人気急上昇 第1位の「放課後チェンジ」。
人気うなぎ登りの第4巻が発売前に59ページもためし読みできちゃう!
この巻から読んでもおもしろい!
女子も男子も大笑い、ドキドキハラハラのお話を今すぐチェック!
まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は動物に変身できる!
4人は学校の大イベント、二泊三日の林間学校へ出発!
牧場では若葉がハムスターレースに参加したり、キャンプ場では、おかしなカレーを作ったり、キザ男子の登場、肝試(きもだめ)し、オリエンテーリングなど、大笑いのハプニングが連続!!!
『放課後チェンジ 林間学校で永遠の誓いを!?』
(藤並みなと・作 こよせ・絵)
2月12日発売予定!
※これまでのお話はコチラから
2 牧場でアニマル・コミュニケーション
窓の外が都会の景色から、だんだん緑が多くなっていって。
やがて、完全に山道になって――
「わ、すずしい~!」
バスからおりた瞬間(しゅんかん)、乗りこんだ時よりあきらかに気温が下がっているのがわかった。
この星見里(ほしみさと)地方は高原地帯で、夏でも最高気温が三十度を超えることはほとんどないんだって。
わーい、快適(かいてき)、快適♪
「なんとか……たえきったわ……水沢さん、あなたは命の恩人よ……」
「そんな大げさな。酔(よ)い止めがきいてよかったね」
最初はバタバタしたけど、若葉ちゃんが持ってきてた酔い止めを飲んでからは、希望(のぞみ)ちゃんもだいぶ楽になったみたい。
ふうっとため息をはきながらおりてきた希望ちゃんに、安心したようにほほ笑む若葉ちゃん。
丘を見わたせる場所からは、広大な緑の牧場と、その向こうにたたずむ雄大な山々が一望できた。大きくひらけた青空に、力強い入道雲がもくもくと浮かんでいる。
うわあ、開放感がすごい! 空気も澄(す)んでて、気持ちいい~。
まずは入り口のすぐそばにある建物で、お昼ごはん。
真ん中がふくらんだ変わった形のなべで、ジンギスカンというヒツジの焼き肉を食べた。
お肉だけでなく、野菜もシャキシャキでおいしくて、大盛りご飯をおかわりしちゃった!
おなかいっぱいになったら、ここからは班行動で、自由に牧場見学。
「まずはヒツジ牧場から回ろうか」
パンフレットを見ながら3班のメンバーで話していたら、
「やあ、ここにいたのか、水沢さん」
またあのキザすぎる男子が近づいてきた!?
右手を不自然に首の後ろに当ててるけど、バスで寝ちがえたのかな?
「ボクは君の騎士(ナイト)、万里小路夜斗(まりこうじないと)……どんな時も君を守れるよう、林間学校の間はいっしょに回らせてもらうよ」
えっ、いやだな。
「か、勝手に決められてもこまるよ。それに班行動でしょ? 万里小路くんの班の人たちはどうするの?」
若葉ちゃんがうろたえながら言うと、万里小路くんは、「気にしないで」と甘い笑顔で、
「愛の前には、どんなルールも無力だ」
「いやダメでしょ!」
思わずツッコんだけど、万里小路くんはスルーして、若葉ちゃんの肩に手を置いた!
「つねにまわりを気づかう優しさも君の魅力(みりょく)だけど、もっと自分の気持ちに正直に生きるべきだ。ボクが君を新しい世界へ解放してあげる。さあ、行こう」
「ちょっと、はなして……」
何この人!?
「やめなよ、万里小路くん!」
「やめろよ、万里小路!」
わたしのはりあげた声が、だれかとピッタリ重なった。
尊(たける)?
