
「自分がおとりになる!!」
君はそうさけんで「うおおおおっ!!」と目立つようにダッシュし、ほかのみんなからはなれた。君の予想どおり、親のゾウは君にねらいを定めて付いて来る!
「これでみんなは無事ににげられるはず…。あとできっと合流できるさ!」
君は必死で走った。するとゾウではない、人のバタバタという足音が後ろから聞こえて、君がふりむくと――。
「みんな! なんで付いて来るんだよ!」
ジェイク、ターゼン、シェリー、ソフィーが同じ方向に走っていた。ポポも一生けん命飛んで追いかけてくる。
「ひとりにはさせないわ!」
そう言ったのはシェリーだった。
「メンバーが欠けるようじゃ、Xベンチャー調査隊は存続できないからな!」
ジェイクもあとに続いた。一緒のコースをゾウに追われながら走る。
「でもこれじゃ共だおれだよ!」
君は全力で走りながら必死に考えをめぐらせた。どうやったらこの状況をぬけ出せるんだ!?
すると急に目の前が開けた。
「――海!?」
なんだここ? 入り江? サバナに?
岸壁がきれいなカーブをえがいている。またしても人工的に整備された景色のようだった。
ゾウがドスドスとせまってきた。君たちはとっさにパッと左右に分かれてとびのく。水ぎわでゾウはひるんであとずさった。そうしてしばらく首をふってとどまっていたが、やがていかりをしずめて、来た道をもどっていった。
「あれ何かしら? 海に何かいる」
シェリーが開けた海に向かって指さした。海の上にぽっかりと丸みをおびたシルエットが浮かんでいる。
クジラ? いや、あれはジュゴンかマナティか。君は目をゴシゴシとこすって改めて見直した。謎の海獣がゆったりと海中へもぐる時にその巨体が確認できた。ジュゴンかマナティにしても大きすぎだ!
「いた! ステラーカイギュウ!」
ソフィーが声を上げた。
「なんだって? ソフィー、あれが何か知っているの?」
君はおどろいてソフィーをふり返った。
「ミーティア…本当にいたのね」
君の問いかけには答えず、ソフィーはつぶやいた。
ステラーカイギュウ――。それって島に近づく直前に見た、あの――?
ミーティアって…?