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ものがたり

大人気の新シリーズ2巻め!「お天気係におねがい!(2) 霧につつまれた林間学校」先行ためし読み連載 第2回

「だいじょうぶ、みんな?」

 かけつけると、部屋はしーんっとしていた。さっきは、大声が聞こえたのに。

 それに、ライくんが一人ぽつんと立っていて、その周りをハレくんたちがかこんでいるって、へんな図……。

「どうしたの……あ!」

 ライくんが持っている太鼓に、目がとまった。きれいで立派だったのに、今はやぶれて大きな穴が空いている。

「フウが、もどった風の力で遊んでいたら、うっかりやぶっちゃったんだ」

 アメくんがこっそり教えてくれる。

 なんてこと。ライくん、すごく大切にしていたのに。でも、フウくんに悪気はないはずだし。

 どうしよう。大ゲンカになっちゃうかも……。

「ライ、あの……」

 フウくんが、肩をふるわせながら声をかける。

「いい。フウがそそっかしいのは、分かっていたことだ」

 ライくんは首を横にふりながら、それだけ言った。

 意外だった。もっとおこるかと思ったんだけど……。

 ライくんは、太鼓を入れないまま、リュックのふたをしめる。

「ライくん、持って行かないの?」

「ああ。空の言うとおり、林間学校には必要ないからな。それより、フウ」

 ライくんが、じっとフウくんを見つめる。

「俺は、だいじょうぶだ。だから、お前も気にするな。忘れろ」

「ライ……うん! 分かった! おれ、気にしない! 忘れた!」

 フウくんは大きくうなずいて、いつもの明るい顔を見せる。

 あっさり解決しちゃった! すごい? って言っていいのかな。

 とにかく、ケンカにならなくてよかった……。

 プルルルルッ!

 肩がびくっとふるえた。五年生になって買ってもらった、スマホが鳴ったみたい。

「もしもし。あっ、夜雲さん。どうしたの?」

『ぼくまだ、神社にもどれそうにないんだ。もうお昼で、お客さんが来るかもしれないから、みんなと留守番していてもらえないかな?』

「分かったよ、じゃあね。……みんな、夜雲さんから。ちょっとお留守番おねがいって」

「しかたねーな。行こうぜ」

 ハレくんたちは、慣れた様子で外に向かう。わたしは、ママからもきていたメッセージに返信してから、おくれて玄関に行った。

 ライくんが一人、まだ、くつひもをていねいに結んでいた。

「はぁ……」

 うしろから声をかける前に、ライくんの口から、小さなため息が聞こえた。

 がっかりしてるかんじ……?

 もしかして、やぶれた太鼓のことかな。だいじょうぶって言ってたけど、ムリしてたのかな。

「ライくん、さっきのこと……」

「おーい。空、ライ、なにもたもたしてんだ」

 外にいるハレくんに、呼ばれた。ライくんが、すっと立ち上がる。

「すぐ行く。空、なにか言わなかったか?」

 ふり返ったライくんの顔は、いつもと変わらない。

「あっ、えっと……。ううん、なんでもない。行こう」

 つい、そう答えた。だって、わたしの、聞きまちがいかもしれないし。

 でも、ハレくんたちと合流したとき、見ちゃった。ライくんが気まずそうに、フウくんから視線をそらしたのを。そしてフウくんが、さみしそうにうつむいたのを。

 やっぱり、なんでもなくないかも。だって二人とも、すごく気にしてるよ。

 ケンカにならなくて、ほっと安心しちゃったけど……。

 ほんとうに、このまま、終わりにしちゃっていいのかな。


第3回へつづく(1月3日10時に公開予定♪)


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324009

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