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【ねずみ絵本のおすすめ12選】プロが厳選!国内&海外での人気のねずみ絵本を紹介


小さな体に長いしっぽ、丸い耳がかわいらしいねずみは、昔から身近な存在としてなじみのある動物ですよね。ねずみが出てくる絵本も多く、日本だけでなく海外でもねずみが登場する作品は数多く出版されています。

かわいいねずみの絵本が読みたいけれど、どの作品がいい?うちの子が楽しめる絵本を見つけたい!さまざまな絵本に精通されている絵本専門士・井上まどかさんに、おすすめのねずみ絵本を教えてもらいました。

(※表紙の画像を押すと、それぞれの作品ページへ飛ぶことができます)


もくじ

世代を超えて親しまれる名作がずらり!日本のおすすめねずみ絵本


海外のおすすめ作品はコレ!世界中で愛されるねずみ絵本

子どもの興味に合わせ、愛らしいねずみ絵本ですてきな読書体験を!

 

世代を超えて親しまれる名作がずらり!日本のおすすめねずみ絵本

ねずみが出てくる絵本といえば、何を思い浮かべるでしょうか? ねずみが登場する絵本は、時代を問わず楽しめる名作ぞろい。ママやパパが幼いころに読んでいた絵本が、今も人気の絵本として子どもたちに親しまれています。

日本で生まれたねずみ絵本のなかから、特におすすめの作品をご紹介します。

大自然の中で過ごすねずみたちの生活が大人気『14ひきのあさごはん』(童心社)



いわむらかずお:さく 童心社

1983年に出版されて以降、全世界でシリーズ累計1500万部を超えるほど人気の「14ひきの」シリーズ最初の作品。細かく丁寧に描かれている背景や“のねずみ”たちの愛らしい様子は、今も多くの人を魅了し続けています。 

井上さん:
「森にすむ14ひきの“のねずみ”。家族みんなで力を合わせて朝ご飯の準備をします。子どもたちは野いちごを拾いにいき、お母さんとおばあちゃんはどんぐりパンを焼き、お父さんはスープを作る、そんな14ひきの“のねずみ”たちには何気ない日常が、とても新鮮に見えます。14ひきで丸いテーブルを囲んで食べる朝ごはんは、にぎやかでとってもおいしいことでしょう。

自分もねずみの家族の一員になって、こんな一日の始まりで朝を迎えたいものです。画面いっぱいに描かれた大自然や、ねずみたちが住む森の朝のすがすがしい空気まで感じられます。ねずみの名前を確認しながら、ページの隅々まで14ひきがどこにいるのか探すのも楽しい一冊です」

この後どうなる?が止まらない『ねずみくんのチョッキ』(ポプラ社)



作:なかえ よしを 絵:上野 紀子 ポプラ社

繰り返される話の展開で子どもの心をわしづかみ!「ねずみくん」シリーズ第1作となる絵本で、登場する動物たちの豊かな表情も魅力の一つ。声色を変えて読み聞かせると、子どももより楽しんでくれるかもしれません。

井上さん:
「ねずみくんのお母さんが編んでくれたお気に入りのチョッキ。お友だちのどうぶつたちにも大人気。アヒルやサル、アシカなど、みんなが次々とチョッキを借りにきます。『いいチョッキだね ちょっときせてよ』『うん』『ちょっときついが にあうかな』という、ねずみくんとお友だちのどうぶつの繰り返しのセリフのやりとりが、とてもテンポよく“次はだれがチョッキをきるのかな?”とお子さんと一緒にページをめくりながら楽しめます。あれあれ、ねずみさんサイズの小さいチョッキ。このあとどうなっちゃうの!?」

大きなカステラが魅力的!代表的なロングセラー絵本『ぐりとぐら』(福音館書店)



なかがわ りえこ:作 おおむら ゆりこ:絵 福音館書店

ロングセラー絵本の代表作とも言える作品で、子どものころに親しんでいたママやパパも多いのではないでしょうか。1967年に登場し、累計発行部数は2630万部を記録している人気シリーズです。シンプルなイラストで想像力をかき立てられる絵本の世界観は、これからも世代を超えて愛され続けることでしょう。

