
今回は、つばさ文庫版が321万部を超える「ぼくらシリーズ」の最新作『ぼくらの東京革命』の制作の裏側をご紹介します!
『ぼくらの東京革命』はどのようにして誕生したのか、どのような気持ちが込められた作品なのか、担当編集者にたっぷりとお話をききました。
また、本ができるまでということで、今回はイラストレーターのYUMEさんに許可をいただき、特別にカバーイラストの本絵を制作されるまでのラフイラストや線画を公開します!
宗田さんの思い
宗田理さんは、10年以上前から、東京に大地震が発生することの心配し、それをテーマにした新作のお話をされていました。
東京都では1400万人が暮らし、そんな人工過密都市に大地震が発生したら、大変な災害になります。特に木造の家が密集している「木密地域」では、大地震での火災の被害が大きくなり、多くの死傷者がでることを心配されていました。
新作で地震への対策や提言をしたいと熱く語られていたので、ぜひ、ぼくらシリーズの新作で書いてくださいとお願いしました。

表紙絵 カラーラフ
さまざまなアイディア
ですが、ぼくらシリーズの主人公たちは、中学生、巻が進んでもまだ高校生。
地震の学者や専門家、政治家も解決できていない、大地震への対策を学生のぼくらがどう解決するのか、物語のアイディアを検討する時間が必要でした。
宗田さんは、地震、災害について多数のノンフィクションの書籍資料を読み、木密地域での、道路を広くしたり公園を増やしたり、火災が起きたときの延焼を防ぐ現実的な案など、さまざまなアイディアを考えてはお話ししてくれました。
ネズミが東京都の住民を追いだして、それが地震予知につながり、現代のノアの箱舟のような計画を立てるという案もありました。川や海の上に水上都市という災害に強い新しい町をつくるアイディアをぼくらが考え、スポンサー企業を集めて、実際に海上都市を造る『ぼくらの海上都市』というスケールの大きな案もありました。

表紙絵 ラフ線画
「ぼくら」らしい作品にするために
悪い大人をやっつける「ぼくら」らしさと、奇抜なアイディアを共存させるにはどうすればいいかと考えたときに、『防災コンテスト』の案が生まれました。
そして、主人公の英治たちが、関東大震災から100年にあたり、東京都が主催する『防災コンテスト』に参加し、大地震の対策を考え、ボランティア活動を行ったり、地震の専門家の大学教授に相談したりして、優れたアイディアを考えだし、校内コンテストで選ばれ、東京都知事に提案するという物語が生まれました。
もちろん、ぼくらシリーズらしく、地震対策の工事を行う建設会社が手抜き工事を行っているという犯罪を暴き、ぼくらが悪い大人を痛快ないたずらで懲らしめる展開も描かれています。

表紙絵 完成イラスト
宗田さんが伝えたいこと
『ぼくらの東京革命』の中で、次のような英治のセリフがあります。
「ぼくらがこれからすべきことは、あらゆる世代の人たちとコミュニケーションをとり、お互いに信頼できる関係を築きあげていくことです。それが大災害に対抗する、最強の武器になる」。
そして、あとがきでは、「防災において何よりも大切なのは、人々が普段から思いやり、助けあうこと」「みんなで知恵を出しあい、力を合わせることが大切」と書かれています。宗田さんが伝えたいメッセージだと思います。
ぜひ、宗田理さんの書き下ろし新作『ぼくらの東京革命』を読んでみてくださいね。