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歯磨き絵本おすすめ作品を年齢別に紹介!【歯磨きが楽しくなる11選】


虫歯にならないためには毎日の歯磨きが大切。そうわかっていても、保護者が思っている通りに子どもは歯磨きをさせてくれないことは多いですよね。子どもに歯磨きの大切さを伝えても嫌がってしまう時は、歯や歯磨きに関する絵本を取り入れてみるのはいかがでしょう。子どもが持つ歯磨きのイメージを変えるだけで、無理なく歯磨き習慣を身に付けられるかもしれません。

そこで今回はさまざまな絵本に精通している絵本専門士・井上まどかさんに、おすすめの歯磨き絵本を年齢別に教えていただきました。

(※表紙の画像を押すと、それぞれの作品ページへ飛ぶことができます)


もくじ

1~2歳向けの歯磨き絵本の選び方とおすすめの絵本


3~5歳向けの歯磨き絵本の選び方とおすすめの絵本

親子で楽しみながら歯磨きの大切さを学べる1冊を選びましょう

 

1~2歳向けの歯磨き絵本の選び方とおすすめの絵本

歯磨きが楽しくなるような絵本を選ぶ

歯磨きの習慣を身に付けたいけれど、子どもが嫌がって思い通りにいかない時もあるでしょう。1歳から2歳の時期は、歯磨き=嫌いな時間というイメージを持たせないことが大切。歯磨きが楽しくなるような絵本選びがポイントです。

井上さん:
「子どもによって個人差はありますが、乳歯は2歳から3歳までに上下合わせて20本生えてくると一般的には言われています。0歳から2歳は歯が生え始めるとても大切な時期。歯ブラシの存在を知ってもらったり、『歯磨きって楽しいよ』と歯磨きの時間が嫌いにならないようにしたいものです。
これから紹介する“歯磨き”をテーマにした絵本をきっかけに『歯磨きタイム』が楽しいものになるといいですね」

列車に見立てて楽しく歯磨き!『はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』(アリス館)



くぼまちこ/作

子どもが親しみやすい列車と歯ブラシを組み合わせた絵本。愛嬌のある“はみがきれっしゃ”が歯磨きに対するイメージを明るく楽しいものにしてくれるでしょう。くぼまちこさんのデビュー作でもあり、温かみのあるイラストが楽しい雰囲気を伝えてくれる絵本です。

井上さん:
「歯磨きが嫌いなたっくん。どこからか『しゅっ しゅっ……』と“はみがきれっしゃ”がやってきました。たっくんのお口の中に出発進行! 電車が好きなお子さんは、表紙の絵から興味を引かれること間違いなし。歯磨きが苦手なお子さんも絵本を通して、歯磨きへの恐怖感が和らぐのではないでしょうか。

実際の歯磨きでも『〇〇ちゃんのお口の中にも、はみがきれっしゃ しゅっぱつしんこう!』『しゅっ しゅっ しゅっ』と歯ブラシを電車に見立てて、歯磨きタイムを楽しんでみましょう」

かっこいいはぶらしくんに憧れる⁉︎『はぶらしくんです。』(童心社)



とよたかずひこ さく・え

何気ない日常を楽しく描いた「たのしいいちにち」シリーズの第5作。子どもたちの身近な存在である歯ブラシを擬人化し、その仕事ぶりを紹介しています。鮮やかな水色の“はぶらしくん”が、子どもたちを魅了することでしょう。

井上さん:
「初めて歯ブラシを口に入れるのに、抵抗を感じるお子さんも少なくありません。この絵本は“歯ブラシ”を擬人化して『はぶらしくんってどんな人?』『はぶらしくんってどんなお仕事しているの?』と歯ブラシの目線から楽しくお話しています。

キリっとして、テキパキと歯を磨くお仕事をするはぶらしくんの姿を見て、かっこよく思うお子さんもいるのではないでしょうか。小さいお子さんにとって、初めてのものは興味深々な半面、不安な存在です。この絵本を通して、歯ブラシが優しくて、かっこいい大好きな存在になるといいですね」

