
君はハイイログマの目を見ながらジリジリと後ろに下がっていった。クマはたしかおくびょうで気が弱い生き物だ。こちら側が存在をアピールすれば引き下がる。視線を外さずに、それでいてゆっくりと退却するのがもっとも効果的なはずだ。
ハイイログマと君たちの合間でアザラシたちが寝ている。その平和な光景にも緊張が走る。
――しばらくすると、クマはゆっくりと森に消えていった。
「たっ…助かった…!」
今回ばかりはもうだめかと思っていたが、君の対応はまちがっていなかった。
「これからどこに向かおう?」
シェリーが不安そうに問いかける。それに答えたのはソフィーだ。
「ママの写真の通りにミーティアはいた。だからこの島に必ずママがいる。人が住む場所もあるはずだわ」
「そうだな。ソフィーのママをとらえている悪いやつもきっとこの島にいる」
君がそう言うと、みんな気を引きしめた。そうだ、ソフィーのママ・クレアを助けなくては。