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ものがたり

大人気の新シリーズ2巻め!「お天気係におねがい!(2) 霧につつまれた林間学校」先行ためし読み連載 第5回

「まさか、林間学校の班まで、天川と同じになるとはなあ」

 スタンプラリーが始まって、班ごとに動き出してすぐだった。クラスメイトの柴界人くんが、青い帽子をいじりながら言った。

 班決めは、完全くじ引きだったから、わたしもびっくりしたよ。

「クラスもなんだかんだ、一年からずっと同じだし。おれたちくらいじゃね?」

「そうかもねえ」

 柴くんは、男子のリーダー的存在で、ちょっと苦手だった。

 でも、運動会を晴れにするお願いをかなえる中で、てるてる坊主が消えちゃう事件が起きたときに話を聞いて、変わった。

 わたしと同じ気持ち――悪いことをしたわけじゃないのに、つい、周りのみんなの反応をこわがっちゃう気持ち――柴くんも持ってるって知れたんだ。

 おかげで今は、気軽に話せるようになったの。

「来年も同じクラスだったらおもしろいよな!」

「もう来年の話? でも、そうだね! そうなったら、自慢できるね!」

 はあ~、すごく平和だよ~。お外でおしゃべりするのって、教室とちがっていいね~。

 ほわ~としていると、目の前に黒い蝶が飛んできた。

「はっ! 悪天蝶!」

「なに?」

 木の葉っぱにとまった蝶を、柴くんはまじまじと見つめる。

「この蝶、あくてんちょうって言うのか? 天川、くわしいんだな」

「えっ。あっ、たぶんちがう。見まちがいだったみたい。ハハハ……」

 つい、蝶を見たら反応しちゃった。自然がいっぱいだから、いろんな蝶が飛んでるんだよね。

 でも、本物の悪天蝶なら、昼間でもかがやくくらい光ってるはず。

 のんびりしてる場合じゃないね。神社にお願いしに来た子を、さがさないと!

「ねえ、柴くん。聞きたいことがあるんだけど。きのう、お天気神社に来てない?」

「お天気神社? ああ、天川の家の。行ってないけど、なんで?」

「えっと。神社に、落とし物があって。同じ五年生の子の物っぽかったから」

 とっさに、ごまかした。でも、こういう聞き方をすれば、不審に思われないかも。

 同じ班のほかの二人にも、声をかける。

「ねえ、三希ちゃん、花桜梨ちゃん。聞いてもいいかな?」

 学校の情報通で、おしゃれな月島三希ちゃん。

 バスケクラブにいて、背の高いクールな田所花桜梨ちゃん。

 二人は見た目も性格も真反対なのに、すっごく仲がいい大親友で有名なんだ。

「きのう二人で、うちのお天気神社に来たりしてない? じつは、落とし物があって……」

「あたしは行ってない」

 先に、花桜梨ちゃんが答える。

「三希のことは知らないけど」

「うちだって、行ってないし。なに? 気になるの?」

「べつに。天川さんの質問に答えただけじゃん」

「ちょっと! そういう言い方が、ムカつくんだけど」

 あれ? 二人は、大親友のはず……。

「ほんと、もう話しかけないでよね!」

「話しかけてきたのは、そっちじゃん。もういいや。さっさとスタンプ集めて、終わらせよう。一番近い、アスレチック広場からでいいよね」

「それ、うちが言おうと思ってたし! 天川さん、柴くん、行くよ!」

 ふんって、二人はそっぽを向きながら歩き出す。

「ったくさー。マジでこまるよなあ」

 柴くんがこしに手を当てながら、ため息をつく。

「柴くん、知ってるの? 二人、なにかあったの?」

「天川、知んないの? あいつら最近、大ゲンカして、ずっと口きいてないんだって。みんな、コソコソ話してたじゃん」

 え~! 大の仲良しで有名な二人が、ケンカ~?!

「なんでケンカしちゃったの? 最近って、いつの話?」

「そこまで知らねーよ。でもみんな、びっくりしてる」

 二人もケンカかあ。どうしよう。

 間に入ったほうがいいかな? でも、余計なお世話かもしれないし。

 でもでも、同じ班のメンバーなのに、知らんぷりするのは……。

 ああ~。お願いの依頼人もさがさなくちゃいけないのに、集中できないよ~。

 そうこうしているうちに、第一ポイントのアスレチック広場に着いちゃった。

「今回のクイズ・スタンプラリーでは、花や植物のスタンプを集めてもらいます。なので、クイズも、花や植物に関することです。では第一問、わたしはなんの花?」

 先生が、クイズが書かれたフリップを出す。

「わたしは、夏の花で、みんなもよーく見たことがあります。そして英語で、モーニンググローリーと言います。わたしは、なんの花でしょうか?」

 えっ、英語⁈ わたし、分かんないよ。

 柴くんも花桜梨ちゃんも、むずかしい顔をしてる……。

「答えは朝顔でしょ。モーニングは朝、グローリーはかがやき。朝にかがやく花は、朝顔じゃん」

 三希ちゃんがスラスラ答えて、先生が「正解です」ってにっこり笑う。

「わあ~、すごい! 三希ちゃんがいてくれて、よかった~」

「お、大げさだし……」

「そんなことないよ。ねっ、柴くん。花桜梨ちゃん」

「まあ、助かったわ。最初からつまずかなくて」

「……そうだね。ありがと」

 花桜梨ちゃんは、つぶやくように言った。三希ちゃんは照れて、顔が赤くなる。

「べ、べつに! 塾で英語を勉強してるだけだし……もう、次行くよ!」

 んー。三希ちゃんも花桜梨ちゃんも、ほんとうはお話ししたいんじゃないかなあ。

 二人なら、このままスタンプを集めながら、仲直りできるかもしれない!


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