小さくて、雨も空の周囲しかふらせられなかった。それでも、悪天蝶を封印できた。でも今回は、悪天蝶が三匹もいる。もっと大きな印を描いて、儀式を成功させなくちゃいけない……校庭全体に印を描いて、その中に悪天蝶とこの大雨を封印するんだ」
「校庭全体……」
「巨大な晴れをつくるんだ。やれるよな、空」
「うん!」