
人気上昇中の新シリーズ「放課後チェンジ」が無料で読める! ドキッとしたら動物に変身!?
4人の力を合わせて事件解決!
まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は仲良しの4人組。中1のゴールデンウイーク、フシギな指輪を見つけたことで、なんと、動物に変身しちゃった!!!
猫や犬の運動能力、タカの飛ぶ力が使える!
でも……指輪が指から外れない!!!
「放課後チェンジ 第1巻」を、ためし読みしてね!
※これまでのお話はコチラから
5 透明犬と鬼ごっこ⁉
「みんな、巻きこんじゃってごめんね」
田舎から帰る電車の中で、わたしは改めて、三人に頭を下げた。
「ほんとになー。おわびにボスバーガーの新作シェイク一年分、まなみのおごりってことで」
「一年分⁉ 尊さん、そんな殺生(せっしょう)な……」
「だいたいおまえは警戒心なさすぎんだよ。そんなあやしい声にホイホイしたがってさ……」
「うう……じゃあ尊は声が聞こえてもムシする? 箱を見つけても開けない?」
わたしが聞くと、尊は胸をはってキッパリと。
「絶っっ対、開ける」
おいコラ!
「開けるんじゃん!」
「だって気になるだろ。オレは警戒するけど、その上で好奇心を優先する」
「やることは同じだから! えらそうに言える立場じゃないからね⁉」
「まあ、事故みたいなものだし、起きてしまったことを悔やんでもどうしようもないよ」
とりなすようにそう言ったのは若葉ちゃん。うう、いつもフォローありがとう。
「同感。俺たちはヒミツがバレたら人生が終わるかもしれない、運命共同体だ。仲間うちで言いあったところで、マイナス効果しかないだろう」
行成も、いつもながら冷静にコメントする。行成って、普段は口数少ないけど、必要な時は大人みたいな言葉でしっかり意見を言うんだよね。
「でも、不思議な声が聞こえたのがまなみ、ってのは意外だな。こういうのは若葉がするどいだろ」
行成の指摘に、たしかに、と一同、うなずきあった。
繊細でよく気がまわる若葉ちゃんは、どうも霊感も強いようで。
子どものころからときどき、わたしたちには感じられないものを感じることがあったんだ。
いちばん印象に残ってるのは、小五の林間学校。
ホテルに着いたとたん、青ざめた若葉ちゃんいわく。
『なにかイヤな感じがする』
で、自由行動の時に地元の人に聞いたら、むかし、ホテルの裏手の森で、オーナーと従業員の心中事件があったんだって。
他にも若葉ちゃんが変だっていう場所では、過去に事故とか、いわくつきのことがあって……なのに今回、指輪に呼ばれた(?)のは、どうしてわたしだったんだろう?
「若葉だったら開けてくれないと思ったんじゃね?」
「一理ある」
「意のままにあやつれそうだと選ばれたのが、まなみだったわけだ」
「そんな、人を単純みたいに!」
「見るからに単純でバカだろ。チョロそう」
「けちょんけちょんに言いすぎじゃない⁉」
「素直なのは、まなみのいいところだよね」
「若葉ちゃん、好きー!」
となりにすわってた若葉ちゃんに、思わず抱きついた。
「そういえば、白い光に包まれる直前、すっごいイヤな感じがしたでしょ? 若葉ちゃんの霊感が働く時って、あんな感じなの?」
わたしの質問に、若葉ちゃんは顔をくもらせた。
「そうだね……でも、あの蔵の時は、今まで感じたことないくらい、強くて不気味で冷たい感じがした。周りの空気が急に重くなって、凍りついたような錯覚があって……すぐに白い光に包まれて気を失って、起きた時にはイヤな気配は消えてたけど」
「そんなに⁉」
若葉ちゃんは、あの時の不思議な気配にも、わたしたちよりビンカンに反応してたんだ。
「じゃあ、やっぱりこの指輪は呪(のろ)われた指輪……?」
「わからない。でも今、私たちの指輪から、イヤな感じは全然しないよ」
駅に着いたのは、もう日が沈みかけの時間帯だった。
お手洗いに行った若葉ちゃんと行成を駅前で待っていたら、不意に、にゃあ、と声がした。
見ると丸っこい体のミケ猫が!
道ばたにすわりこんで、ぺろぺろと自分の体をなめて毛づくろいをしてる。
うーん、かわいい。かわいいねえ。
そばで見たい、なでなでしたい……という気持ちがわきおこったけど。
白い影が頭の中をさっとよぎって、わたしはミケ猫から目線を引きはがした。
「もふらないのか?」
「いいよ。あ、見て、この自販機! めずらしいジュースがある」
尊にそっけなく答えて、話題を変えた。
――わたしは、猫に近づいちゃいけないから。
でも、こんなわたしが猫に変身する体質になっちゃうなんて、みょうな話だな……。