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目標ってないといけないの? 第8回


「友達をつくるのが苦手」「将来がなんとなく不安」「なんにもやる気が起きない」……。この本はそんな悩みで「いっぱいいっぱい」になっている中学生・高校生のための「毎日のお守り」です。「学校生活」「親」「友達」「自分」の4つのカテゴリーの悩みに寄り添う内容で、解決のヒントが見つかる1冊です。

※本連載は『いっぱいいっぱいの自分から脱出する方法 今を生きる10代のための40のヒント』から一部抜粋して構成された記事です。一部写真は本には掲載されていません。




マンガ/かりた


目標ってないといけないの?

 今の時代、学校や塾の先生だけでなく、場合によっては親までもが、「ちゃんと目標を決めなさい」とか「しっかり計画を立てて、効率よく行動しなさい」みたいなことを、早ければ小学生のうちから求めてくると聞きます。

 本や漫画、ドラマや映画の中にも、「目標を持って生きよう」みたいなメッセージを、よく見かけるようになりました。

 目標が「ある」のと「ない」のとでは、どちらの方がいいですか?

 もし、このように二者択一で訊かれたら、私は「あった方がいい」と答えます。

 目標があった方が、生活にハリが生まれます。

 でも、目標がなくても大丈夫。

 全く心配いりません。

 なぜなら、若い頃って、発想に柔軟性があり、新しいものに対する感度が高く、周囲から影響を受けやすい世代なので、目標がコロコロ変わるものだからです(大人は、このことに関して極めて批判的ですが……)

 ただ、「目的」は絶対にあった方がいいです。


目的と目標の違い

 まずは、「目的」と「目標」の違いを説明します。

 目的は英語にすると「Goal(ゴール)」です。山頂をイメージしてみてください。

 それに対して、目標は英語にすると「Objectives(オブジェクティブス)」です。

「ゴール」という山頂に至るまでに存在する数々の通過点になります。

 山頂に至るまでのルートは無数に存在します。だから、目標はコロコロ変わっても何も問題ありません。

 Aがダメなら、Bもあります。Cが自分には合わないと思ったら、Dに変更もありなのです。

 目的と目標は、順番も大事です。

 目標を積み上げたその先に目的があるのではなく、まず目指すべき「ゴール(目的)」を決めることが先になります。

 次に、その目的(ゴール)に至るまでの数々のステップとなる目標を決めることが必要となります。

 そして、内容も大事です。

 目的は「後悔のない人生にしたい」のように抽象的で漠然としたものであるのに対し、目標は「校風が自分に合ったA高校(またはA大学)に進学したい」「将来は○○という職業に就きたい」「○歳までには結婚をしたい」「老後は○○(場所)で暮らしたい」など具体的で明確なものになります。

 目的に対して、目標は「目的を達成するための手段」とも言えます。


画像提供:PIXTA


「考える」のではなく「思い出す」

 目標に関しては、考えるという作業が必要ですが、目標の大前提となる目的は考えるのではなく、思い出す作業が必要になります。

 目的は過去(幼い頃に心を惹かれたこと)にヒントがあるからです。

 夢中になった漫画、ドラマ、映画、小説。影響を受けた歌詞や台詞。没頭した遊びや楽器。激しく心を揺さぶられた出来事、ワクワクしたイベントやホッコリした体験……などなど。

 何かの拍子にたびたび思い出す過去の出来事ってありませんか?

 友達や家族など、そのとき周りには誰がいましたか?

 目的とは、「自分は、どうありたいか」「何を大切にして生きていきたいか」「死んだとき、残された人たちに、どんな人だったと記憶されたいか」など、自分が一生涯をかけて目指すべき人生の方向性とも言えます。

 目的は目標とは異なり、コロコロ変わるものではありません。

 すでに、あなたの中にあるものなのです。

 だから、焦る必要はありません。時間をかけて、ゆっくり思い出してください。

 いつか自信を持って「これだ!」と言えるものが見つかるはずです。

 

まとめ
▶ 目標はなくても大丈夫。でも目的は絶対あった方がいい。
▶ 目標は目的(ゴール)を達成するための手段。変更もあり。
▶ 幼い頃に心を惹かれたことに、目的(ゴール)のヒントがある。


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