井上さん:
「野ねずみのぐりとぐら。ふたりがこの世で一番好きなのは、お料理をすること、食べること。森の中で見つけた大きなたまごを使って、カステラを作ることにしました。大きなたまごを運ぶのも一苦労。そこで大きいプライパンを持ってきてその場で作ることにしました。いいにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきました。ふんわりと黄色く焼きあがったカステラのおいしそうなこと。

読んでいるうちに、いつの間にか自分もねずみサイズになったような感覚になります。そして森の動物たちと一緒に、おなかいっぱいカステラをほおばりたいものです」

ねずみの表情とマイペースさにクスッ『ねむいねむいねずみ』(PHP出版)



佐々木マキ:作・絵 PHP研究所

疲れ果て、ベッドで早く眠りにつきたいねずみの周りで次々と不思議なことが起こります。始終眠そうな表情のねずみを見ていると、自分まで眠くなったり、クスッと笑ってしまうかもしれません。

井上さん:
「旅をするねずみが、歩き疲れてたどり着いた一軒の古い家。その家でねずみが眠ろうとするたびに、ベッドやタンスがおどりだすなど、不思議なことが起こります。『もうー。どうでもいいから、とにかく ねかせてよ……』とねずみはフラフラ。ねずみは安心して眠ることができるのか。そして不思議な出来事の正体とは……。

ねむいねむいねずみのトロンとした表情と、どんなことが起きようとも『ねむいねむい』というマイペースさがとってもかわいらしい一冊。どんな状況でも寝てしまう、近くのだれかさんに似ていませんか?」

パンツの持ち主を親子で予想『ねずみさんのパンツ』(ブロンズ新社)



tupera tupera ブロンズ新社

「第2回 街の本屋が選んだ絵本大賞」をはじめ、さまざまな賞を受賞した話題作『しろくまのパンツ』に続くパンツ絵本第2弾。お話はもちろん、絵本の帯や型抜きなど、パンツの形を存分に楽しめる仕掛けもおもしろい、すてきな一冊となっています。

井上さん:
「ねずみさんがパンツをなくして困っています。お友だちのしろくまさんと一緒に探すことにしました。『これ ねずみさんのパンツ?』『ううん ちがう』じゃあだれのパンツ?パンツの形をした型抜きページをめくると……。驚きのパンツの持ち主が現れます。次々にパンツを見つけますが、なかなかねずみさんのパンツが見つかりません。

さて、ねずみさんのパンツはどこにいったのでしょう。お子さんと一緒にパンツの持ち主を予想してみてくださいね。パンツ(帯)を脱がせてから読むしかけ絵本『しろくまのパンツ』より小さく、ねずみさんの大きさに合わせたサイズ感もかわいい絵本です」

日本の昔話を絵本で伝える『ネズミのよめいり』(佼成出版)



谷 真介:文 赤坂 三好:絵 佼成出版

十二支のねずみを主人公にした昔話です。昔話ならではの雰囲気を伝えてくれる絵と、クスッと笑ってしまう物語の結末が魅力的。子どもを思う親の気持ちに、大人も共感しながら読み進められる絵本です。

井上さん:
「ねずみの夫婦が大事に大事に育てたかわいい娘。『なかまのネズミなんかにゃ、(娘をお嫁に)やれないよ』とお父さんとお母さんは話し合い、“世界一のお婿さん”を探すことにしました。お日さま、月、風……と“世界一のお婿さん”を訪ね歩き、最後にたどり着いた相手とは。『今から娘がお嫁に行くことを想像すると……』と思う方もいるのではないでしょうか。“娘に幸せになってほしい”と思うのは、ねずみも人間も一緒ですね。

嫁入り道具の準備や、披露宴の様子も描かれていて、お子さんと一緒に絵本を通して昔の結婚式の様子を見ることができるのも興味深い一冊です」

リズミカルな掛け声が印象的『ねずみのすもう』(偕成社)



文:神沢利子(かんざわとしこ) 絵:赤羽末吉 偕成社

『スーホの白い馬』などを描いた赤羽末吉さんの絵が楽しめる、ねずみが題材の昔話です。リズミカルなねずみの掛け声に、子どもが夢中になること間違いなし!

