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大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」先行ためし読み連載 第10回

 おさいせん箱の前で、ハレくんは晴れの印を地面に描く。

「まずは、少しずつの範囲から晴れにしよう。よし、できた。入っていいぞ」

 マンホールくらいの大きさの印の中に、ひょいっと飛びこむ。

「さいしょに、頭の中で、空が晴れている様子をイメージするんだ。てるてる坊主の事件を、解決したときみたいな」

「分かった」

 手を合わせて、目を閉じる。そして、あのときのきれいな空を思いうかべる。

「つぎに、どうして晴れにしたいのか、心のなかで言うんだ」

 どうして晴れにしたいのか……。

 深沢先ぱいの願いをかなえたいから。中島先ぱいと、最高の思い出をつくってほしい。

 真央ちゃんにもお願いされたから。おばあちゃんと初めての運動会、たのしんでほしい。

 足元と手のひらの印が、赤色に光りだす。

 わたしも、借り人競争で一位をとりたいから。ハレくんたちとがんばってきたこと、運動会で証明したい。

 そして、アメくんを助けたいから。アメくんの笑った顔が見たい……!

 印の光が、ぶわっと大きくなる。

「なかなか、いいな。じゃあ、こうとなえろ。〝空よ、晴れろ──〟」

 小さく、息を吸いこむ。

「空よ、晴れろ──」

 はじめは、なにも起こってない気がして不安になった。でもしばらくして、気づく。

 雨の音が、聞こえなくなった……?

「あっ!!」

 目を開けて、おどろく。

 わたしの周りの雨つぶが、空中でぴたっと止まっている。

「なにこれ。魔法みたい!」

「感動してないで、息とめてろよ」

「えっ? 息って……うわっ」

 止まっていた雨つぶが集まって、一つの大きなうずになる。そして一気に、足元の印の中に吸いこまれていく。

 わたしはしばらく、水の世界に閉じこめられて息ができない。

「ぷはっ! はあ、はあ、はあ……」

 うずはきれいに消えて、やっと息ができる。ぬれた顔をぬぐって、空を見た。

 黒い雲のすきまから、太陽の光がまっすぐわたしに向かっていた。

 まるで、光のトンネルみたい。

「晴れた……」

 ザアアアアアアアアアアア!

「うわっ! また雨がふってきた!」

 太陽が雲にかくれちゃった!

「集中を切らしたからだっ。太陽が完全に出てくるまで、油断するな」

「ごめん。つい、うれしくなっちゃって」

「まったく。もう一度、だいじなことを言うからな。よく聞けよ。まず……」

 ハレくんはこしに手を当てながら、儀式でやっちゃいけないことを説明する。

 天気を晴れにするって、こんなにたいへんなことなんだ。

 でも、ハレくんは、お願いされるたびにがんばってきて……。

「ハレくん、ありがとう」

 ポロッと、気持ちが言葉に出た。

「な、なんだよ急に」

「晴れにするって、すごくがんばらなきゃいけないんだなあって。だから、すごく、ありがとうって言いたい気持ちになったの」

「あっ、あー……。えっと……」

 なぜか、ハレくんがしどろもどろになっちゃう。

「だ、だから油断するなって言ってるだろっ。いいから、特訓つづけるぞ!」

「えっ? あ、はい!」

 また手を合わせて、集中する。

 みんな、まっててね。わたし、ぜったいに成功させるから。


第11回へつづく


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323736

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