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野菜のおすすめ絵本を年齢別に紹介!野菜が好きになる絵本16選


子どもの野菜嫌いを改善したい。野菜を好きになってもらいたい。そんな思いを持っているパパやママの皆さん、その思いを絵本を通して伝えてみるのはいかがでしょうか。野菜が身近な存在になったら、苦手な野菜にも興味を持ってくれるかもしれません。

そこで今回は0歳の赤ちゃんから5歳以上の幼児まで楽しめる野菜絵本に注目。元保育士で絵本専門士でもある井上まどかさんに、おすすめの野菜絵本を教えていただきました。
(※表紙の画像を押すと、それぞれの作品ページへ飛ぶことができます)


もくじ

0歳~2歳におすすめの野菜絵本


3歳~4歳におすすめの野菜絵本

5歳以上におすすめの野菜絵本

普段見ることの少ない野菜の姿で子どもに興味を持ってもらおう!

 

0歳~2歳におすすめの野菜絵本

五感を刺激する絵本を選ぶ!

0歳から2歳の乳幼児期は子どもによって成長過程もさまざま。どのような絵本を読み聞かせすればよいか悩む場合もありますよね。離乳食が始まると、野菜などの食べ物が出る絵本に興味を持つ子どももいるかもしれません。

視力が未発達と言われる0歳や、少しずつ大人のまねごとをしはじめる1歳から2歳では、どのような絵本を選べばよいのでしょう。

井上さん:
「0歳から2歳は、ミルクから離乳食、そして大人に近い食事へと移行していく大切な時期です。お子さんの成長はめまぐるしいものです。また個人差も大きいのがこの時期の特徴です。育児書には目安となる食事形態・時期が書かれていますが、焦らずその子に合わせたペースで食事を進めてくださいね。

生まれてはじめて出合う食べ物、その出合いを助ける絵本を選びました。『これは何だろう』『どんな味なのかな』『どんな食感なんだろう』。五感を刺激する食べ物絵本をじっくり味わってください」

リアルな絵の野菜が魅力のロングセラー絵本『やさい』(福音館書店)



平山 和子 作

1982年に出版されて以来、多くの子どもたちに愛され続けているロングセラー作品。野菜の力強さや美しさが伝わってくる写実性の高いイラストが特徴です。前作の『くだもの』(福音館書店)とあわせて楽しむのもおすすめです。

井上さん:
「畑で育った野菜たちが画面いっぱいに広がります。畑の土の中から引き抜く、大根のみずみずしいこと! 思わず絵本の画面を触って確かめたくなります。そのほかにも、食卓でなじみのある、キャベツやトマトも登場します。
やおやさんやスーパーできれいに並んだ野菜を見ることはあっても、畑でどんな風に収穫されているのか、知る機会がないお子さんも多いでしょう。『こんな風にお野菜さんはできているんだね』と会話を楽しみながら、野菜を知るきっかけになればいいですね」

木版画で描かれスープになった野菜たちが美味しそう!『スープに なりました』(講談社)



作:彦坂 有紀 作:もりと いずみ

広告や食品のパッケージ、雑貨のイラストなどでも幅広く活動している彦坂木版工房の二人による絵本。「とろとろ」や「さらさら」、「ごくん」といった擬音で、「野菜が美味しそう!」と大好評。登場する野菜やスープはリアルで温かみがあり、すべて木版画で描かれています。関連書籍が7冊ある、多くの子どもに人気の食べ物絵本シリーズです。

井上さん:
「しっかり野菜を食べてほしいと思っても、見た目から口にするのを嫌がってしまうお子さんもいますよね。そんな時、『そうだスープにしたらどうかしら』と思われた方もいるのではないでしょうか。
にんじんの描かれたページをめくると、『スープになりました』とにんじんスープが描かれています。そのほかにも、じゃがいも、とうもろこしなど実際に作ってみたくなるようなスープが登場。木版画で描かれた野菜やスープはとてもリアルで、画面からおいしそうな匂いがしてきそうな一冊です」

楽しい仕掛けが盛りだくさん!『やさいさん』(Gakken)



tupera tupera(作)

亀山達矢さんと中川敦子さんによるユニットtupera tupera(ツペラ ツペラ)の作品は、この野菜はなんだろうとクイズのように繰り返される展開がわかりやすく、小さな子どもにもおすすめ。野菜を引き抜くシーンはページが縦に展開される仕掛けで迫力満点です。どんな野菜が登場するのか、クイズのように楽しめる内容です。グラフィカルなイラストで描かれるユニークな野菜の表情にも注目。

