角川つばさ文庫の伝説級シリーズがウルトラパワーアップして帰ってきた! 白石ゆの19歳! 今度は角丸書店で伝説の雑誌『パーティー』を復活させちゃいます!? 出版社でもドタバタ大活躍(?)の予感、笑ってトキメク最強ラブコメ☆
プロローグ
お久しぶりです! 白石(しらいし)ゆのです。みんなーっ、元気にしてる?
あたしの方は、色々なことがありまして……。
なななんと、高校を卒業したあたしは、御年19歳でゴザイマス!(ひょえー!)
時間の経過って、本当に速いよね!
ん? 今も雑誌の『パーティー』作ってるかって?
じ……実はあたし、あることがあって、ずっと夢だった編集者をあきらめたんだ。
そんなあたしが、今度は角丸書店(かどまるしょてん)で編集長として本物の『パーティー』を作ることになるなんて。
人生って、本当にわからない!
晴れてお付き合いすることになった王子(おうじ)とも色々あって、あんなだし……。
これは、中学生編集者だったあたしの、編集者人生第2章。
コホンッ。それじゃあ、いっちょ、いってみよー!
1 伝説の編集者、あらわる!?
「なあ。あのうわさ、聞いた? ほら、例の雑誌の話」
「聞いた! あの伝説の雑誌『パーティー』がうちで復刊するらしいって話だろ」
ここは出版社・角丸書店で雑誌を扱っている第三編集局。
となりの席の編集者にたずねられた男性は、興奮したように声をはずませる。
「『パーティー』って、かつて角丸書店で大ヒットした伝説の雑誌でしょ? しかも突然の廃刊のあと、中学生たちが復活したから、業界でも有名になったんだよね」
そう言ってから女性は声のトーンを落としながら、言葉を続ける。
「なんて言ったって、うちで『パーティー』を立ち上げた上層部からじきじきのお声がけだったんでしょ?」
「そう! その伝説の編集者が今日うちに来るらしいよ」
「マジで!?」
「……まさかその子たちが雑誌を復刊させるってこと?」
カッカッカッという、軽快なヒールの音が止まった。
「失礼します。第三編集局はこちらでよろしいでしょうか?」
「君はもしかして……あの『パーティー』を作った」
指をさされると、とびきりの笑顔で「ええ」とうなずく。
「紫村(しむら)カレンです。どうぞよろしく」
紫村カレンは、学生時代は『パーティー』編集部にとってはライバルでもある、新聞部の部員だった。
「なっ、めちゃくちゃカワイイんだけど!」
「当然です」
「へ?」
「コホン。なんでもないです。そんなぁ、とんでもないです」
カレンはねこなで声を出して、まわりをけむにまく。
「ああ。紫村さん、よく来てくれたわね」
そう声をかけてきたのは小春(こはる)さん。
『パーティー』を作っていた時にお世話になった角丸書店の雑誌『ニコルル』の編集さんだ。
「くわしい話をしたいから会議室まで来てもらえるかしら?」
「もちろんです。それではみなさん、失礼します」
ジャスミンの香りを残し、紫村カレンは編集部をあとにするのだった。
「久しぶり。あなたのウワサは聞いているよ」
「ウワサなんてとんでもない。SNSで美容系の発信をしていたらぐうぜんバズっただけです」
「確信犯的にやったんでしょ」
「ふふふ。バレちゃいましたか」
ペロッと舌を出した。
「小春さんは今も『ニコルル』を作っていらっしゃるんですか?」
「今は編集からは離れて、営業部にいるの」
「そうなんですか!?」
「編集者じゃないけど、雑誌に関わる仕事っていうのは変わらないからよろしくね」
「はいっ」
「さっそく本題に入るけど……、メールでも伝えた通り、『パーティー』の復刊をあなたたちに任せたいと思ってるの。この企画は、角丸書店としても大事な企画。絶対に失敗は許されない」
カレンは真顔でうなずいた。
「でも、そんな大事な雑誌を、学生のあたしたちが作っていいんでしょうか?」
カレンがそうたずねると、小春さんはスマイルを浮かべる。
「あなたたちに作らせてみたらどうだって意見が出てね。思いきってお願いしてみようって流れになったの。それよりもゆのちゃんは元気?」
ゆのの名前を出され、カレンは無意識に眉をひそめる。
「この企画はね。学生時代に『パーティー』を復活させた、白石ゆのが編集長じゃなければいけないの。本当に問題ない?」
「──大丈夫です」
「本当に? ゆのちゃん、もう編集者はやめたって言ってたけど」
「まあ。あれだけのことをやらかしましたから」
そう言ってから、カレンは「でも」と言葉を続ける。
「やめません。あたしは、ゆのが1回の挫折で簡単に編集者をあきらめないって信じてます」
「ゆのちゃんは良い友達を持ったわね。それじゃあ、社内でも共有させてもらうわね」
「はい。お願いします」
カレンはそう言うと、深々と頭を下げたのだった。