井上さん:
「むかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんが山へ行くと『でんかしょ でんかしょ』という声が聞こえてきました。やせねずみとふとっちょねずみは相撲の真っ最中。やせねずみはふとっちょねずみに投げられてばかり。おじいさんはやせねずみをかわいそうに思い、戸棚にお餅を入れて食べさせることにしました。さて、2匹のねずみの勝敗はいかに……。

大人も幼いころ、一度は耳にしたことのあるお話ではないでしょうか。おじいさんとおばあさんの優しい人柄にホッとし、『でんかしょ でんかしょ』とねずみが相撲をとる時の掛け声のリズムも楽しい!お子さんに語り継いでいきたい昔話の一つですね」

海外のおすすめ作品はコレ!世界中で愛されるねずみ絵本

国内の絵本とは違う雰囲気を持つ海外の絵本ですが、そのおもしろさや魅力は万国共通。人々になじみの深いねずみは、海外でも絵本の題材として多く起用されているキャラクターです。

世界中から愛されている人気作品を、井上さんに厳選してもらいました。

他人と比較しない大切さを気付かせてくれる名作『フレデリック-ちょっとかわったのねずみのはなし』(好学社)



レオ=レオニ:作 谷川俊太郎:訳 好学社

アメリカの人気絵本作家、レオ=レオニによるねずみの絵本を、翻訳家や絵本作家としても活躍する谷川俊太郎さんが翻訳。主人公フレデリックの言動を通して、生きる上でのヒントを優しく教えてくれる名作。

井上さん:
「フレデリックはちょっと変わったねずみ。仲間のねずみが冬に向けて食べ物を集め働いているところ、ひとりでじっとしています。『どうしてはたらかないの』『こうみえたってはたらいているよ』寒くて暗い冬のために、光や色、言葉を集めているのだと言います。一体どういうことでしょうか。冬を迎えいよいよ食べ物がなくなり、だれも言葉を発さなくなった時にフレデリックがとった行動とは……。

人と違う視点で物事を考え行動すると、誤解されたり、疎外されたりしてしまうことがあるかもしれません。でも、この絵本のフレデリックのように“自分の思う道を進んでいけば認めてもらえる”、 “大丈夫!自分は自分でいいんだ”と思えるかもしれません」

“ないしょ”が好きな子どもたちにおすすめ『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版)



ビバリー・ドノフリオ 文 バーバラ・マクリントック:絵 福本友美子:訳 ほるぷ出版

女の子とねずみの友情を描いた物語で、それぞれの視点から読み進めることができます。ふたりを対比させる絵の構造もユニークで、細かな違いを見つけるのも楽しい作品です。

井上さん:
「同じ家に住む人間のマリーとねずみの女の子。ふたりは似た者同士。毎朝それぞれ学校に行き、同じように過ごします。夕飯の片付け中、フォークを落としたマリーは、同じく偶然フォークを落としたねずみと、穴の開いた壁越しにばったり顔を合わせます。その時から、お互いの存在に気付きながら“ないしょのおともだち”として過ごす日々が始まります。さて、マリーとねずみの“ないしょのおともだち”関係はどんな展開を迎えるのでしょうか……。

子どもは“ないしょ”が好きですよね。秘密にしておきたい大切な“ないしょ”で育まれた“おともだち”。胸をドキドキさせながら、お子さんと一緒にストーリーを楽しんでほしいです」

本の魅力が伝わる絵本『としょかんねずみ』(瑞雲舎)



