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ものがたり

大人気の新シリーズ2巻め!「お天気係におねがい!(2) 霧につつまれた林間学校」先行ためし読み連載 第3回

「――おい、おい。起きろ」

 肩をゆさぶられて、ゆっくり目を開ける。すぐ近くに、ライくんがいた。

「……ライくん、どうしたの?」

「それは、こっちのセリフだ。なにしてる? ハレもアメもねむっているし」

 横を向くと、ハレくんとアメくんはまだ目を閉じている。

 フウくんが二人の耳元に顔を近づけて、大きく息を吸いこむ。

「おっきろーーーーーーーーーー!」

「うわっ! うるさっ!」

「耳がこわれるよ!」

 二人とも、飛び上がるように起きた。

「なんで、みんなして、ねちゃってたの?」

「いやそれが、急にねむくなったんだよ。ふわあ~」

「急に……?」

 ライくんが、少しだけまゆをひそめる。

「まあ、いい。それで、願いごとはなんだったんだ? お客が来ていただろ」

「えっと、それが。うとうとしてたから、はっきり分からなくて……」

 わたしは、正直に答えた。

「林間学校って、言葉は聞こえたの。だから、わたしたちと同じ学校の五年生が来たんだと思うよ。でもそのあと、晴れも雨も聞こえて、どっちか分からなくて。二人も、そうだよね?」

 ハレくんとアメくんにも、確認する。

「いや。オレは、晴れにしてほしいって聞こえたぞ」

 えっ、ハレくん?

「ううん。ぼくは、雨をふらせてほしいって聞こえたよ」

 ええっ、アメくん⁈

「あのなあ、晴れに決まってるだろ。林間学校で雨を願うやつがいるわけない」

「なにか事情があって、雨がふってほしいって思ってる子だっているかもしれないだろ」

 二人は、まったくじぶんの意見をゆずらないで、じっとにらみ合う。

 はわわっ。このままじゃあ、二人がケンカになっちゃうよ~!

「ハレもアメも、落ちつけ。こういうときのために、あれがあるんだろ」

 ライくんが、屋根を指さす。黒いカメラ――防犯カメラと目が合った。

 そうだった! 夜雲さんが、わたしたちが学校に行っている間も、願いごとを聞き逃さないためにとりつけてくれたんだった。

「カメラで確認すれば、ばっちりだね! あ~、よかった」

 さっそく、はしごを使ってカメラをとり外す。

「えーっと、このボタンを押せば再生できるはず……あれ?」

 なんにも映らないよ。どのボタンを押しても、画面はまっ暗。どうなってるの~?

 もたもたしていると、夜雲さんが帰ってきた。

「みんな、ただいま。留守番ありが……って、どうしたの? ぼくの顔をじっと見て」

「夜雲さ~ん、助けて~。この防犯カメラを再生したいんだけど、ぜんぜん映らないの」

「まさか、そんなわけないよ。買ったばかりの新品だし。貸してごらん」

 夜雲さんが、慣れた手つきで操作する。でもしばらくして、にがーい顔をしてふり返った。

「……ごめん、みんな。原因は分からないけれど、たぶんこわれてるみたい」

「「「「「えーーーーー!」」」」」

 そ、そんな……。どうして今日にかぎって。

「このままじゃあ、願いごとが分からなくて、みんなで地獄行き……」

「空、あきらめんな!」

 ハレくんが、声を張り上げる。

「居眠りで願い聞き逃して地獄行きなんて、オレはぜったいにイヤだ! なんとしてでも、願いを言いに来たやつを見つけるんだ。同じ学校の五年生なのは分かってんだ。今から、学校に行くぞ!」

「今日は日曜日で、だれも学校にいないよ~」

 もう、絶体絶命だよ~!

「こうなったら、今から七夕まつりに行って、調べるしかないな」

 ライくんのメガネが、きらんと光る。

「地元のまつりなら、だいたいみんな遊びに来ているだろう。その中から、だれが依頼人か調べよう」

「でも、どうやって? 林間学校は明日から始まるんだよ? しかも、二日目って聞こえたから、二日目が終わるまでに、お願いした子を見つけてかなえなくちゃいけない……時間ないよ~」

「たしかに時間は少ない。そこで、これを使う」

 ライくんが、一冊のむらさき色のノートを見せる。

「このノートには、五年生全員について、俺が調べたことが書いてある」

「い、いつの間に……ていうか、どうして⁈」

「学校という集団生活を送るうえで、ほかの児童について調べるのは当然だ。そして今から、このノートの情報をもとに、林間学校にとくべつな思い入れがありそうな児童をしぼって、聞きこみする。アメの言うとおり、わざわざ神社にまで来たのには、なにか事情があるはずだからな」

 なるほど! ライくん、さすが~!

「まずは、明日の準備を終わらせるぞ」

 みんな、いそいで家の中にもどる。

 でもフウくんだけが、ぼんやり立ち止まっていた。

「フウくん、どうしたの? みんな、もどるよ?」

「あっ、うん! はやく準備、終わらせなきゃねー!」

 パッと明るい表情にもどって、かけ足でみんなを追いかける。

 いつものフウくんなら、「わーい、おまつり!」ってまっ先にはしゃぎそうなのに。

 やっぱり、太鼓のこと、責任を感じてるんだよ。たのしい気持ちになんか、なれないよね。

「空ちゃん、ほんとうにごめんね」

 夜雲さんがわたしの前に出てきて、手を合わせてあやまる。

「まさか、こわれてるとは思わなくて」

「ううん、夜雲さんのせいじゃないよ」

「おわびじゃないけれど。これ、林間学校に持って行って」

 夜雲さんは、ポケットから、赤いお守りをとり出した。

「むかし、空ちゃんのおばあちゃんが、ぼくにくれたものなんだ。助けがほしいとき、それを持っていのれば、かならず助けてくれる。効果はばつぐんだよ」

「そんなだいじなもの、わたしが持って行っていいの?」

 夜雲さんはやさしくうなずいて、お守りをわたす。

 そして、わたしの手に、じぶんの手を重ねた。

「無事に、帰って来てね」

「夜雲さん……うん。ぜったいぜったい、帰ってくる!」

 じぶんにも言い聞かせるように、宣言する。

 もし、お願いをかなえられなかったら、地獄行きの林間学校……。

 それだけは、ぜったいに阻止しなくちゃ!


第4回へつづく(1月4日10時に公開予定♪)


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324009

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