廊下にいても、教室がざわついているのが分かる。深呼吸してから、ゆっくり戸をひく。
わたしとハレくんが入ると、みんなの会話がぴたっと止まった。
「空! どこに行ってたの?」
莉子ちゃんが、まっ先にかけよってきてくれる。
「もうっ、心配したよ。みんなから話は聞いたけど、だいじょうぶだから。あたしが、空はそんな適当なことぜったいするわけないって話して──」
「莉子ちゃんありがとう。でもわたし、じぶんで話すね。見守ってて」
そう言って、わたしは壇上にのぼった。みんなが、なにごと? って注目する。
「あの……みんなに、話したいことがあるの。さっきは、ごめんなさいっ」
まずあやまると、また教室がざわつきだした。
「やっぱり、天川さんが、ちゃんとかざってなかったってこと?」
「どーするんだよ。がんばってつくったのに」
みんなの声に、ひるみそうになる。でも、逃げちゃだめ。わたしにも声はあるんだから。
大きく、息を吸いこんだ。
「ちがうのっ。今あやまったのは、さっきウソをついてあやまったから。わたし、ちゃんとかざったの。みんなの分、ちゃんとかざったの……!」
や、やっと言えた……!
「ちゃんとかざったって……」
しばらくの沈黙のあと、柴くんがこまったように言う。
「じゃあ、なんでいくつかなくなってるんだよ?」
「それは、わたしにも分からなくて……。でも、かならず見つけてかざり直すよ! わたしは、五年一組の体育委員だから。みんなのてるてる坊主、だいじに思ってるからっ」
教室は、まだビミョーな空気。みんな、とまどった顔をしている。
そのとき、蘭ちゃんが立ち上がった。
「あのっ! 莉子ちゃんの言うとおり、空ちゃんは適当なことを言ったりしたりする子じゃないと思う。約束は、ちゃんと守ってくれるし……だから、信じようよ」
「まあ……たしかに。ふだん大人しい天川さんがここまで言うなら、ほんとうだよね」
「そうだね、分かったよ。見つけてくれるの、まってるね!」
よかった、伝わった。わたしの言葉、信じてもらえた。
ちらっとハレくんを見る。ぐっと親指を立てて「よくやった」って顔をしている。
わたしはもう一度みんなを見て、宣言する。
「かならず、解決するから。みんなに約束する」
消えたてるてる坊主、ぜったいに見つける!
第9回へつづく