ライくんの口調が、ぐっと重くなる。
「これは俺の想像だが……。もしかすると、悪天蝶をあやつっている裏の人物も、この林間学校に来ているかもしれない。だから、気をつけろ」
ライくんの言葉に、みんながおどろく。神社でも、そんなこと言ってたけど……。
「どうして、そんなふうに思うの?」
「もう一度、よく考えてみたんだ。俺たちが、なんの天気の願いをかなえればいいか分からなくて、こまっている原因について」
ライくんが、ぎゅっと目を細める。
「まず、空たちが願いを聞き逃したからだが……。俺には、ふしぎなんだ。三人がそろって、急にねむくなるなんてことが、ぐう然に起きるだろうか」
「あっ。それは、おれも思ったよ」
フウくんが、こくこくっとうなずく。
「神さまのしごとめっちゃがんばってるそらりん、太陽がのぼってる間は超元気なハレハレ、しっかりしてるアメメ。この三人が、留守番中に、居眠りしちゃうとかありえないなあって」
フウくん、さりげなくほめてくれた……。
でもたしかに、ふしぎだったんだよね。今まで、あんなふうに、いきなりねむくなるなんてことなかったし。
「三人に共通しているのは、きのう、悪天蝶に遭遇しているという点だ。前に、悪天蝶の大雨――悪天粉のせいで、アメは高熱を出して寝込んだよな。たとえば今回は、裏の人物が悪天蝶を使って、眠気をさそう悪天粉を三人に浴びさせて、居眠りするように仕組んだかもしれない」
え~! それがほんとうだったら、ひどすぎるよ。
「それから、防犯カメラがこわれていたことについて」
夜雲さん、わたしたちよりショックを受けてたなあ。
「夜雲に聞いたら、あの日の朝に確認したときには、ちゃんと映像が撮れていたそうだ。だから、三人がねむっている間に、だれかが、カメラをこわしたんじゃないだろうか」
「だれかって……。あっ、もしかして、悪天蝶をあやつってる人が?」
「ああ、可能性は高い。俺たちに、なんの天気の願いかまったく分からなくさせて、地獄に落とそうとするためにな。そして、そんな計画的な人物なら、俺たちが依頼人を見つけようと必死になっていることも知っているだろう。悪天蝶を使ってジャマするために、林間学校にもついてきて、今も近くで見張っているかも――」
「納得できねーよ!」
話の途中で、ハレくんがくやしそうに地団駄をふんだ。
「オレたち、悪いことをしてるわけじゃねーだろ。なのに、なんで、ジャマされなきゃいけないんだよ。納得できねーよ……」
ハレくんの言葉に、アメくんもライくんもフウくんも、くやしい表情を見せる。
わたしも、同じ気持ちだよ。くやしい。
みんなのお天気の願いをかなえて、よろこんでもらおうとがんばってるだけなのに。
どうにかして、ジャマするのをやめさせないと。でも、どうすればいいんだろう。
そうだ。もし悪天蝶に遭遇したら、その近くに、あやつってる人もいるかもしれない。
その人を見つけることができれば……。
「とにかくみんな、あぶない目にあわないよう気をつけるんだ。そろそろ時間だな。じゃあ、外に行こう」
そ~っと部屋を出ると、ほかの児童たちも外の広場に向かっていた。
わたしは、外に出る前に、こっそりフウくんに声をかける。
「フウくん。さっきは、わたしが、がんばってるって言ってくれてありがとね」
「だって、ほんとうのことじゃん」
「でも、うれしかったから……。ねえ、フウくん。わたしも、フウくんの味方だからね」
「なに、いきなり」
「いきなりじゃないよ、ずっと前からだよ。だから、話したいことがあったら、いつでも言ってね。みんなピリピリした空気だけど、わたしはいつでも聞くから」
莉子ちゃんにはげましてもらったように、わたしも素直な気持ちを伝える。
フウくんは、ちょっととまどってた。でも、
「……うん。そらりん、ありがと」
はにかみながら、お礼を言ってくれた。