井上さん:
「『やさいさん やさいさん だあれ』と畑の土にうまっている野菜さん……。仕掛けをめくると土の下に隠れていた野菜たちが出てきます。土の上に見えている部分だけで、野菜をまるごと想像するのは大人でも難しいものです。
保育園で読み聞かせをしていたころは、『もういっかい!』とリクエストが続出し、何度も繰り返し読むことで、誰よりも先に何の野菜か正解を言いたくなるお子さんもいました! 『すっぽーん』と野菜を抜くシーンは気持ちがよく、お家でも声をそろえて言いたくなるはず。お子さんがもう少し大きくなったら、実際に畑で『すっぽーん』体験してみたいですね」

野菜のダジャレを言いたくなる!『ごめんやさい』(ひかりのくに)



わたなべあや/絵

ぺこっと頭を下げる野菜たちの姿がかわいらしい絵本です。「ごめんやさい」「いいよ」の繰り返しから優しさを感じられます。『ありがとまと』『かたづけやさーい』(ともにひかりのくに)など、わたなべあやさんが手がけた野菜絵本は多数。ユニークな野菜たちの様子を読み比べてみてはいかがでしょうか。

井上さん:
「ダジャレで『ごめんやさい』と、ついつい言ってしまうことありますよね。そんなダジャレも絵本になると、こんなにもかわいらしいなんて!
『ごめんなさい』をどういう場面で、どんな風に言えばいいかお子さんに伝えるのは難しいですよね。『ごめんなさい』をかわいい野菜たちが言ったらどうでしょう。『なすちゃんが……』『ごめんやさーい』『いいよ』この繰り返しの安心感。絵本を通して、『ごめんなさい』の意味、そして野菜がかわいらしく擬人化されたことによって、身近な存在として親しみを持つことができるでしょう」

皮やひげを脱いでいく様子が爽快『とうもろこしぬぐぞう』(ポプラ社)



作/はらしま まみ 絵/はらしま まみ

アスリートのような見た目をした「とうもろこしぬぐぞう」が、力強く自身の皮をむいていきます。最後のお風呂のシーンでは「ばりばり」などの擬音もたっぷりで美味しそう。ママとパパの読み聞かせする声に、小さな子どもも笑いながら読み進められます。縦に開く野菜絵本で、ページいっぱいに「とうもろこしぬぐぞう」が登場します。

井上さん:
「とうもろこしの皮むき、お子さんと一緒にしたことはありますか? 力のいる作業ですが、包丁を使わないので、安心して見守ることができます。『とうもろこしぬぐぞう』は『ばりばり』『べりべり』と自分のからだの皮をむいていきます。次々と皮やひげが取れて、黄色い粒が出てくる爽快感と気持ちよさがあります。絵本を読んだあと、お子さんと一緒にとうもろこしの皮むきを実際にやってみたくなります。一緒に食材に触れることで食への興味・関心を持つようになるきっかけになるかもしれませんね」

色とりどりの野菜やくだもの、オノマトペが楽しい『Sassyのあかちゃんえほん もぐもぐ』


監修:Sassy/DADWAY 文・絵・デザイン:La ZOO

発達心理学を研究しデザインされたトイブランド、Sassyの人気絵本シリーズ。関連書籍は累計100万部を突破しました。0歳の子どもにも見やすいカラフルな色と模様で子どもたちを魅了します。野菜とくだものがたくさん登場するので、離乳食デビューとあわせて読んでみてはいかがでしょうか。

井上さん:
「お子さんが手を伸ばしたくなるような、とってもカラフルな食べ物たちが登場します。口を動かす音『もぐもぐ』『あむあむ』や、口に入れた時の感覚『しゃりしゃり』など、オノマトペで表現されていて、思わずまねっこして口や身体を動かしたくなります。『食べるって楽しいね!』そんな風に食へ興味を持つ、第一歩の絵本としてもピッタリです。
お膝の上でお子さんと絵本を広げて、お家の方も一緒に絵本のセリフを言いながら口をもぐもぐしてみてください。実際に食卓でも、おいしい音が聞こえてきそうですね!」

