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君は骨格標本のケースに近づいた。サーベルタイガーだろうか、きばが立派でケースも大きい。倉庫は片付いているとはいえず、はくせいを運びこむ時に使ったものだろう、工具などもいくつか転がっていた。君はそこからバールのような工具を手に取り、ケースめがけてふり下ろした。シェリーとソフィーが耳をおさえた。
ガッシャーン! しばらく身がまえながら様子を見る…何も起こらない。防犯ベルすら鳴らない。
「どういうことだ?」
ジェイクが首をかしげた。耳から手をはなしシェリーが考える。
「ここはやつらだけしかいないのね。だから防犯システムなんて必要ないのよ。管理している自分たちしかいないから」
みんなでわれたケースの破片を無言でながめる。
君の見ている先に、骨格標本の骨の一部が転がっている。何の役に立つか分からないけれど、足だったと思われる骨を一本持っていくことにする。