人気急上昇 第1位の「放課後チェンジ」。
人気うなぎ登りの第4巻が発売前に59ページもためし読みできちゃう!
この巻から読んでもおもしろい!
女子も男子も大笑い、ドキドキハラハラのお話を今すぐチェック!
まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は動物に変身できる!
4人は学校の大イベント、二泊三日の林間学校へ出発!
牧場では若葉がハムスターレースに参加したり、キャンプ場では、おかしなカレーを作ったり、キザ男子の登場、肝試(きもだめ)し、オリエンテーリングなど、大笑いのハプニングが連続!!!
『放課後チェンジ 林間学校で永遠の誓いを!?』
(藤並みなと・作 こよせ・絵)
2月12日発売予定!
プロローグ ――若葉(わかば)――
「すごい! 若葉ちゃん、ほぼオール5⁉」
教室にひびいたむじゃきな声に、まわりの視線が集まるのを感じて、かあっとほおが熱くなった。
私、水沢(みずさわ)若葉は、注目されるのが苦手だ。
中一の一学期の最後の日。
帰りのホームルームは終わったけど、まだ、クラスメートの半分くらいは教室に残っている。
「まなみ、声のボリュームを落として」
私がたのむと、一つ前の席で横向きに座って、くりっとした目で私の通知表を見つめていた幼な
じみは、「ごめん」と肩をすくめた。
「オール5には遠いよ、美術と家庭科は3だし」
ほんとは絵も料理もからっきしだから、テストでばん回してやっとの3だし。
「いやいやいやいや」
私の言葉に、大きく首をふるまなみ。同時に、左右の三つ編(あ)みもふるふるゆれる。
「その二つ以外は全部5でしょ。めっちゃすごいって! わたし、体育だけは5だったけど――」
まなみは右手の中指に巻かれたバンソーコーにさわりながら、「それもこれの力だし」と小声でつけくわえた。
バンソーコーの下には、指輪(ゆびわ)がはまっている。まなみと私とあと二人の幼なじみでおそろいの、ドキッとすると動物に変身する、ミラクル・リング。
変身しなくても、動物の能力を使うことができて、足の速さやジャンプ力、瞬発力(しゅんぱつりょく)などの運動神経が大はばにアップするし、夜目がきいたり、動物の言葉がわかるようになったりするんだ。
「あとは2か3ばっかりだし。はあ~。お先まっくらだ……」
どよーんと頭をかかえてるけど、私の親友、斉賀(さいが)まなみの長所は、通知表じゃわからないところにいっぱいある。
まっすぐで正義感が強いところ、素直でやさしいところ、おしゃべりが上手(じょうず)で人なつっこいところ、大らかで明るいところ、表情ゆたかで、とくに笑顔がすっごくかわいいところ……。
「落ちこまなくていいよ。まなみは性格がオール5だから」
本心から伝えながら頭をなでると、まなみは瞳(ひとみ)をうるうるさせながら、私の手をとった。
「若葉ちゃん……!」
「あいかわらず、若葉はまなみにゲキあまだな」
あきれたような声が聞こえて、右側を見ると、すぐ横の廊下(ろうか)のまどから明るい髪色の活発そうな男子が顔をのぞかせていた。幼なじみの神崎尊(かんざきたける)だ。
「オール5はないだろ。食い意地1、ねぼすけ1、おっちょこちょい1」
「ひどっ。尊だって口の悪さ1、謙虚さ1,デリカシー1でしょ!」
からかう尊に、すかさず言いかえすまなみ。
尊もスポーツ万能で行動力があって、社交的で料理上手で超ポジティブで……いいところがいっぱいあるけど、まなみにはすぐひねくれたことを言ってしまう。
バカだなあと思うけど、まなみも負けずに反撃(はんげき)するし、尊のこういう不器用なところはちょっとかわいいとも思う。
私は今の関係が心地いいから、尊には当分アマノジャクのままでいてほしいかな。
「で、まなみはひどい成績とって、凹(へこ)んでたのか?」
「そうだよ。でも尊だって社会と英語は赤点ギリギリだったでしょ」
「オレはいかに最低限の勉強で赤点を回避するかを目指してるからな。ギリギリであればあるだけ、むしろハイスコアなんだ」
「何そのマイルール」
「仮にオール1でも、オレが最高なことに変わりないし」
「ほんとどこからわいてくるの、その無限の自信」
「とりあえず自己肯定感(じここうていかん)は5、いや10だね……」
胸をはる尊にまなみと二人でツッコんでいたら、「それよりほら、これ」と尊が何かを見せてきた。
それは5、5、5、5、5……紙面に5しか存在しない、正真正銘(しょうしんしょうめい)オール5の通知表。
「おお……!」
「なんか、美しいね」
「インパクトあるよな」
「尊、つくえに置いてたものを勝手に持っていくな」
ざわつく私たちのところにまゆをひそめながらやってきたのは、背の高い理知的(りちてき)なフンイキの男子。
幼なじみの最後の一人、今鷹行成(いまたかゆきなり)。
「だって行成、先輩(せんぱい)に呼ばれていつもどるかわかんなかったし。こんなレアもの、早く見せびらかしたいじゃん」
「レアだよね~、なんかご利益(りえき)ありそう! おがめば成績アップするかな⁉」
「俺(おれ)の通知表はパワースポットか」
「今鷹くん、頂点(ちょうてん)をきわめた、今のお気持ちは?」
私がインタビューするみたいに手をにぎってエアーマイクを向けると、行成はかすかに笑みをうかべて、答えた。
「勉強したかいあった。プロスタでもスマファイでも若葉にかなわない分、こっちでは負けられないからな」
プロスタはリズムゲームで、スマファイは格闘(かくとう)ゲーム。頭脳明晰(ずのうめいせき)でいつもクールな行成だけど、すごく負けずぎらいなんだ。でも、ゲームと学校の成績を並べる?
