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君がバックパックからスプレー缶を取り出すと、それを指さしジェイクが言った。
「それ、髪の毛をセットするヘアスプレーじゃん!」
見ると『ガチっとまとめてキープ!』なんて書いてある。虫よけと間違えてヘアスプレーを持ってきてしまった!
「かせよ~」
ジェイクがふざけて髪にふきかけた。ハードスプレーでジェイクもターゼンもツンツンヘアになり笑い出した。
「『怒髪天をつく』って故事成語、知ってる…?」
シェリーの髪がスプレーなしで逆立った様子を見て、ジェイクとターゼンはあわてて自分の髪の毛をぐしゃぐしゃにする。怒髪天をつくというのは、激怒している様子のたとえだ。彼らのやり取りに君がくすくす笑っていると、そこにソフィーがぶつかってきた。
「どうしたソフィー?」
「ハチが飛んできてる!」
ソフィーはハチからのがれようと身をよじらせた。ちょっとした群れになって接近している。
「ハードスプレーでハチの羽やクモの足を固めると、やっつけられるって聞いたことがあるぜ!」
ジェイクがスプレー缶を指さしニヤリと笑った。