人気キャラクターで楽しさUP『ノンタンはみがきはーみー』(偕成社)



作・絵:キヨノサチコ

1976年に第1作が登場した「ノンタン」シリーズ。お友だちのような存在として愛されるノンタンと、楽しく歯磨きができます。ノンタンが大きく歯を見せる場面は必見。読みながら親子で一緒にまねしてみてはいかがでしょうか。

井上さん:
「ノンタンと友だちの動物たちがみんなで歯磨きをしています。『ノンタンが イイイのイーして』『はみがき はーみー、しゅこ しゅこ しゅっ しゅ』歯磨きの時間を嫌がるお子さんも、ノンタンたちが歯磨きを楽しそうにしている姿を見れば、絵本の世界に導かれることでしょう。

ノンタンのまねっこをして『イイイのイー』の顔になり、『しゅこ しゅこ しゅっ しゅ♪』とお家の方が一緒にリズミカルに歌うことで、歯磨きタイムが楽しくなると思いますよ」

しかけ絵本で歯磨き習慣『はみがきあそび』(偕成社)



作:きむらゆういち

緑色の怪獣さんや黄色いことりのぴいちゃんなど、おなじみのキャラクターを本屋さんで見かけたことがある人も多いはず。厚い紙でできたしかけ絵本シリーズなので、小さな子どもも簡単にページをめくることができます。お話を聞くよりもページをめくることが好きな子どもにも、おすすめの歯磨き絵本です。

井上さん:
「『あかちゃんのあそびえほん』シリーズとして、赤ちゃんに身近なことをテーマにしたしかけ絵本のひとつです。読者から作ってほしいとリクエストが一番多かったのが『はみがき』をテーマにしたこの絵本だそう。どうしたらお子さんに歯磨きを嫌がらずしてもらえるか、悩んでいる様子がうかがえますね。
かわいいキャラクターたちが歯ブラシを持って、上手に歯磨きをします。しかけ絵本になっているので、めくる楽しみも! 絵本の中のお友だちと一緒に『しゃかしゃかしゃか』とご飯の後の歯磨きの習慣が楽しく身に付くといいですね」

 

3~5歳向けの歯磨き絵本の選び方とおすすめの絵本

歯の疑問に答える絵本を選ぶ

3歳から5歳はいろいろなことに興味を持ち、物事への理解力もアップすると言われています。虫歯や歯の生え変わりに疑問を持ち始める子どもも多いかもしれません。歯の仕組みをわかりやすく教えてくれる絵本を選び、歯への関心を高めてみてはいかがでしょう。

井上さん:
「自分の身体や“虫歯ってなに?”と興味を持ち始める年齢です。自分の歯や虫歯のこと、乳歯が抜けることなど、科学的な視点から歯のしくみを知ることができる絵本や、絵本のストーリーを通して歯の大切さを知ることができます。
絵本は素朴な疑問をわかりやすく伝えたり、フィクションとリアルの境目がとてもあいまいだからこそ楽しめるものです。そんな年齢に向けて、歯磨き絵本を選びました」

思わず口を開けたくなっちゃう♪『いーはとあーは』(福音館書店)



やぎゅう げんいちろう 作

歯に興味を持ってほしい、興味を持ち始めた子どもにおすすめの一冊。独特な魅力のあるやぎゅうげんいちろうさんのイラストが、子どもの好奇心を刺激します。人によって歯の形や大きさは違うこと、歯の大切さなどを、楽しみながら覚えられます。

