人気大ばくはつ!つばさ文庫の新シリーズ2巻めが1月7日(水)に発売予定! ひとあし先にためし読みしちゃおう☆ 超~優柔不断で自分になかなか自信がもてない5年生の女の子、天川空がある日突然、天気をあやつるチカラを手にいれた!? 天気の神さまの代わりに、お天気神社にきた天気の願いを叶えるしごとをはじめたけど――肝心の願い事を聞き逃しちゃった! 明日からの林間学校、このままだと神さま失格で地獄行き!?(公開期限:2026年3月31日(火)23:59まで)
5★ちぐはぐなスタート
「うわ~。だんだんみどりがふえてきたよ。空、晴れてよかったね!」
いよいよ始まった、林間学校。
バスでとなりにすわる莉子ちゃんが、窓の外を見ながらはしゃいだ声をあげる。
「ちょっと霧が出てるけど、だいじょうぶだよね」
「そうだねー」
「泊まる施設の近くには、湖もあるんだって。空、いっしょに見に行こう」
「そうだねー」
「ねえ。さっきから、なにきょろきょろしてるの?」
「そうだねー」
「ぜんぜん人の話聞いてない……空っ」
パッとふり返る。莉子ちゃんは目を細めて、こっちを見ていた。
「ご、ごめんっ」
あわてて、通路にかたむけていた体を起こす。
やっぱり、そばに莉子ちゃんがいて、お願いした子を調べるのはむずかしいよ~。
きのうの七夕まつりでは、見つけられなかった。時間が足りなかったり、おまつりに来てない子もいたりして、ライくんノートの候補者全員に聞けなかったし。
だから、きのうからつづいて、みんなで手分けして聞きこみ中。
わたしは、お花や植物が大好きな蘭ちゃんに確認したいけど、ほかの子とおしゃべりしていて、なかなかタイミングがつかめない。
「空。朝会ったときから、ずっと落ちついてないよね。なにかあったの?」
「ううんっ、なんにもないよ。あっ、そうだ。わたし、莉子ちゃんの好きな抹茶味のチョコ持ってきたんだ~」
蘭ちゃんには、トイレ休けいでバスを降りたときに聞こう。しかたないよね、莉子ちゃんにあやしまれたくないし。
ほんとうは、莉子ちゃんにだけは、お天気の神さまのことを話したいんだけど……。
夜雲さんに、「事情を知らない人間に正体がバレたら、なにが起こるか分からない。おたがい、あぶない目にあうかもしれないから、言わないほうがいい」って、止められてるんだよね。
たしかに、話してもだいじょうぶって自信がないよ。
おばあちゃんの手紙のこととか、アメくんから聞いた誓いの話とか、お天気の神さまは、まだまだなぞがありそうだし……。
安全だって分かるまで、莉子ちゃんには言えない。あぶない目なんかに、ぜったいあわせたくないもん。
「あたしも、空の好きなチョコチップクッキー持ってきたんだ。交換しよう」
「やった~」
それに、せっかくの林間学校だもん。今だけでも、たのしい時間を過ごしておきたいし。
「空、なにのんきにお菓子食べてんだっ」
ひょこっと、後ろの席からハレくんが顔を出す。
「ちゃんと、だれが神社に願いに来たか調べてるのか? のんびりしてると、オレたち地獄――んごっ!」
「ハレくんも、チョコどうぞ! おいしいよ~」
あわてて、ハレくんの口の中にチョコを放りこんだ。
もお~、一番聞かれちゃいけないワードを言っちゃうなんて。
莉子ちゃんも、大きくまばたきしている。
「太陽くん、今ヘンなこと言わなかった? じ……」
「人生で、一番たのしみにしてたって! ハレくん、すっごく林間学校が好きだから! ねっ? そう言いたかったんだよね?」
わたしは、無理やりごまかした。
ハレくんが、ウソをつけない性格なのは分かってるけど、ちょっとは気をつけてほしいよ。
はあ。やっぱり、ぜんぜん気は抜けないみたい……。