わたしたちの班は、順調にスタンプカードをうめていく。
三希ちゃんも花桜梨ちゃんも、クイズを解くために、自然と言葉を交わせるようになってきていいかんじ。
半分以上のスタンプを集めて、こんどはお花ドームにやって来た。
「――サルビアとバーベナ、マリーゴールドとジニア。まちがえやすい花として有名ですが、みなさんには、本物のサルビアとマリーゴールドを、このお花ドームで見つけて、写真を撮ってきてもらいます。よく似たお花とまちがえないように、気をつけてね」
先生は、二台のデジタルカメラをわたしてくれる。
「二人ずつ分かれようぜ。おれは、サルビアのほうが見つけやすい」
「あたしも。柴、いっしょに行こう」
花桜梨ちゃんが柴くんをさそったから、わたしと三希ちゃんがペアになる。
二人で、マリーゴールド系の花が咲いているエリアに向かった。
「うわ~、どの色もかわいい。いっぱい咲いているけど、がんばって見つけようね」
三希ちゃんに声をかける。でも三希ちゃんは、しょんぼりした顔で、だまってお花を見つめているだけ。
そのかなしそうな姿が、フウくんとライくんと重なる。
わたしはたまらず、口をひらいた。
「三希ちゃん、聞いてもいいかな。どうして、花桜梨ちゃんと話さなくなったの……?」
「へっ? あっ、それは……」
三希ちゃんが、口をもごもごさせる。
「あっ、ごめん。ムリに教えてくれなくても、だいじょうぶだから」
「べ、べつにいいけど。ちょっと、だれかに聞いてほしかったし……」
三希ちゃんはむねに手を当てて、長めに息を吐く。
「まずうちが、花桜梨のだいじなものをこわしちゃって……」
「そうなんだ。じゃあ、そのことで、花桜梨ちゃんがおこってるの?」
「それが分かんなくて、ケンカになったの」
三希ちゃんは、ちょっとだけ、ほおをふくらませる。
「花桜梨はさいしょ、気にしないでって笑ってたの。でも、態度がどんどんそっけなくなって。うちが、おこってるんだったらはっきり言ってよって言ったら、花桜梨は、おこってない、しつこいって言い返したの。それにうちが、しつこいのはそっちじゃんって言い返しちゃって……。そんなふうに言い合いしてたら、こんなことになったの」
うーん、ますますフウくんとライくんに似てる。あの二人は言い合いはしてないけど。
「うちはただ、花桜梨がどう思ってるか知りたくて。ちゃんと話して、仲直りしたいんだけど」
「それならだいじょうぶだよ。花桜梨ちゃんもそう思ってるよ」
「そうかな。さっき、すぐに柴くんとペア組んで、うちをさけた気がしたけど……」
「そんなことないよ。クイズをしている間に、二人ともけっこう話せてる気がする。マリーゴールドを見つけて正解したら、もっと話せると思うよっ」
わたしは、全力ではげました。
三希ちゃんはちょっと考えたあと、うんってうなずいた。
「じゃあ、うちら、がんばらなくちゃだね」
わたしたちは、一生けん命に本物のマリーゴールドをさがした。そのうち、これじゃないかなっていうのが見つかって、写真を撮る。
先生のところにもどる途中で、柴くんたちと出くわした。
「天川たちも、見つかった? 先生のとこ行くまでに、見せ合おうぜ」
おたがい、撮った写真を見せ合う。
花桜梨ちゃんが、わたしたちの写真を見て、「あれ?」って首をかしげた。
「これ、ちがうよ。マリーゴールドって、もっと葉っぱがギザギザしてるんじゃなかった?」
あっ、ほんとうだ。本物だと思ったんだけどなあ。
「でも、先生に見せる前でよかった。ねっ、三希ちゃ……」
「なんで、花桜梨に言われなくちゃいけないの? べつに、花とかくわしくないくせに」
あ、あれ? 三希ちゃん? なんでそんな、ムキになって……。
「うちと天川さん、一生けん命さがしたのに……」
「それは分かってるよ。でも、クイズに正解しなくちゃ意味ないでしょ」
「だから、言い方! なんでそんな、そっけない言い方するの?」
えっ、えっ? ついさっきまで、仲直りできそうなかんじだったのに。
「もういい。やっぱり、花桜梨とはむり。一回ケンカしたら、もう終わりだから!」
三希ちゃんが、くるっと反対の方向を向く。
「気分悪いから帰る!」
「え! で、でもまだ……」
「……あたしも、頭痛くなってきた。ちょっと休んでくる」
「花桜梨ちゃんも⁈ まって、二人とも……」
仲直りするはずが、二人ともいなくなっちゃった。あわわわ~!
「おいおい! どうするんだよ、これ」
柴くんも、すっかりこまってる。
「お、追いかけよう! わたしは三希ちゃんを、柴くんは花桜梨ちゃんを……」
「空!」
ハレくんが、こっちに向かって走ってくるのが見えた。
「ハレくん、どうし……」
「はやく、こっちに来い!」
ぎゅっと手をつかんで、引っ張られる。
「ふえっ⁈ なに急に?」
「おい、太陽! 天川をどこに連れて行く気だよ?」
「柴か。お前には関係ない」
「関係あるわ! 同じ班で、ただでさえみんなバラバラなんだよっ」
「こっちは、命にかかわる問題なんだよ。じゃあーな!」
「いや、まって! ハレくん……」
「お前もつべこべ言うな。行くぞ!」
こんなの、ほぼ誘拐だよ~! わ、わたしの班が~~!
第6回へつづく(1月6日10時に公開予定♪)
書籍情報
- 【定価】
- 858円(本体780円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046324009