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似ているけど正反対!天使の「リン」と悪魔の「ヒ素」【タイトル】 『石のひみつがすべてわかる! すごすぎる鉱物の図鑑』ためし読み


鉱物は地球がつくった自然の作品で、「地球からの手紙」ともいえるもの。地下深くの高い圧力や温度、火山活動、岩のすき間を流れる熱水……さまざまな出来事が重なって、多様で多彩な鉱物が生まれます。宝石になるもの、金属やガラス、電池の材料など生活を支えるものもあります。この本には、そんな鉱物たちの「すごすぎる」話を集めました。

連載第3回は、CHAPTER2「元素のはなし」の中から「似ているけど正反対!天使の『リン』と悪魔の『ヒ素』」を紹介します!

※本連載は『石のひみつがすべてわかる! すごすぎる鉱物の図鑑』から一部抜粋して構成された記事です。


似ているけど正反対!天使の「リン」と悪魔の「ヒ素」

 リンとヒ素は周期表で上下に並ぶ似た者どうしで、酸素と強く結びつく性質があります。

 リンはDNAや骨の材料、ATP(アデノシン三リン酸)のエネルギー源となる生命に不可欠な元素です。代表的な鉱物はリン灰石で、肥料の原料となります。これはグアノと呼ばれる海鳥の糞の堆積物が供給源となっていて、日本では沖縄の離島で採掘されました。これらは工業的に精製され、食品用リン酸などになり利用されます。

 一方、ヒ素は毒性が強いことで知られます。ヒ酸イオンはリン酸イオンに似た働きをし、生命活動を邪魔します。自然界では硫砒鉄鉱などに含まれ、熱水鉱床に広く産出します。単体のヒ素も空気中ではしだいに酸化し、さらに酸化が進むとヒ酸イオンとなり、金属イオンと結びついて二次鉱物を生みます。用途は太陽電池や半導体材料などですが、その反面、規制も多い元素です。九州山地の土呂久鉱山ではヒ素による深刻な公害が起きた歴史もあります。

リンとヒ素は似たものどうし


ヒ素は地表近くで酸化してヒ酸イオンとなり、これは周囲の鉄分と反応して緑色のスコロド石になる。鉄の多い環境では、ヒ素がスコロド石として固定されることがある。(大分県・木浦鉱山)。


元の石(ヒ素を含む初生鉱物)が、風化・酸化するプロセスで、ヒ素が水に溶け出し、それが、マグネシウムやカルシウムといった成分と結びつき、再び結晶として現れたピクロファーマコ石(大分県佐伯市)


リンは生体に必須の元素で、酸素と結合したリン酸の形で地球をめぐっている。骨をつくるのはリン灰石(アパタイト)で、リンとカルシウム、そしてハロゲン元素や水酸化基を有する。


ヒ素の代表的な鉱石鉱物で、焼くと有毒な三酸化二ヒ素が生じる。ヒ素の工業原料でもあるが毒性が高く、殺鼠剤や毒薬にも使われた(ポルトガル・パナスケイラ鉱山)。


  豆知識  

鉱物標本は教育上の点から毒物として扱われませんが、ヒ素を含む鉱物には有害なものが多く、扱いに注意が必要です。あまりさわらないように標本はつねにケースに入れ、触れたらすぐ石せっけんで手洗いをしましょう。



鉱物のことをたくさん覚えるのも楽しいのですが、大切なのは目の前の石をみて「なぜだろう」と考えてみることです。色や形、重さなど小さな違いに気づくと、ただの石ころに思えていたものが急にこちらに語りかけてきてくれます。気になる石を見つけたら、ぜひじっくり観察してみてください。そして、足元に広がる地球の世界を、これからも楽しんでいただけるとうれしいです!


【書籍情報】


著者: 田中 陵二

【定価】
1,595円(本体1,450円+税)
【発売日】
【サイズ】
四六判
【ISBN】
9784046071705

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