
「友達をつくるのが苦手」「将来がなんとなく不安」「なんにもやる気が起きない」……。この本はそんな悩みで「いっぱいいっぱい」になっている中学生・高校生のための「毎日のお守り」です。「学校生活」「親」「友達」「自分」の4つのカテゴリーの悩みに寄り添う内容で、解決のヒントが見つかる1冊です。
※本連載は『いっぱいいっぱいの自分から脱出する方法 今を生きる10代のための40のヒント』から一部抜粋して構成された記事です。一部写真は本には掲載されていません。
親はなんで口うるさい?
「親ガチャ」という言葉に象徴されるように、親に関することは、すべてが運次第であり、自分の力ではどうすることもできないのでしょうか。
「過去と他人は変えられない」という有名な言葉があります(ここでの他人は、自分以外の人という意味なので、親を始めとした家族も含まれます)。
人によってはラスボス的な存在でもある親に変化を求めることは、やっぱり無理なのでしょうか。
そんなことはありません。
自分を変えることによって、結果的に他人を変えることはできます。
自分の言動を変えることによって、親の言動の一部を変えることは可能なのです。
なぜ親は口うるさくなるのか
まず、皆さんに質問です。
どんなとき、親は子どもに対して口うるさくなると思いますか。
答えは、二つあります。
まず一つは、約束やルールを破るなど、同じ過ちを何度も繰り返し、同じことを何度も言わせるときです。
ですから親との約束は守らないといけません。約束を守らないと信頼を失いますので、親はますます口うるさくなってしまいます。
もう一つは、「心配なとき」です。
では、その心配という感情は、何が原因になっていると思いますか。
答えは、「子どもに関する情報量が不足しているとき」です。
次のような理由から、子どもが中学生になると、一般的には親子の会話の機会や時間は減ります。
・小学生の頃と比べ、中学生になると、行動範囲は広がりますし、新しい友達も増えるなど人間関係も広がり、友達と過ごす時間が増えます。
・塾や部活に入り、その活動時間が増えれば、家にいる時間が減りますので、親と過ごす時間も減るはずです。
・この頃は、親も勤め先での責任が増すことが多く、残業や休日出勤などが増えると、これによっても親子が接する時間は減ってしまいます。
・反抗期になれば、子は親を避けるようになります。
会話の機会や時間が減ると、子に関する情報量が不足します。
すると、親は不安になったり、心配になったりします。その結果、親は子に対し、やたらと口うるさくなってしまうのです。

画像提供:PIXTA
原因が分かれば、対処ができる
ここまで分かれば、対処方法は簡単ですよね。
親に対して、情報量を増やせばいいのです。うざいと言って親を避けるのではなく、ここは皆さんが大人になって、意図的に親に対する情報量を多くしてみましょう。
とりとめのない些細な出来事を伝えてもらうだけでも、親は嬉しいし、安心します。
そして、ここからは35ページ~でお伝えした「時間管理のコツ」の復習にもなりますが、いつもと違うときってありますよね。
例えば、いつもより家を出る時間が早い、帰宅時間が遅い、親に書いてもらわなくてはいけない書類がある、お弁当が必要または必要ない、ある程度の高額なお金が必要などなど……。
このような、いつもとは違うときこそ、なるべく早めに、その情報を親の耳に入れるようにしてみてください。
親とのケンカ等が原因で絶交中であれば、LINEでもOKですが、できれば直接、顔を合わせて言葉で伝えてください。
こうすることによって、親は安心するだけでなく、皆さんに対する信頼度も増しますので、口うるささが軽減するなど、親の変化を実感することができるはずです。
最後に一つだけ、親の立場として皆さんに知っておいてほしいことがあります。
口うるささは愛情の裏返しでもあります。
それを知ると、口うるさい親に対する感情も、今までとは少し違ってくるのではないでしょうか。
まとめ
▶ 自分の言動を変えることで、親の言動の一部を変えられる。
▶ 親が口うるさくなるのは「心配なとき」。
▶ 情報量を増やすことで、親の不安や心配を解消することができる。
書誌情報
著者: 内田 和俊
- 【定価】
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 四六判
- 【ISBN】
- 9784046072399