3歳~4歳におすすめの野菜絵本

ストーリーやクイズを通して野菜を楽しめる絵本を選ぶ

遊びやおもちゃ、食事など、色々な面で好き嫌いの意識が芽生える3歳児から4歳児。子どもの偏食が気になる場合もあるかもしれません。

少しずつ意味のある言葉を話したり、理解したりできるようになってくると言われています。幼児期の子どもが興味を持つ野菜絵本を教えていただきました。

井上さん:
「自分で好きな洋服を選んだり、好きな遊びもできたり、お子さんそれぞれのこだわりが生まれ、食べ物に関しても『これは好き』『これは嫌い』とはっきりするお子さんもいますね。野菜絵本を読むことは、その食べ物に興味を持つ機会にはなりますが、それが『苦手克服』とイコールというわけではありません。ですが、興味を持っていることで、何かのきっかけで食べられるようになることを忘れないでいてくださいね。

ここでは、野菜が出てくるストーリーを楽しめる物語絵本、野菜のシルエットクイズが楽しめる絵本を選書しました」

普段はあまり見ない野菜の断面が面白い!『やさいの おなか』(福音館書店)



きうち かつ 作・絵

1997年に出版されて以来、多くの人に愛され続けている野菜絵本です。トマトやピーマンなどさまざまな種類の野菜の断面が見られるので、苦手な野菜を今までと違った目線で知るきっかけにもなるかもしれません。

井上さん:
「『これなあに』というページの隣には白黒で描かれた野菜の断面図があります。次のページをめくると、カラーで描かれた断面図と正解の野菜が。
出てくるのはお子さんにもなじみのある、一度は食べたことのあるような野菜たちです。案外、野菜の断面図=『やさいの おなか』って、しっかり見たことがないかもしれませんね。お子さんだけでなく、大人の方も一緒に何の野菜か当ててみると楽しい一冊です。
絵本に出てくる野菜だけでなく、他の野菜も『この やさいさんの おなか、どうなっているかな』と想像してみてはいかがでしょうか。さらに、野菜への関心が広がることでしょう」

リズミカルな文章で野菜の名前も覚えやすい!『おやおや、おやさい』(福音館書店)



石津 ちひろ 文 / 山村 浩二 絵

早口言葉や回文など、たくみな言葉選びで大人気の石津ちひろさんの野菜絵本。山村浩二さんが描く野菜たちは愛嬌たっぷりで、一生懸命走る姿はつい応援したくなってしまいます。野菜に興味を持つのはもちろん、言葉の面白さも味わえる内容です。

井上さん:
「野菜たちのマラソン大会。野菜たちが一斉に走り出します。さて、マラソン大会の一等賞はだれかしら。なんと意外なお野菜が……。それぞれの野菜の個性が面白く、また文章も『かぼちゃのぼっちゃん かわにぼちゃん』など、韻を踏んだような言葉遊びがとても楽しい絵本です。そのリズミカルな文章は、読んでいる方も楽しくなってきて、読んでいるパパやママも楽しくなってきます。
実際に野菜を見かけるたびに、絵本のセリフを口ずさみたくなります。この本には登場しない野菜のダジャレもお子さんと一緒に考えてみても面白いかもしれません」

土の中の野菜の様子もわかって楽しい『やさいばたけカーレース』(白泉社)



やぎたみこ

野菜畑を舞台に動物たちがカーレースを繰り広げます。畑には20種類以上の野菜が登場し、車によって進み方はさまざま。どうやって進んでいるのか親子で話をしながら読み進めてみるのもよいでしょう。作者のやぎたみこさんは、人気絵本『ほげちゃん』(偕成社)も手がけています。

井上さん:
「今日は、やさいばたけのカーレース。出場の選手はもぐら、かえる、ねずみ、うさぎ、へび、かめの車たちです。にんじん、大根などいろいろな野菜が並ぶ畑や温室など、それぞれの車は特徴を活かして走り抜けます。『レディーゴー!』さて、優勝は誰の手に!? ストーリーも意外な展開で楽しく、最後までどきどきハラハラです。作者のやぎたみこさんの遊び心のある描写は繰り返し読みたくなり、細部まで見ることで新しい発見があるのも楽しい一冊です。物語絵本が好きなお子さんはもちろんのこと、車に興味のあるお子さんも絵本に出てくる野菜を覚えて、食への興味が出てくるかもしれませんね」

ふんどし姿の野菜たちがかわいい!『はっきよい畑場所』(講談社)



作:かがくい ひろし

「だるまさん」シリーズ(ブロンズ新社)などで大人気のかがくいひろしさんが、野菜たちの大相撲大会を描きます。にんじんや大根など、野菜たちのふんどし姿がかわいらしく、温かみのあるイラストが魅力です。