作: ダニエル・カーク 訳: わたなべ てつた 瑞雲舎

絵本を読む楽しさだけではなく、本を書く楽しさまで教えてくれる絵本。「としょかんねずみ」シリーズの1作目となる作品です。

井上さん:
「サムは図書館にすむねずみで、本を読むのが大好き。いろいろな本を読んでいくうちに自分でも本を書いてみたくなります。自分で書いた本を図書館の棚に並べてみると、人々はサムの本を大絶賛。本を3冊書いたところで『本を書いた作家にぜひ会いたい』というお手紙がサムのもとに来たのです。サムはそのお返事にどんな答えを出したでしょうか……。

ねずみのサムが本を読むことを楽しんだり、本を書いたりして読者の反応に喜ぶ姿は『本がすき!』という思いにあふれています。この絵本をきっかけに『サムみたいに絵本をもっと読んでみたい』とお子さんが本と向き合う時間が増えるといいですね」

映画のような大冒険が絵本に! 『リンドバーグ 空飛ぶネズミの大冒険』(ブロンズ新社)



トーベン・クールマン:作 金原瑞人:訳 ブロンズ新社

イラストレーターや絵本作家として活躍する著者が、大学の卒業制作として構想した作品。初めての絵本でありながら高く評価され、発売と同時に20言語に翻訳され、世界中で瞬く間に人気となりました。写真のような絵の精細さは、子どもから大人まで魅了します。

井上さん:
「“知りたがり”の小ねずみが主人公のお話です。突然、姿を消した仲間を探すために、町を抜け出してニューヨークを目指すことにします。目的地に行くために空を飛ぶことを決意した小ねずみは、飛行機を自ら作り何度も試行錯誤を重ね、ついに空を飛びます。小ねずみは無事ニューヨークへ着き、仲間に会うことができるのでしょうか。

ページをめくり、物語を読み進めていくうちに主人公の小ネズミに感情移入すること間違いありません。また、たくさんの困難を乗り越えたような達成感も味わえます。読み終わったあとに、一本の映画を見たような感覚になる緻密な描写が魅力です」

“こわい”の気持ちを考えるヒントに『こわい、こわい、こわい?しりたがりネズミのおはなし』(西村書店)



ラフィク・シャミ:文 カトリーン・シェーラー:絵 那須田 淳:訳 西村書店

ドイツ出身の作者が、子どもが持つ“怖い”への好奇心に応えます。小さなねずみと大きな動物たちのやりとりは大迫力。怖いと思いながらも、繰り返し読みたくなる作品です。

井上さん:
「お母さんねずみが帰ってきて『ああ、こわい……』というのを聞いた知りたがりの子ねずみのナミ。“コワイ”って一体どんなものだろう、知りたくなって“コワイ”探しに出かけます。ライオンやカバ、ゾウにあっても“コワイ”の正体がわからないナミ。ナミが最後に出会う生き物で“コワイ”の正体はわかったのか……。

知らない言葉を聞くと『それって何?』とお子さんから質問攻めにされることも多いですよね。なかなか“コワイ”という感情をお子さんに伝えるのは難しいかもしれません。だからと言って、コワイ体験には遭遇したくないものです。絵本を通じて“コワイ”のヒントがつかめるといいですね」


子どもの興味に合わせ、愛らしいねずみ絵本で
                  すてきな読書体験を!

小さなねずみだからこそ、頑張る姿に共感し、見える世界に感動するのかもしれません。日本、海外ともに、愛らしいねずみが活躍する絵本はたくさんあります。絵本選びに迷ったら、紹介した作品から子どもの興味に合わせて選んでみてはいかがでしょう。きっと親子ですてきな読書体験ができるはずです。
 

【監修者プロフィール】

井上まどかさん



絵本カフェ「ムッチーズカフェ」を運営(店長)。絵本専門士。
東京都内の公立保育園にて9年間勤務ののち、現在は絵本カフェにて時々サボるオーナー・むっちさんの背中を押す係を担当。読み聞かせ出張講座も開催。また、学生に向けて認定絵本士講師もつとめる。

ホームページ:https://maitaka84.com/


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