走ってきた尊は万里小路くんの腕をつかんで、若葉ちゃんから引きはなす。
「若葉はずっといやがってるだろ。いいかげんにしろよ」
尊がにらみつけてそう言うと、万里小路くんはすうっと青ざめて、「クッ……」と顔をしかめながら逃げるように去っていった。
「だいじょうぶか、若葉? 班長会の時からしつこいよな、あいつ」
万里小路くんの後ろ姿を見ながら、ため息をもらす尊。そっか、尊も班長だったっけ。
「今も若葉に近づくのが見えて、ヤバそうって思ったら案の定(じょう)だ」
「うん……ありがとう、尊。まなみも、ありがとう」
「ううん。ぜんぜん人の話を聞かない人だね……でも、尊にはなんかおびえてた?」
「万里小路は、体育のサッカーで尊のけったボールを顔面に受けて、鼻血を出したことがあるんだ」
尊の後から、同じ班らしき男子たちを連れて追いついた行成が、淡々(たんたん)と説明する。
「ねらったわけじゃねーぞ。ちゃんと謝ったし」
「あの事故以来、尊のことが苦手みたいだな。尊が近くにいれば寄ってこないだろうから、それぞれの班のメンバーがいやじゃなければ、しばらくいっしょに行動するか?」
行成の提案に、「えっ」と海妃(みき)ちゃんと彩音(あやね)ちゃんが息をのむ。
「ありがとう。でも、そこまでは――」
「いいじゃん、水沢さん。お願いしようよ」
「うん、いっしょに行こう!」
エンリョする若葉ちゃんをさえぎって、二人はこころよく賛成してくれた。
希望ちゃんはどうかな、と視線を向けると、「私は影……好きにしてちょうだい」とのこと。
尊の班の男子たちもオーケーとのことで、林間学校の間はなるべく二つの班でいっしょに回ることになった。
「わあ、いっぱいいるね~。ヒツジが一ぴき、ヒツジが二ひき……」
「寝る前か」
ヒツジ牧場で思わず声をあげたら、すかさず尊にツッコまれた。
「でも正直、ヒツジ数えてねむれたことあるか?」
「ヒツジを数えるのは、『ねむる』を意味する『Sleep』(スリープ)とヒツジを意味する『Sheep』(シープ)の音が似ていることから生まれたという説がある。もともと英語圏の文化だから、日本語だとあまり効果はないと思う」
行成の説明に、なるほど~とみんなで感心する。
わたしたちが柵(さく)の中に入っても、ヒツジたちは人になれてるみたいで、逃げるようなそぶりはない。のんびりと草を食べて、口をもぐもぐさせている……和(なご)むなあ。
「もこもこだ~」
毛の中に手をしずませて、やわらかいけど厚みのある感しょくを楽しんでいたら、
『今日の夕方には毛刈りされることになってるから、今のうちにたっぷり味わってね』
ヒツジさんから話しかけられた! 指輪をしてると、動物の言葉がわかるんだ。
「のびた毛を刈られるって、ヒツジさん的にはどう?」
『そろそろサッパリしたかったから、ちょうどいいわ』
「髪型変えるみたいに言うね!? 大たんなイメチェン的な?」
『というより、長いと熱がこもるしね。刈(か)られた後は体のラインが丸見えになっちゃうから、少し照(て)れるけど……』
「たしかに、夏に毛皮(ムートン)を着つづけるのはキツイよなー」
「野生のヒツジとちがって、家畜化されたヒツジは自然と毛が生えかわることはないというからな」
「へー……箱入り娘ならぬ柵(さく)入り娘だから、ちゃんとお世話しないとダメなんだね」
ふと、若葉ちゃんと希望ちゃんがキョリを置いているのに気づいた。
「二人とも、ヒツジさんさわらないの?」
わたしがたずねると、希望ちゃんはどんよりとしながら、
「ケモノはきらいよ……」
「そ、そっか……若葉ちゃんは?」
「えーと……あとで話すね」
次のヤギ牧場へと移動を始めると、若葉ちゃんはフクザツそうな表情でこっそり教えてくれた。
「さっきジンギスカン……ヒツジを食べたばっかりだったから、気まずくて」
ハッ、たしかに……!
それに気づいたら、わたしもヒツジさんと目を合わせられなかったかも。
その後、ヤギ牧場で「やぎさんゆうびん」の歌を口ずさんでいたら、
『ボクらはそこまでバカじゃない! ヒボーチューショーはやめてくれ』
と、ヤギさんから怒られたり。
ちちしぼりの時は牛さんから、
『もっと上よ。そう、そこを包みこむようにギュッとにぎって?』
と、直々にしぼり方を教えてもらって、わかりやすかったけど少し気はずかしかったり。
馬小屋ではお馬さんから、
『桶(おけ)が遠くて水が飲みにくいから、ちょっとこっちによせてくれない?』
と、たのまれて言うとおりにした行成が、お礼に顔をベロンとなめられたり。
(わたしだったらビックリして変身してたと思う!)
