
人気シリーズ『理花のおかしな実験室』作者・やまもとふみさんの新シリーズ『ノンストップ宣言!』
発売前に64ページもためし読みができちゃう!
中学1年のフツウの女子が、エリート男子校に転校することに……!?
ドキドキハラハラ、笑ってスカッとする、最高の学園ラブコメが始まる!
わたし、町家(まちや)ことは。名門中学校に転校することになっちゃった! しかも、『男子校』って、どういうこと??? 学校は食事も部屋も豪華だけど、校則を破ると罰金を取られる!? 友だちになった優斗(ゆうと)は罰金100万円で退学って、ぜったい納得できない!! わたし、校則を変えてみせる! 最高の学園ストーリー!
『ノンストップ宣言! わたし、エリート男子校に転校!?』
(やまもと ふみ・作 茶乃ひなの・絵)
10月8日発売予定!
プロローグ おどろきの出会い!?
四月のなかば。
名門、東京栄正(とうきょうえいしょう)学園の正門をくぐったわたし──町家(まちや)ことはは、立ちどまった。
高さ三メートルはありそうな黒い鉄門に、金色の校章がキラリと光る。
どっしりとした門構えは、百年以上つづくという伝統をかかげてるみたいで、背すじが思わずしゃんとなった。
だけど。
「うわ、なに……!?」
ひとりの男の子が、全力でこっちへ走ってくる。
ピカピカの白い石だたみの上を、――まるで映画のワンシーンみたいだ。
男の子が目の前を風のようにかけぬける。
「わあっ!」
すれちがいざま、ふきとばされそうになったそのとき──男の子が、ふっとわたしに目を向けた。
「あ、悪い! ちょっと、追われてるんだ!」
追われてる!? どういうこと!?
立ちさる男の子にぼうぜんとしていると、つぎの瞬間。
男の子たちの集団が、オニのような顔で追いかけてくる。
制服の上から黒い腕章(わんしょう)をつけて、全員そろってつば付きの黒い学生帽をかぶっている。

胸には銀色のバッジが光っていて、まるで警察みたい――って思ってたら。
「待てーっ! 風間優斗(かざまゆうと)、止まれーっ!」
「止まらないと、校則違反(こうそくいはん)が追加になるぞーっ!」
彼らの腕章には、金字で【警察委員会】の文字。
――なにそれ、学校に警察!? ってどういうこと!?
思わずその場でかたまっていると、【警察委員会】のひとりが、わたしの前に立ちどまった。
「……おい、そこの女子! ここは中学校だ。小学生が来るところじゃない!」
はあぁ!? 小学生って言った!? 今!
たしかに、わたしは身長が140センチで、ちっさい!
しかも、目の前の男の子たちは、だれもかれも背が高い。
まるで巨人(きょじん)の国にまぎれこんだみたいだった。
──それでも!
「わたし、中学生ですから! ほら、見てください、ちゃんと制服着てるでしょ!」
ぎりっと歯をかみしめ、彼を見あげる。
目つきがするどくて、ひときわ背が高くて、なにかスポーツをしていそうで、すごく体がガッチリしている。
腕章には『東郷正義(とうごうせいぎ)』と名前が書いてある。
「中学生?」
彼は、わたしの頭のてっぺんから足元までをじろりと見る。
レンガ色のジャケットに白いスカート、黒いブラウスに赤いリボン。上品なのにかわいくて、思わず胸を張りたくなる制服だ。
なのに――この子どもみたいなあつかいは、なに?
え、ちゃんと着れてるよね? うらがえしとか、ボタンかけちがえとかしてないよね!?
と不安になっていると、東郷さんは首をかしげた。
「ん? よく見るとその制服……たしか、東京栄正の新デザイン……?」
新? ってどういう意味?
話の流れについていけなくて、思わず言った。
「わたし、今日から転校してきた、町家ことはですけど……」
その瞬間(しゅんかん)、まわりがざわめいた。
「転校生!? 今の時期に!?」
「しかも……スカートじゃね!?」
「まさか……女!?」
え、え!? 女って、どういうこと!?
きょとんとしていると、ひとりが言った。
「ここ、男子校なんだけど……」
一瞬、頭がまっ白になった。
ハアアアア????? だ、男子校!???
「ど、どういうことおおおおおお???」
校庭には、わたしの絶叫(ぜっきょう)がひびきわたった。