井上さん:
「野菜たちの大相撲、畑場所の千秋楽です。今年は天気も良く、豊作でみんな元気いっぱい。結びの一番は横綱、スイカと大根! さぁ、どんな取り組みが見られるでしょうか。おじいちゃんや、おばあちゃんと一緒に相撲を見ているお子さんもいらっしゃると思います。そんな、お相撲好きのお子さんにぴったりの一冊。
かわいらしくふんどしを締めて、土俵にあがる野菜たちを一緒に応援したくなります。『お相撲で頑張ったお野菜、〇〇ちゃんのお口の中でもがんばるよ~!』と声掛けしながら、楽しい食事の時間になるといいですね」

野菜でできたスタンプが色鮮やか!『やさいぺたぺたかくれんぼ』(アリス館)



松田奈那子

色鮮やかな野菜スタンプが子どもの好奇心をかきたてること間違いなし。「もういいかい」「まーだだよ」のリズムと一緒に野菜たちが隠れます。野菜たちを見つけた喜びとともに、野菜の断面を知るきっかけにもなる内容です。

井上さん:
「お料理を作った時に出た野菜の切れ端を使って描かれた絵本。野菜のスタンプがかくれんぼするストーリーで、何の野菜がかくれんぼしているのか、お子さんと一緒に考えながら楽しめます。野菜を切るとこんな形になっていたのか、スタンプしてみると面白い形をしているなぁと新しい発見もあります。
あとがきに、『やさいスタンプのあそびかた』も載っているので、実際に絵本をみながら野菜でスタンプを楽しみ、スタンプした野菜が食卓に並ぶ事で、『あの時の野菜だ』と親しみを持って食べることができるかもしれませんね」

5歳以上におすすめの野菜絵本

野菜のことをよく知れる絵本を選ぶ

5歳以上になると大人の話や説明なども理解できるようになり、興味の幅も広がります。大好きな分野については知識や経験を積極的に積んでいく一方で、苦手意識がある分野を取り入れるのは難しい場合もあるかもしれません。

長いストーリーも理解しやすいこの時期は、どんな野菜絵本を楽しめるようになるのでしょう。

井上さん:
「幼稚園や保育園では小さい子のお手本になる成長した姿が見られる時期です。園の活動では、植物の観察日記を書いたり、科学的なことに興味を持つ機会も増えてきます。
お家でも簡単に野菜の観察ができるような絵本も選びました。また、長いストーリーが楽しめる時期です。ストーリーに浸ることで、より一層登場する野菜に関心を持つことでしょう。絵本で登場した野菜を一緒にお料理してみても楽しいかもしれませんね。
『どうにかして野菜嫌いが克服できますように』というおうちの方の想いが、お子さんに届くように願っております」

にんじんの魅力がたくさん!『にんじんばたけのパピプペポ』(偕成社)



作・絵:かこさとし

人気作家のかこさとしさんが手がけた、1973年出版のロングセラー絵本。登場するこぶたたちはユニークでかわいらしく、「パタ」「ボボタ」など、思わず口にしたくなる名前も魅力的。働くこと、分け与えることの大切さを知るきっかけになります。続編『パピプペポーおんがくかい』(偕成社)と一緒に読むのもおすすめです。

井上さん:
「お手伝いも勉強もせずに、いつも怠けて困ったことばかりする20匹のこぶたたちが、“あかいねのくさ”を食べたとたんに、あら不思議なことが! こぶたたちの変わりようがとても面白く、楽しい絵本です。
『からすのパンやさん』(偕成社)で有名なかこさとしさんが、にんじんが嫌いなお子さんに向けて作った作品だそうです。ストーリーのテンポも心地よく、私も小さいころ、何度も読み返した記憶があります。にんじんが苦手なお子さんも、絵本をきっかけにして『ちょっとかじってみようかな』と思うかもしれませんね」

そらまめくんに共感する子も多数!?『そらまめくんのベット』(福音館書店)       



なかや みわ 作・絵

「そらまめくん」シリーズの一作目となる作品で、なかやみわさんのデビュー作でもあります。大切なものをなかなか貸してあげられない「そらまめくん」に、共感する子どもも多いかもしれません。そら豆のホクホクとした食感を子どもと一緒に味わってみてはいかがでしょうか。

井上さん:
「そらまめくんのベットは くものように ふわふわで、わたのように やわらかい……。ベットを使わせてほしいと、えだまめくん、グリーンピースくん、ピーナッツくんが言いますが、貸してあげません。そんなある日、そらまめくんの大事なベットがなくなってしまいました。はたして、どこにいっちゃったのかしら。
マメ科の仲間が協力してそらまめくんを助けてあげようと奮闘するストーリーがとても面白い一冊です。私が保育士時代にクラスで読んだ時には、そらまめと似ているマメ科の野菜たちを知ることもでき、給食でそらまめが出た時には、苦手意識を持っていたお子さんも食べてみようとしてくれましたよ」