いろんな動物とふれ合いながらおしゃべりもできて、楽しかった。
いっぱい歩きまわったので、売店でソフトクリームをゲットして、一休み。
「ん~~、最っっ高!」
なめらかで深みのある、新鮮(しんせん)なミルクの味が口いっぱいに広がって、もう感動。
牧場のソフトクリームって、本当に本当においしい!
とれたてのミルクから作るだけでなく、広々としたこの景色の中で食べるから、なおさらおいしいのかな……。
「まなみ、たれてる!」
「わわっ、ヤバい」
のんびりしてたら、ソフトクリームがとけてきちゃった!
コーンのふちからだけでなく下からもたれてきて、あわてて下をかじったら、あとはそこから全部食べるしかなくなって、一気にほおばるハメに。
「あ~、手がべとべと……」
「ソフトクリームの最大の欠点はこれだね……はい、使って」
苦笑いしながら、若葉ちゃんがリュックからウェットティッシュを出してわたしてくれた。
あいかわらず用意がいいなあ。
「この後はどうしようか?」
「もう少ししたら、ハムスターレースってのがあるんだって」
「その前にちょっとそこのお土産屋(みやげや)さんも見たいなー」
海妃ちゃんと彩音ちゃんの言葉で、まずお土産屋さん、その後、小動物ハウスというところを見てから、ハムスターレースを見物することにする。
お土産屋さんにはヨーグルトやチーズ、ハムなどの食べ物の他に、ぬいぐるみや雑貨なども売られていた。
その一角に、『星アイテム特集』というボードが立てられて、星形のおかしや星形チャーム付きの文房具、キーホルダーなどがたくさん集められていた。
ボードの下の方には彩音ちゃんたちから聞いたとおり、『星神里(ほしがみさと)伝説』についての説明も書かれている。
――「軽いノリでわたせば、気づかずに受けとってくれないかな~、神崎くん」
うーん、そんなやり方は無効(むこう)……だと思うけど、万が一のこともあるし……。
「尊、行成、こっちこっち。これ、知ってた?」
少しはなれたところでお土産を見ていた二人を呼んで、ボードを見せながらたずねると、二人とも初耳だったみたい。
「星形のものをうっかり受けとって、知らないうちに永遠(とわ)の愛を誓っちゃわないように気をつけてね」
わたしが念のために忠告すると、「はあ?」と尊はあきれたような声を出した。
「くっだらねー。こんな話、本気で信じるなよ」
「わ、わたしだって百パーセント信じてるわけじゃないけど、もしもの時のために親切で教えてあげたんだよ!」
「もしももないだろ、バカバカしい」
「『星神里』という別名があるのは本当らしいが、伝説はおそらくカップル向けに作られた観光プロモーションだろう」
「ゆ、行成、そんな……夢も希望もない……」
とことん現実主義者(リアリスト)な男子たちにバッサリ切りすてられて、肩を落としていたら、「ドンマイ」と若葉ちゃんが背中をポンポンしてくれた。
「まなみ、あっちで飲むヨーグルトの試飲をやってるから、行かない?」
「わー、行く行く」
――飲むヨーグルトもフレッシュでおいしい! と舌つづみを打つわたしの横で、若葉ちゃんはキョロキョロしている。
「どうしたの?」
「佐原(さはら)さんと北山(きたやま)さんが見当たらなくて……トイレかな?」
その後、一通りお土産屋さんをまわって、他のメンバーは全員出口にそろっても、まだあの二人は行方不明。
「トイレを見てくるね」
と、若葉ちゃんが言ったところで、「ごめんねー」「化粧室がこんでて」と二人が走ってきた。
「大変だったね。でも次からは、はなれる時は一声かけてもらえるかな?」
若葉ちゃんがお願いすると、二人は一拍(いっぱく)空けてから、うなずいた。
「オッケー」
「わかったー」
つづく 第3回は、1月23日公開予定!
書籍情報
2月12日発売予定!
シリーズ1、2、3巻ためし読み公開中★
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