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つばさ文庫小説賞《大賞》受賞・吹井乃菜さんの新シリーズが読める!
超一流プロの頭脳が手に入る極秘(ごくひ)アプリで、芽衣と大地が大事件を解決する!
誘拐事件に巻きこまれて、危機からの大脱出! ドキドキの物語が始まる!
(全5回・毎週火曜更新予定♪)
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・夏沢芽衣(なつざわ めい) 小6
得意なものも才能もないけど、勇気は――ある!
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・速水大地(はやみ だいち) 小6
クールに見えて、やさしい!?
運動神経がバツグン!
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『プロ✕プロ』
超一流プロの頭脳と技が手に入る極秘アプリ!
ただし、3時間だけ!?
吹井乃菜さんの新シリーズをどこよりも早くヨメルバで大公開!
『超一流インストール プロの力で大事件解決!?』は2024年1月11日発売予定です! お楽しみに♪
第4回 取りあつかいは要注意⚠️
「天才ですよ! 今までこの才能、なぜかくしていたのでしょう?」
だれかがさわいでいる声で、目を覚ました。
気がつくと、あたしは、自分の部屋のベッドの上にいた。
この声は――担任の青山先生の声だ。
1階の玄関のあたりから聞こえてくる。
学校で寝てしまったあたしを、家まで送ってきてくれたのかもしれない。
それにしても、なんであんなに興奮して話してるんだろう?
「テストの採点をしていて、驚いていたところだったんです。芽衣(めい)さんが今日、テスト用紙の裏に書いていた、この数式! 数学の最も難解(なんかい)な証明問題、世界中の数学者が何百年も解けなかった難問についての式なんです!」
「先生、何かのまちがいですよ。たまたまどこかで見て、でたらめに書いていただけじゃないですか?」
あせっているようなママの声も聞こえてきた。
「いいえ、でたらめではありえないんです! 芽衣さん、今までも算数が苦手なフリをしていただけだったのでは? もちろん、テストのほうも満点でしたし――」
「とんでもない! うちの子は、全然、普通の子ですよ! すみません、先生。わざわざ送ってきてくださって、本当にありがとうございました。では、また明日、学校で!」
先生は、まだ何かわあわあ言っていたけど、やがて、玄関のドアがバタンと閉まる音がした。
その直後。
ドスドスドス、と、階段を上ってくる荒々(あらあら)しい足音がして、
「めーーーーーーいーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!」
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鬼のような顔をしたママが、部屋に飛びこんできた。
「ヒィッ!」
思わず頭から布団をかぶったけれど、あっけなく引きはがされる。
「あんたって子は! 極秘の発明品を勝手に持ちだしただけじゃなく、それをテストに使うなんて! 言語道断よ!!」
「ご、ごめんなさいごめんなさい!」
学校でのあたしの悪事、全部バレちゃったらしい。
「まあまあ、香織(かおり)さん。落ちついて」
後から入ってきたパパが、ママをなだめてくれた。
縮こまっているあたしに、パパは言った。
「わかってるね、芽衣。ズルをして百点とったって、何の意味もないんだよ。ちゃんと自分で勉強して身につけないと、結局、困るのは芽衣自身なんだよ」
「……はい」
あたしはうなだれた。パパの言ってることが全面的に正しい。
「……ホントに、ごめんなさい。反省してる」
しょんぼりしているあたしを見て、ママは大きなため息をついた。
「使ってみたいって気持ちはわかるわよ。あなたって、昔から好奇心が強いものね。だけど、これからはママの許可なく勝手に使っちゃだめ。もちろん、絶対にテストや宿題に使ったりしないこと。約束できる?」
「わかった。約束する」
一瞬だけ天才の気分を味わえたのは気持ちよかったけど、こんなに後味の悪い思いをするのはもうゴメンだ。
「それに、芽衣、二回も続けて使ったのね。算数と、家庭科で。大ちゃんから聞いたわよ」
「うん」
「だから、ぶったおれちゃったのよ。とんでもない量の情報が脳内にインストールされるんだから、連続して使ったりしたら、容量オーバーになっちゃうの。脳細胞(のうさいぼう)が、一気にフル回転したみたいなものね」
「そうなんだ……」
それで、急に眠くなっちゃったのかな。
「プログラムを書き直さなきゃ。連続で使えちゃうのは危険だわ。一日に一回しか使えないようにしておかないと……」
ママは、ブツブツ言いながら、部屋を出ていった。
次回、第5回「許せないこと」は1月9日公開予定です♪
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目次と人物紹介のページを先行公開!
【書誌情報】
つばさ小説賞《大賞》受賞作家の新作! 超一流プロになって大事件を解決!
芽衣はふつうの小6で、大地はスポーツも得意な人気者! 二人は誘拐事件に巻きこまれてしまうが、超一流プロの頭脳が手に入る極秘アプリ『プロプロ』で大事件を解決する! つばさ小説賞《大賞》受賞作家の新作!