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知る・まなぶ

どっちが強い!? 記憶の島 第4話-30


 その時、また後ろから足音が近づいてきた。今度は一頭だけじゃない。君はふり返って「あっ!」とさけんだ。
 森からさまざまな動物たちが走り出てきた。動物たちは重機にへばりつくと、力を合わせて重機をおし出した。
「みんな、タスケル、アリガトウ!」
 ターゼンがニカッとわらって、また「それー!」と重機をおす。君もシェリーもソフィーも力をこめた。重機は片側の地面にめりこんだ。それ以上は動きそうにない。
「このすきにみんなでにげたほうが…」
 君が言った時、重機のボディに大きなかげが落ちた。重機のアームのかげか?
「いや、これって…」
 君たちはふり向いて、そして言葉を失った。そこにいたのは、ジャイアントモア…ではない、巨大な走鳥類――。
「エピオルニスだ!」



 ジェイクがこうふんしてさけんだ。エピオルニスは、体重が800kg以上と言われる史上最重の巨大鳥だ。いかれるエピオルニスは少し下がると、木の幹のような太い足でとどめのキックを重機にくらわせた!
 ズドン!! 今まで聞いたことのないような重くひびく破壊音。操縦席のディエゴが真っ青になって何かさけんでいるが、マイクが入っていないらしい。重機はとどめのいちげきにたえられず、ぐらぁっ…とくぼみのほうへかたむいた。
 操縦席のまどをたたいているディエゴのすがたが、くぼみの底へ向かって小さくなっていった。
「あ。ディエゴ、まどを開いて出られたみたいよ。悪運が強いわね」
 シェリーがその光景を見下ろし、冷ややかに言った。
「よくあんなはげしい落ち方しているのに出られたな」
 ジェイクも言葉を続けて、急に緊張がぬけてププッと笑った。
 ドゴオオオン!!



「!?」
 笑ったのもつかの間、一瞬赤い光に照らされて、おくれて爆風が――。
「重機が中央塔につっこんだ!」
 君は目を丸くした。塔にぶつかったあと、はげしくもえ上がっている。たしかあれは地熱発電所…。
「あそこが爆発したらヤバイんじゃ!?」
 ジェイクがことの重大さに気づいた。
「でも、そうかんたんには、こわれないんじゃないかな…」
 シェリーがおずおずと言ったその時、細かな地ひびきが始まり、やがて島に異変が――。

▶第5話に続く


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