井上さん:
「“いー”と口を開けている子どもが表紙。そのインパクトから、思わず手に取りたくなる絵本です。なかなか歯のことを、言葉で伝えるのは難しいですよね。絵本を通して、お子さんが自分の歯や家族や友だちの歯について、興味を持ちそうな一冊です。
絵本をまねして『いー』と『あー』の口で、口を開けてみてじっくり歯の中を観察してみたり、大人と見比べてみてもおもしろいかもしれませんね。一人一人の歯の違いにも気付くでしょう。
やぎゅうげんいちろうさんの明快な絵とユーモラスな文章は、子どもたちの関心をひきます。この本を通して、少しでも歯に興味を持つきっかけになればいいですね」

どきどきなのは自分だけじゃない⁉︎『わにさんどきっはいしゃさんどきっ』(偕成社)



作・絵:五味太郎

歯医者さんに行くってドキドキするけれど、実は歯医者さんもドキドキしている!? 『きんぎょがにげた』(福音館書店)など数々の名作を生み出した五味太郎さんの人気作。言葉数も増え、周りの人の気持ちを考えられるようになった時期だからこそ、おもしろさを共有しやすい作品です。

井上さん:
「歯の痛い患者のわにさんが人間の歯医者さんに来たお話です。見開きのページには、わにさんと歯医者さんの言葉が書かれています。『どうしよう……こわいなあ……』とどちらも同じセリフですが、わにさんは『(痛かったら)どうしよう』、歯医者さんは『(ワニさんにかまれたら)どうしよう』と心では感じています。同じ言葉でも、実は気持ちはそれぞれ違ったのです。

ストーリーは、最後までお互い同じセリフが続きます。わにさんと歯医者さんは、無事治療できたのか。言葉遊びがおもしろく、わにさんと歯医者さんの表情から心の声が聞こえてきます。わにさんのように歯医者に行かなくてすむように、虫歯にならないよう歯を大切にしていきたいですね」

歯の「なんで?」に答えます『はははのはなし』(福音館書店)



加古 里子 文・絵

「だるまちゃん」シリーズなどを手がける加古里子さんによる歯磨き絵本。虫歯になってしまう理由などが丁寧に描かれ、歯への関心を高めてくれる一冊。歯について子どもに「なんで? なんで?」と質問されたら、一緒に読んで学ぶきっかけを作るのもよいでしょう。

井上さん:
「1972年に出版された絵本ですが、現在でも世代を越えて読み継がれています。私も子どものころ母に読んでもらったり、自分で読めるようになってからは内容を暗記するくらい、隅々まで読んでいた記憶のある一冊です。虫歯にならないためにはどうしたらよいか、歯の役割、どうして虫歯になるのか、歯磨きの大切さを子どもたちにわかりやすく伝えてくれます。ぜひお子さんにと一緒に絵本を広げてみてください」

かわいすぎる乳歯が魅力『にゅうしちゃん』(岩崎書店)



minchi 作・絵

『いっさいはん』(岩崎書店)で絵本デビューをしたminchiさんが手がけた歯磨き絵本です。主人公に会いにくる、スタイを着けた“にゅうしちゃん”がとにかくかわいい。“にゅうしちゃん”と一緒に登場する“はぶらしちゃん”などとセットになったぬいぐるみも別売りで販売されています。ぬいぐるみを使って歯磨き遊びもできるので、絵本と併せて楽しめます。

井上さん:
「最初の歯のお友だちは“にゅうしちゃん”です。歯をお友だち(擬人化)にすることで、親しみを持って自分の歯を知ることができます。“にゅうしちゃん”はスタイを着けたり、おしゃぶりを吸っていたり、キャラクターもとってもかわいらしい! 例えば乳歯が生えてくる時期を、絵本の中では“にゅうしちゃんたちが やってくる じき”と書かれていて、楽しくわかりやすく自分の歯を知ることができます。
この絵本を通して、自分の歯への愛着と乳歯が抜けた時の喜び、また新しく生えてくる歯の成長を一緒に見守っていきたいですね」

「まち」が舞台の歯磨き絵本『デンタウン』(世界文化社)



中垣ゆたか (作)

