第13回角川つばさ文庫小説賞受賞作『ナゾ世界いってきます! ふしぎな道具と海の底へ!』が発売前に69ページもためし読みができちゃう!
小学5年生のリコ、学校トップの成績の内斗、リコの親友の涼夏は3人だけで深海へ! おもしろさ保証(ほしょう)つきの大冒険ストーリー!
リコのおじいちゃんは冒険に出たまま帰ってこない! リコに残されたのは、ガラクタみたいな、だけどふしぎな力を持つ道具たち。そんなある日、内斗が神社の水たまりに飛びこんで、消えちゃった? なんと、その水たまりは、海につながっていた!? リコ、内斗、涼夏は、伝説の海底都市を発見し、さらには命がけのバトルや大脱出! わくわくドキドキの物語!
『ナゾ世界いってきます! ふしぎな道具と海の底へ!』
(深草ゆにえ・作 うちゃコ・絵)
2026年2月12日発売予定
※これまでのお話はこちらから
3 屋内スターライト
「わたしの将来の夢は、おじいちゃんと同じ冒険家になって、海に沈んだアトランティスとか、ジャングルの奥の黄金の国みたいな、ドキドキする伝説の場所で、大冒険をすることです!」
そう言ってクラス中のみんなに大笑いされて、バカにされたのが小学三年生の時。
「今時そんな夢みたいな話を信じてるやつはいない!」そう言って、みんな笑ったんだ。
もしかしてわたし、このまま笑われて過ごすのかな。そう思うと、つらかった。
だけど、わたしのその失敗は、すぐにみんなの頭の中から消えていった。
イギリスから変わった男子が転校してきた! その話題でもちきりになったからだ。
星月内斗(ほしづきないと)、イギリス人のお母さんを持つハーフで、ふしぎな雰囲気(ふんいき)を持つ男の子。
成績はいつもトップなのに、おかしなことばかりする。それが彼の評判だった。
虹(にじ)の根元を追いかけてどこまでも旅をしたってウワサや、コウモリの気持ちを理解するために、木の枝からぶら下がって寝たなんてウワサとか、他にもたくさん。
みんなは、「変わってる」って言って笑ったけど、わたしはおもしろい子だと思った。
だって星月くんは、みんなから笑われるようなナゾに、真剣に向きあってると思ったから……。
……あれ、そもそもわたし、どうして今、星月くんのことを思い出したんだろう?
ああそっか。星だから、かな。
だって、真っ暗でせまい通路の先にある、ひみつの部屋には……星空が広がっていたんだ!
「……す、すっごー! キレイすぎ! なにこれなにこれ!」
あっけに取られてから一瞬おいて、わたしは大声で感動を表現した。
キラキラ光る砂をまいたみたいな天の川。チカチカ光ってかがやく大きな星たち。
そして、その大きな星たちを線で結んで作られた、いろいろな形の星座たち。
そのどれもが、まるで夢みたいにキレイだった。
「家の中に小さなプラネタリウム! しかも超キレイ! こんなのをわざわざ作るなんて、リコのおじいちゃん、やっぱ変わってるよ!」
「えへへ、最高でしょ?」
とはいえ、まさかこんな部屋まで家にかくしてたのは予想外だけど。
「でも、リコのおじいちゃん、なんでわざわざこの部屋をかくしたのかな」
そう言う凉夏(りょうか)ちゃんに、わたしはチッチッチッと指をふって答えた。
「決まってるでしょ凉夏ちゃん。ひみつの部屋にあるのはトーゼン、お宝だよ!」
「お、お宝!? なんか、わたしまでワクワクしてきた!」
涼夏ちゃんは、高価なものや宝石の話には食いつきがすごい!
「じゃあ、宝探し、スタート!」
星の光にてらされながら宝探し……しかも家の中で! こんなの想像もしなかったよ!
だけど、うーん。椅子の下、すみっこに積まれた雑誌の山、どこを探しても見つかんない。
「凉夏ちゃーん、何か見つけた?」
わたしがそう聞くと、凉夏ちゃんは手に、小さな紙みたいなものを持って振りむいた。
「わたしが見つけたのは、お宝じゃなさそう……よくわかんないことが書いてある」
そこには、急いで書いたみたいに乱暴な文字で、こう書いてあった。
『いりぐちは かみのやしろの うみのなか』
「……なに? これ。凉夏ちゃんわかる?」
「わかんないけど、それよりお宝!」
よくわかんないものはいったん後まわし! わたしたちは紙をイスに置いて宝探しを続けた。
……でも、宝はなかなか、見つからない。わたしは、ふと顔を天井に向けた。
「すっごいキレイな星空……。ねえ、涼夏ちゃん! ちょっぴりながめて休けいしようよ」
だけど、凉夏ちゃんは、「宝物を探すんでしょ!」と言って聞いてくれなかった。
もう、宝物になると人が変わっちゃうんだから……わたしは息をついて星空を見あげる。
すると、なんだかちょっと、他と違う色の星があることに気がついた。
「ねえ凉夏ちゃん、あの星だけさ、なんか、他と違くない?」
「なに? どれ?」
「ほら、あの赤く輝いている星!」
「……あーーー、アレ? ちょっととび出てる」
「それそれ。……ねえ、アレさ、取れるかな?」
「えっ? いやまあ、リコのおじいちゃんの家だし、別に取ってもいいとは思うけど……でもさ、またなんか変なアンティークだったらどーすんの? キケンじゃない?」
たしかに、言われてみるとキケンかもしれない。でも、あの星を見たとたん、わたしの胸は、ふしぎなざわつきを感じた。まるで、何かが始まるみたいな……。
それに、ためらってちゃ何も始まらない! わたしはおじいちゃんに教わった言葉を口にする。
「冒険家の心得(こころえ)その一! 『キケンのともなわないチャレンジはない』!」
「ともなうキケンの大きさにもよるでしょ」
「よーしっ、チャレンジ開始!」
「まったく聞いてない⁉」
わたしは近くにあった椅子にのって手を伸ばし、赤くかがやく星にふれた。すると!
