
君たちは森にそうように草原を進んでいった。なだらかな丘にガゼルの群れが見えた。
「アナライザーの故障じゃなかった。あれはアカガゼル。絶滅種よ。それにコーカサスバイソン…」
シェリーがアナライザーをあちこちに向けて調べている。
「あれ? あのバイソンこっちを見てないか?」
君はシェリーが『コーカサスバイソン』と教えてくれた、見るからに大きな体の草食獣を気にかけた。
「特に用心深い性格で、人を見るとにげるらしいんだけど…」
アナライザーを見ながらシェリーが答える。十頭ほどの小さな群れから少しはなれたコーカサスバイソンの近くに、子どものバイソンがいるのが分かった。その子バイソンは横になっているが、どこか具合でも悪いのだろうか? 親のバイソンは子の周りでソワソワと落ち着かない動きをしている。