野菜の生命力に驚き!『やさいはいきている~そだててみようやさいのきれはし~』(ひさかたチャイルド)



監修/藤田 智 写真/岩間史朗

食べ物や動物、植物などを写真で詳しく解説する「しぜんにタッチ!」シリーズのうちの一冊。野菜の切れ端を育てる様子を写真で紹介しています。普段は捨ててしまう場合が多い野菜の切れ端ですが、絵本を真似するだけで立派な教材に。タイトル通り、野菜の生命力を感じることができます。

井上さん:
「料理の時に出た野菜の切れ端、捨てずに育てたことはありますか? 容器に水を入れて切れ端を置いておくことで、芽が出てきます。絵本ではにんじんやじゃがいもなど身近な野菜から芽や葉が出てくる様子を写真でみることができ、こんな野菜も、切れ端で芽が出てくるんだと大人も驚きの内容です。
私も保育園で子どもたちと野菜の切れ端を水につけて、成長する様子を観察したことがあります。ちょうど育てていた野菜が給食に出て、観察を楽しみながらその野菜の味を知ることもできていい体験となりました。おうちでも絵本を読みながら、野菜の切れ端の成長を観察してみてはいかがでしょうか」

普段全く見ることのない野菜の花たちが見られる絵本『やさいの花』(ポプラ社)



写真/埴 沙萠

「ふしぎいっぱい写真絵本」シリーズの一冊で、色鮮やかな野菜の花が魅力です。ほうれん草やトマトなどたくさんの花が登場し、大人も「知らなかった!」と思うこともあるかもしれません。親子で学びながら楽しめます。

井上さん:
「野菜の花を写真で紹介する絵本です。野菜も花を咲かせます。でも、花が咲く前に食べられたり、花を咲かせると栄養をとられてしまうので、花が咲く前にとってしまうこともあるそうです。ですから、こうして写真絵本で野菜の花を知ることができるのは、うれしいことですね。
正直な話、私はあまり植物に詳しくないので、この絵本を見た時にわかる野菜の花は2、3種類でした。そんな私にとって驚きと発見が満載の内容でした。実際に畑に行って、咲いている花をみて何の野菜なのか、お子さんと一緒に話せたら楽しいですよね」

ピーマンがヒーローになって大活躍!『グリーンマントのピーマンマン』(岩崎書店)



さくらともこ 作 中村 景児 絵

苦手意識を持つ子どもも多いピーマンが、ヒーローとなって大活躍。緑色のマントをなびかせながらバイキンたちをやっつけます。子どもたちの憧れるヒーローを見れば、野菜嫌いが変わるきっかけになるかもしれません。ピーマンマンが活躍する絵本は他にも3冊。ピーマン嫌いな子どもや、頑張って食べようとする子どもを応援してくれます。

井上さん:
「いつの時代もお子さんの苦手な食べ物の上位に入ってくる、ピーマン。『においがくさい、たべるとにがい、ぴりぴりからい』そんな、お子さんから嫌われてしまうピーマンですが絵本の中では布巾のマントをつけて、『のどいたバイキン』や『はらいたバイキン』をやっつける、かっこいいヒーローになります。
なかなか、『からだにいいから食べてみよう』『こんなに栄養があるんだよ』と口で説明しても理解するには難しいと思います。『ピーマン グリーン キック』と、ピーマンマンのセリフを言いながら、食べてピーマンが体の中で活躍していることを感じてもらえればうれしいですね」

 


普段見ることの少ない野菜の姿で子どもに興味を持ってもらおう!

苦手な気持ちを持ちやすい野菜でも、ちょっとしたきっかけで食べてくれたり、興味を持って好きになる場合もあるでしょう。絵本に登場する面白おかしい野菜の姿や野菜の断面などは、そのきっかけになるかもしれません。子どもの年齢にあわせた野菜絵本を、親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。
 

【監修者プロフィール】

井上まどかさん



絵本カフェ「ムッチーズカフェ」を運営(店長)。絵本専門士。
東京都内の公立保育園にて9年間勤務ののち、現在は絵本カフェにて時々サボるオーナー・むっちさんの背中を押す係を担当。読み聞かせ出張講座や学生に向けて認定絵本士講師もつとめる。 

ホームページ:https://mucchis-cafe.jimdofree.com/         


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