私はゲームが大好きだけど、ママからはいつも、「ゲームする時間があれば勉強しなさい」って言われるし、プロにでもならないかぎりゲームはただの遊びでしょ?
でも行成の中じゃ、どっちも同じくらい価値があるみたい。茶道の家元の跡(あと)とりで、なんでもできちゃうエリートなのに、ときどきちょっと変わってるんだよね。
私は思わずほおをゆるめながら、言う。
「じゃあ今日の放課後はスマファイでリベンジマッチしようか」
「おてやわらかに」
「ハンデもらわないと若葉とは勝負にならないもんなー。行成、先輩はなんの用だったんだ?」
「生徒会に入らないかって、さそわれた。断ったけどな。チーム(ア)が最優先だし」
私たちのはめた指輪は、動物の力を使えるけど、同時にいくつか欠点がある。
その一、指輪がどうしても外せない。
その二、ドキッとすると、変身したくなくても変身してしまう。(変身するには体力がいるから、つかれているときは変身しないんだけど)
その三、動物の悪霊(あくりょう)を呼びよせてしまう……。
だけど、その悪霊を昇天(しょうてん)――天国におくる力も持っていて、たくさんの悪霊を昇天させることで、指輪を外せるようになるんだって。
そういうわけで、私たち四人は、悪霊が起こす事件を解決するためのチームを結成した。
それが、チーム(ア)。アにマルでアニマルって意味をこっそり表してるんだ。
犬のするどい鼻や、猫のよく聞こえる耳、ハムスターの身軽さ、タカの飛行能力など……それぞれの動物の力を活かしつつ、四人で協力して、ピンチを乗りこえてきた。
「うちのブレーンの優秀(ゆうしゅう)さは、先輩にも広まってるんだね」
「いいなー、わたしにも5を二つくらい分けてほしい……これじゃゼッタイお母さんに怒られる」
「しけた顔すんなって。明日から林間学校だぜ」
「そうだった!」
しゅんとしてたまなみは、尊の言葉にパッと顔をかがやかせた。
「二泊三日で、牧場にキャンプに肝試(きもだめ)し! 楽しみ~」
林間学校……まなみはうれしそうだけど、私は幼なじみ以外の人たちと長時間いっしょに過ごすなんて、少しユーウツ。
しかも、明日はちょうどゲーム『ドリーム・クエスト』シリーズの最新作の発売日なんだ。
ずっと楽しみにしてたのに、初日にプレイできないなんて、残念すぎる……。
「天気予報は晴れだったし、高原だからすずしいんだって! 自然がいっぱいで、星がキレイに見えるステキな場所らしいよ。二日目の夜はバーベキューとキャンプファイヤーもあるんだよね」
ニコニコしながら、声をはずませるまなみ。
「若葉ちゃんと同じ班になれたし、最高! あー、早く明日にならないかな~。あっ、でもその前にちゃんと行きと帰りのバスで食べるおかしを、別のふくろに分けておかなきゃ」
「まなみのことだから、うっかり食べすぎてハラこわしたらこまるもんな」
「ちがいますー。行きで全部食べちゃったら、帰りが悲しいからだよ」
「やっぱり食べすぎるんじゃねーか」
「まなみの辞書に〈理性(りせい)〉という文字はないのか」
「あるから、あらかじめ分けておこうとしてるんだよ!」
「うんうん、ちゃんと計画できてえらいね」
私がほめるとまなみは、「でしょ?」と満面の笑みをうかべる。
「林間学校、思い出いっぱい作ろうね!」
「ふふっ、そうだね」
あんまりまなみがはしゃいでいるから、私も気分が前向きになって、自然と笑顔になっていた。
――じっさい思い出はものすごくいっぱい、できた。ただし、予想もしなかった方向で。
とにかくハプニング続きの上に、とんでもない悪霊まで現れて……。
色んな意味でドキドキしっぱなしの、忘れられない林間学校になったんだ――。