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ものがたり

『放課後チェンジ 世界を救う? 最強チーム結成!』スペシャルためし読み 第4回 最高? →最悪だ~~


人気上昇中の新シリーズ「放課後チェンジ」が無料で読める! ドキッとしたら動物に変身!?
4人の力を合わせて事件解決!


まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は仲良しの4人組。中1のゴールデンウイーク、フシギな指輪を見つけたことで、なんと、動物に変身しちゃった!!!
猫や犬の運動能力、タカの飛ぶ力が使える!
でも……指輪が指から外れない!!!

「放課後チェンジ 第1巻」を、ためし読みしてね!

※これまでのお話はコチラから

 

4 最高? →最悪だ~~

 
 お昼のメニューは、そうめんと天ぷら。

 どれもめっちゃおいしい……んだけど、おいしすぎて。

 夢の中でここまではっきり味がするのって、おかしくない??

「まなみ、エビいらないならもらうぞ」

「へっ……バカバカ、いるにきまってるでしょ、このたわけ者!」

 ひょいっと尊がわたしのお皿のエビ天をつまみあげたから、あわてておはしでくい止める。

「もし次こんなことしたら一生口きかないし全身全霊(ぜんれい)でたたって子々孫々(ししそんそん)までエビ天食べるたびに、おなかがぴーぴーになる呪(のろ)いをかけるから! 絶対絶対ゆるさないから!」

「わ、悪かったよ……」

 わたしたちのやりとりを見て、おばあちゃんがクスクスと笑った。

「もう今日でみんなが帰っちゃうと思うと、さびしいねえ」

「わたしもだよ、おばあちゃん。あと100日はここにいたい!」

「ご招待ありがとうございました。とっても楽しかったです」

 若葉ちゃんが礼儀正しくそう言うと、おばあちゃんは「よかった」と目を細めた。

「今年のゴールデンウィークはどうしようかしらと考えていたら、ちょうど写真が落ちてきてね。ほら、この写真」

 おばあちゃんが指をさしたのは、壁(かべ)にはってある、今より小さい時のわたしたち四人の写真。

「前にみんなで遊びにきた時、撮ったやつだね」

「そうそう。これを見て、久しぶりにまなみちゃんたちを呼ぼうって思ったのよ」

「へえ、すごいタイミング……」


 ごちそうさまをして、お皿を台所に運ぶ。

 後片付けは子どもだけでやって、おばあちゃんには居間でゆっくりしてもらうことにした。

 まだ、覚めない……この夢、長すぎない?

 いくらなんでも、おかしい。だけど、夢じゃないなら……。

 もんもんとしていたら、手がすべって、ガチャーン! お皿を落としてしまった。

「あっ、しまった――っ」

 あわててお皿の破片(はへん)に手をのばした瞬間、ピッと指先にシゲキが走る。

 みるみる指先から血がにじんで、じんじんと、〈痛み〉が広がった。

「まなみ、ケガしちゃったの⁉ だいじょうぶ?」

「痛い……これ、やっぱり夢じゃない! 夢じゃないよ……!」

 夢の中でケガしても、こんな痛みは感じない。

 ――現実だ。

 はっきり思い知ると同時に、パニックになった。

「どうしようどうしようどうしよう……」

 とっさに立ちあがっておろおろしていたら、急にカクンとひざの力がぬける。

 破片が散った床の上に、座りこみそうになったところで。

 グッと力強い腕に支えられた。

「あぶなっ……落ちつけ、まなみ!」

 すぐ至近距離から、尊が真剣な眼差しで、顔をのぞきこむ。

 明かりが尊の背中にかくれて、少し暗くなった視界にせまる、ととのった顔立ち。

 まっすぐ見つめる表情が、きょうだいみたいに育った尊じゃない、なんだか知らない男の子みたいに見えて、ドキッ、と心臓がはねた、瞬間。

 ボン!

「「「「⁉」」」」

 あぜんとした様子でこちらを見つめてくる三人を、見あげながら。

「……もしかして、またわたし、猫になった?」 

 尊の腕にすっぽりおさまった状態でおそるおそるたずねると、三人は神妙(しんみょう)にコクリとうなずいた。

「どどどどうしよう~⁉ 夢じゃなかった~!」

「しーっ、さわぐとばーちゃんに聞こえる! オレもいいかげん、おかしいって思ってた!」

「えーとえーと、どうしよう……と、とりあえず、まなみのケガの手当てをしようか。私、カバンにバンソーコーあるから」

「……あと、皿は片づけた方がいいな。そこにあるホウキとちりとり、使っていいか?」

 行成がササッとそうじする間に、青ざめた若葉ちゃんがこっそりカバンを取りにいく。

「まなみ、あったよ。応急処置だけど……」

 そう言いながら若葉ちゃんが、台所にもどってきたところで。

 ポトッと天井から、若葉ちゃんの肩に小さな何かが落ちてきた。クモ⁉

「キャー!」

「うわっ⁉」

 クモが大キライな若葉ちゃんが悲鳴を上げて、その声に尊がビクッとした直後。

 ボン! ボン! と二人の体も立てつづけに、ハムスターと犬に変身する。

「うにゃあ⁉」

 尊に抱かれていたわたしも、ぽふっと黒柴の上に着地した。もう、なにがなんだかだよ~!

「おまえら、声をおさえろって……!」

 行成ははあっとため息をもらすと、テーブルの上に置かれていたチラシでクモをすくいあげて、窓から外に逃がした。

「「「ごめんなさい……」」」


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