
その時シェリーが言った。
「自分の体を大きく見せて、弱い相手ではないことをアピールして! 目をそらしたら弱いと思っておそってくるわ!」
つまりライオンよりも強い存在だと見せつければいいのか! 君は着ているジャケットを広げるように手を上げ、メスライオンの目をにらみつけた。本当はすごくこわくてひざがガクガクしていたけれど…。
しばらくにらみ合ったが、メスライオンは来たときと同じような、ゆっくりとした動きで後ろに下がっていった。シェリーの助言のおかげで助かった!
しかし突然、群れの中心にいたオスライオンが何かに警戒して立ち上がった。つられてほかのライオンも君たちも周りを見回す。
「あれは…ゾウだ!」
すると少しはなれたところにいたシェリーとソフィーの小さな悲鳴が聞こえた。ドキッとしてふりむくと、子ゾウが女の子たちにちょっかいを出している。
「まだ人間に警戒心がないのね。」「かわいい!」
子ゾウの無邪気さに、こちらも気がゆるんだ。
「待って、あそこにいるのは親のゾウじゃないか」
君が指さした方向に、見上げるほど大きいゾウがこちらを見ている。あんな大きな足でふみつけられたら、ひとたまりもないだろうな…と考えてこわくなった。
親のゾウは耳を大きく広げ頭をふっている。
「耳を広げるのは体温調節のためかな?」
ジェイクがシェリーに聞いた時、ゾウがパオーン!と鳴いた。その声を聞いたターゼンは目を見開いた。
「ゾウ、おこってる!」
ターゼンの声でみんな青ざめる。あれはこちらを威嚇する行動だったのだ。シェリーとソフィーはバッと子ゾウからはなれた。しかし、親のゾウはもうこっちに向かって走り出している!
