
「友達をつくるのが苦手」「将来がなんとなく不安」「なんにもやる気が起きない」……。この本はそんな悩みで「いっぱいいっぱい」になっている中学生・高校生のための「毎日のお守り」です。「学校生活」「親」「友達」「自分」の4つのカテゴリーの悩みに寄り添う内容で、解決のヒントが見つかる1冊です。
※本連載は『いっぱいいっぱいの自分から脱出する方法 今を生きる10代のための40のヒント』から一部抜粋して構成された記事です。一部写真は本には掲載されていません。
どうしても好きになれない人がいる
何事においても好き嫌いなく対応できることが理想であり、人生で得をすることが多いと思いますが、これがなかなか難しい問題です。
特に人間関係における好き嫌いは永遠の課題とも言えます。
軽度の嫌いを解消する方法
人だけでなく、勉強などにも応用できる方法があります。
それは、ホール(全部)で嫌わず、ピース(部分)で嫌うという方法です。
例えば、「数学が嫌い」というように全部(ホール)が嫌いになってしまうと、もうそれで、お手上げになってしまいます。
ところが、よくよく考えてみると「方程式や不等式は、それほど苦ではないし、比較的得点できるけど、図形と関数が嫌い」みたいに、冷静に分析して、具体的な苦手分野(ピース)が分かれば対処ができます。
人も同様です。全体(ホール)でなく、嫌いな部分(ピース)に焦点を当てると、対処できる可能性が高まります。
私の実体験をご紹介します。
高校一年生の時、私には入学してからずっと仲の良いY君という友達がいました。ある時期から、彼はやたらと芸人のツッコミのように私の頭をはたくようになりました。
仲の良い私にだけしていたので、恐らく彼にとっては親しみをこめた行為だったのだと思うのですが、私はそれがすごく嫌でした。
今になって振り返れば、私は彼のその行為(ピース)だけが嫌いだったのです。
でも、当時の私は、いつの間にか彼の全部(ホール)が嫌いになってしまい、最終的には話すらしないほど不仲になってしまいました。
頭をはたく行為に関して、ハッキリと「それは嫌だからやめて」と冷静にソフトな口調で伝えていれば、大切な友達を一人失わずに済んだのではないかと、今頃になって後悔しています。
仕返ししないと気が済まないくらいに嫌いな人への対応方法
いやいや、ホールとかピースとか、そういうレベルではないんですというケースもあると思います。
とても許せないようなひどい事を言われた、またはされたりして、深く傷つけられた経験を持つ人もいるでしょう。
このような出来事は、思い出したくもないのに、なぜか度々勝手に鮮明な記憶が蘇り、嫌な気持ちに襲われます。
こうなると、その相手に仕返しの一つや二つしてやらないと気が済まないかもしれません。
合法的かつ健全な復讐方法をご紹介します。
それは、その人より楽しく充実した人生を送ることです。
作家の村上龍さんは、高校生時代の実体験をもとにした自伝的小説『69 sixty nine』の「あとがき」で次のように言っています。
「彼らをただ殴っても結局こちらが損をすることになる。唯一の復しゅうの方法は、彼らよりも楽しく生きることだと思う」
(村上龍著『69 sixty nine』(文庫版)文藝春秋、2007年、243ページより)
悪口を言って回り、賛同者を増やせば、少しは気も収まるかもしれませんが、貴重な時間とエネルギーを、そんな人に費やしていること自体がもったいないです。
しかも、その間、心まで奪われてしまっているわけです。
あなたにとって少しでもマイナスになるような復讐では意味がありません。
あなたが全身全霊を捧げるに値する人や事に、時間とエネルギーを集中しましょう。
目標や夢をかなえるなど、成功や幸せを手に入れましょう。
これが実現できたとき、恐らくその人のことは完全に頭の中から消え去っていることでしょう。

画像提供:PIXTA
まとめ
▶ ホール(全部)ではなくピース(部分)に焦点を当てよう。
▶ 仕返しを考えることに時間やエネルギーを費やすのはもったいない。
▶ 自分自身が楽しく充実した人生を送ることが一番大切。
書誌情報
著者: 内田 和俊
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046072399