
「友達をつくるのが苦手」「将来がなんとなく不安」「なんにもやる気が起きない」……。この本はそんな悩みで「いっぱいいっぱい」になっている中学生・高校生のための「毎日のお守り」です。「学校生活」「親」「友達」「自分」の4つのカテゴリーの悩みに寄り添う内容で、解決のヒントが見つかる1冊です。
※本連載は『いっぱいいっぱいの自分から脱出する方法 今を生きる10代のための40のヒント』から一部抜粋して構成された記事です。一部写真は本には掲載されていません。
親との確執はどう解消したらいいの?
親子間の不和や確執は、親子間特有の意地も入り込むため、解決が本当に難しいと思います。
一般論ではありますが、娘は父親を生理的に受けつけられなくなる時期が訪れると言われています。
生理的に無理なものは、どうしようもありません。この時期の不和や確執は、ほぼ解決不能だと思います。
ただ、これも一般的ではありますが、娘の父親に対する生理的な嫌悪感は、たいていは一過性のものです。ずっと続くわけではありません。
先延ばしもありだと思います
時薬という言葉があるように、親子間の確執は時が解決してくれるものもあります。
親と子は、長く、そして多く接する機会がありますので、何かのキッカケでお互いが意地を手放し、本音で話すことができる機会が訪れるかもしれません。
ずっと先の話になってしまいますが、皆さんがいつか子を持ったときに気づくこともあるでしょうし、何の前触れもなく、突然、親の愛情に気づくケースもあります。
一般論ばかりで恐縮ですが、中高生だけが未熟なわけではなく、子育てをしている親の多くが、実はまだまだ未熟な時期なんです。
未熟な者どうしです。そう簡単には確執が解消できないのも当然です。
ただ、今後、双方が成熟していきます。
そのときになって、ようやく解消される確執もあるのです。
親子の縁は、よほど極端で重大なトラブルでも発生しない限り、そう簡単には切れるものではありません。
いつか解決できればいい。
それくらい気長なスタンスで、あまり焦らず、時の流れに任せるのも私はありだと思います。
親には子に対する無償の愛がある
先日、新社会人の女性をカウンセリングしていたとき、こんな話をお聴きしました。
【数年前の成人式のことです。慣れない和装ということもあり、出がけに「あれがない、これもない」とドタバタしてしまい、私はかなりイライラしていました。
そして、駅まで車で送ってくれた父に、「ありがとう」のひと言もなく車を降り、振り返りもせず、スタスタと改札口に向かいました。
きっと父は、私の晴れ着姿が見えなくなるまで、ずっと見送ってくれていたと思います。
思い返せば、高校の入学試験の日、部活の試合の日など、節目節目の大事なイベントで、父は嫌な顔一つせず、いつも必ず私を駅まで車で送ってくれました。
私が寝坊してしまい、友達との待ち合わせ場所に急きょ車で送ってもらったこともありました。
そのとき、私は待ち合わせ場所から離れたところで車を降り、「ありがとう」を言わないどころか、「友達に見られたら恥ずかしいから、早く帰って!」と追い払うような発言をしてしまいました。
親の気持ちに気づくのが遅すぎましたね……】
最後、余談になりますが、私は父との確執が解消されぬまま、七年前に父を亡くしました。
父が亡くなったとき、父の兄弟や親戚と何十年かぶりに再会して、いろいろな真相を知ることができました。
それは私にとって「答え合わせ」でした。
そして、その確執に関して、半分くらいは私の誤解であったことが判明したのです。
私も親の気持ちに気づくのが遅すぎました……。
ケンカ両成敗と言われますが、冷静かつ客観的に分析すると、親子の確執も原因や責任は半分ずつのことが多いような気がします。

画像提供:PIXTA
まとめ
▶ 親子の確執は時が解決してくれるものもある。
▶ 子どもだけでなく子育てをしている親も未熟。
▶ 親子の確執も原因や責任は半分ずつの場合が多い。
書誌情報
著者: 内田 和俊
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046072399