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もうすぐ中2になるわたし・くるみは お父さんが海外出張に行く2か月の間、 幼なじみの家で暮らすことに。8年ぶりに再会した久瀬(くぜ)兄弟との同居生活は毎日がドキドキで……!?
※これまでのお話はコチラから
第2回 再会のきっかけ
中学一年生の終わりが間近にせまっていた、ある日の朝のこと。
お父さんが、ものすごく重々しい表情で話を切り出した。
「……実は海外出張の話が出てるんだ。しかも、二か月の……」
わたしは思わず、朝ごはんのウインナーをぽろっと落としてしまった。
「に、二か月……? 海外?」
「ほんっとうにごめんくるみ……! ま、まだ決まったわけじゃないから!」
お父さんはあわててつけ足した。
「くるみを置いていくわけにはいかないけど、休学なんてしたら、勉強の遅れを取り戻すのが大変だし、友だちとも気まずくなっちゃうかもしれないだろう? そうなるくらいなら、会社をやめて転職しようかなって思ってるんだ」
わたしのお母さんは、数年前に亡くなっている。それ以来、お父さんはひとりでわたしを育ててくれた。近くには頼れる親せきもいなかった。
だから、お父さんが海外に行くのだとしたら、わたしがついていくしかない。
お父さんはそれが心配で、会社をやめる、なんて言い出したんだろうけど……。
「お父さん、今のお仕事大好きなのに?」
「うっ……」
「お父さん、自分からはお仕事の話しないけど、わたしが訊(き)くと楽しそうに話してくれるよね。それに、行事のときとかわたしが風邪(かぜ)引いたときとか、いつもお休みできて、残業だって少ないし……お父さんの会社って、『ホワイト企業』なんでしょ?」
「で、でも、くるみとふたり暮らしなの知ってて海外出張行かせようとする会社だよ」
「優しい会社なのに、急に二か月も海外出張なんて、絶対にお父さんじゃないとだめなお仕事ってことだよね」
「……たしかにかなり必死に説得されたけど」
「わたしは二か月くらい平気だよ!」
それでもお父さんは「わかった」と言ってくれなかった。
どうしよう、と悩んで思い浮かんだのが――琥白(こはく)くんと藍翔(あいと)くんのお母さんだった。
「二か月も海外なんて大変ね……そうだ! くるみちゃんさえよければ、その間うちで暮らさない?」
連絡を取ったわたしに、おばさんはすぐにそう言ってくれた。
おばさんはわたしのお母さんの親友だった。わたしが幼稚園に入ってから知り合ったらしいから、昔からの友だち、というわけではないみたいだけど、すごく仲がよかった。お母さんが亡くなったときに、わたしに「いつでも頼ってね」と言ってくれたくらいに。
――そういうわけで、わたしは琥白くんと藍翔くんの暮らす家に、二か月間お世話になることになったのだった。
第3回につづく(6月21日公開予定)
『双子くんがわたしのことを好きすぎる』発売中!
ふたりに愛されすぎて困っちゃうくるみの選択は――!?
キュンが止まらない恋愛ストーリーをお楽しみに!!