カチッ。
そんな音を立てて、星が、私の手の中に落ちてきたんだ。
「と、取れちゃった……ホントに……」
壊(こわ)しちゃった? 一瞬浮かんだ心配は、手の中を見た瞬間に吹きとんだ。
だって、手の中にあったのは、キラキラとかがやく、赤い宝石のついた指輪だったから!
しかも、天井から外れたのに指輪の石はまだ強い光を放っている。こ、これは……間違いない!
「りょ、凉夏ちゃん、お宝、大発見だよ! なんの宝石なのこれ!?」
そう言って手の中を見せると、凉夏ちゃんの目が宝石みたいにキラキラした。
「赤いってことはルビー? ガーネット? いや、この色はもっと……それこそ星みたいな……
しかも光ってる! ふふ、うふふ……何にせよ、わたしのコレクションにふさわしい!」
「いや絶対あげないよ!?」
凉夏ちゃんは、わたしの言うワクワクするものには全然(ぜんぜん)興味がわかないんだけど、こういう高そうでキレイなものには目がない。
「……でもさ、宝石にくわしい凉夏ちゃんにもわかんないってなると、すっごいめずらしいものだよね。もしかして、世紀の大発見!? うわっ、それって最高にドキドキじゃん!」
「……うん、スマホでも探したけど、どのサイトにものってない。大発見かはわからないけど、めずらしいものには間違いないよ。ホント、どこからきたものなんだか……」
「どこからって、そりゃ、おじいちゃんが冒険に行った先に決まってるよ!」
「冒険って、リコが聞いた話のこと? その話が本当だったとして、この指輪は何?」
「それは、わかんないけど……でも、きっと、ワクワクすることに使うんだよ!」
「ワクワクって言ってもねー。指輪を星みたいにかざって、何になるんだろう?」
そう、星。おじいちゃんは指輪を見つけて、この星空に浮かべたんだ。……あれ? それって!
「星座だ!」
「え?」
「ほら見て! この指輪がはめこまれていた場所のあたり、他にもいくつか指輪を入れられそうなスキマがある! ということは、いくつか指輪を集めれば……星座を作れるよ!」
「せ、星座? それがリコの言う、『ワクワクすること』なの?」
「そうだよ! だって、完成させたらなんかすっごいことが起きるかもじゃん! 例えば、ほら、願いごとがかなったり……」
……ん? 完成させたら、何かすごいことが起きるかも……? ってことは、もしかして!
「凉夏ちゃん、わかった!」
「ま、またヒラメキ? 今度は何?」
「行方不明の理由だよ! おじいちゃんはきっと、他の指輪を探しに行ったんだ!」
思ったことを口にすると、『絶対そうだ!』という確信が強くなる。うん、絶対そうだよ!
「だってあの、スゴくものしりで、いろいろなことにチャレンジしてきたおじいちゃんだよ!? 絶対、今も冒険してるはず! よぉーし! わたし、おじいちゃんを探しに行く!」
「いやいや、探しに行くって言っても、どこに行けばいいのよ」
「どこってそれは……おじいちゃんの手帳(てちょう)を読めばわかる!」
「でも読めないんでしょ? ミミズみたいな字だから読めないって言ってたじゃない」
「えーーと……そうだ、さっきの紙! 何かのヒントになってるかも!」
わたしはそう言って、さっきイスに置いた紙をもう一度手に取った。
『いりぐちは かみのやしろの うみのなか』
「う、うーーーん。相変わらずよくわかんない……凉夏ちゃんは?」
「フツーに読むなら『かみのやしろ』ってところにある『海の中』に入り口があるってことよね? でも『かみのやしろ』……? そもそもどう書くのかな」
んー。かみ、髪(かみ)、紙、神……どれのことなんだろ。それに『やしろ』って……?
凉夏ちゃんはスマホを取りだして、ペタペタと操作した。
「スマホの予測変換(よそくへんかん)だと社会の「社」で『やしろ』って読めるらしいけど……」
へぇー、そうなんだ。社会の社……ってことは、『かみの社』ってことなのかな?
じゃあ、あとは『かみ』の部分だけど……あっ!
わたしと凉夏ちゃんは、二人同時に答えた。
「「神社だ!!!」」
つづく 第4回は1月22日公開予定です!