口内で作られた歯の街“デンタウン”の成立から消失までを描く、虫歯建築一大スペクタクル! 虫歯の目線からストーリーが展開していく、ほかとはちょっと視点の異なる歯磨き絵本。デンタウンの緻密さが魅力で、食い入るように夢中になってしまうお子さんも多いはず。デンタウンができないようにするにはどうすればよいのかを、子どもと話してみるのもよさそうです。

井上さん:
「真っ白な大地に降りたった、ある家族。その場所はいつも甘くて、おいしい食べ物がたくさんあると言います。穴を掘ってドンドンドン掘り進めて、やがて仲間もやって来ると大きな“まち”ができました。その“まち”の住人の正体とは……。歯がテーマの絵本だったら、想像がつきますね。
作者の中垣ゆたかさんの描く“まち”のなんと緻密なこと! レストランやスタジアム、映画館まで完備されています。“まち”の住人になった気持ちで隅々までじっくり見たくなる絵本です。“まち”の住人に会いたい? 会いたくない? 歯を見直すきっかけになるかもしれません」

こわ〜い絵本と思いきや……?『えんまのはいしゃ』(偕成社)



作:くすのきしげのり 絵:二見正直

歯磨き絵本なのに地獄が舞台!? 昔話風のタッチで描かれる迫力いっぱいのえんま様や鬼たちと、丸めがねをかけたほらふき歯医者のギャップが痛快。怖いと思っていたえんま様たちにだんだん親近感が湧いてくるかも? ケラケラと笑ってしまうほどおもしろい作品です。 

井上さん:
「ほらふき歯医者とえんま様の愉快なお話です。地獄の住民は、甘いものが大好きなのに、歯を磨いていなかったようです。虫歯を治療することになった鬼とえんま様。さて、ほらふき医者はどんな治療をするのでしょうか……。
ほらふき医者との出会いで、鬼もえんま様も歯磨きをするようになるのでしょうか。病院にかからなくていいように、しっかり歯磨きして虫歯を予防していきましょう」

 歯を通して世界を学べる『はがぬけたらどうするの?』(フレーべル館)



セルビー・ビーラー/作 ブライアン・カラス/絵 こだまともこ/訳

乳歯が抜けたら、その歯はどうしますか? 6歳前後になると、乳歯が抜けて大人の歯に生え変わる子どもも増えてきます。抜けた歯をどうするか、日本を含め世界の風習をかわいらしいイラストで解説した本作。乳歯が抜けた後どうしたらいいか、絵本を通してあらかじめ学んでおくといいでしょう。

井上さん:
「ご自身が幼かった時、乳歯が抜けた後どうされていましたか。私は『真っ直ぐ丈夫な歯が生えますようにと願いを込める』という意味を祖母から教わり、上の歯は縁の下、下の歯は屋根の上に投げていました。日本以外の子どもたちは、抜けた乳歯をどうしているのでしょうか。
この絵本は64の地域から集めた『はがぬけたらどうしてる』について、さまざまな言い伝えや風習が載った一冊。そのなかのおもしろい風習をひとつご紹介。コスタリカでは抜けた歯に金メッキをして、お子さんにイヤリングを作ってくれるそうですよ!」

 

親子で楽しみながら歯磨きの大切さを学べる1冊を選びましょう

子どもの年齢や興味に合った歯磨き絵本なら、親子で楽しみながら歯磨きの大切さを伝えられるかもしれません。歯磨きって楽しい、自分の歯を大切にしたい。子どもの気持ちを変えるきっかけになる絵本を選んでみてはいかがでしょうか。

【監修者プロフィール】

井上まどかさん



絵本カフェ「ムッチーズカフェ」を運営(店長)。絵本専門士。
東京都内の公立保育園にて9年間勤務ののち、現在は絵本カフェにて時々サボるオーナー・むっちさんの背中を押す係を担当。また、読み聞かせ出張講座や学生に向けて認定絵本士講師もつとめる。
ホームページ:https://mucchis-cafe.jimdofree.com/


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