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子どもと一緒に読みたい! 笑える絵本

「笑う門には福きたる」と言いますが、笑うことは子どもたちにとって心身ともに素晴らしい効果があります。親子でわっはっはと笑うことで温かなコミュニケーションが築けますし、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌されて、幸せな気持ちが湧きあがるという科学的根拠もあるそうです。

今回は、そんな心も体もぽかぽか温まるような、笑いが止まらないユーモア絵本をご紹介します。親子で読みながら楽しく笑いあうことで、温かな気持ちに包まれますよ!

ほげちゃん



  3歳~  
「ほげちゃん」
作/やぎたみこ 偕成社
1,100円

あらすじ

ゆうちゃんはぬいぐるみをもらいましたが、なんだか変な顔。
“ほげちゃん”と名付けられましたが電車ごっこで引きずられたりお父さんのおならを吹きかけられたりケチャップの手形をつけられたり……。そして家族のお出かけの日、ほげちゃんは「汚いから」とネコのムウと一緒に置いていかれます。
ドアが閉まったとたん、ほげちゃんから「ゆるせないー!」と怒りのおたけびが上がりました! ほげちゃんは、変な顔って言われたり変な名前を付けられたり、かまれたり踏まれたり汚されたりの扱われ方にずーっと我慢していたのです。「もう~~こんな いえ、めっちゃくちゃの ぎったぎたの ばっこばこに してやる!」。
怒りが爆発し大暴れし始めたほげちゃん。さあ、ほげちゃんの怒りは一体どうなってしまうのでしょうか?‼

おすすめポイント

ぬいぐるみのほげちゃんは、とぼけた見た目から想像もつかないほどブチ切れキャラ。
本当はクマのぬいぐるみなのにカバに間違われて、ゆうちゃんのお気に入りとなりましたが、まだ手づかみ食べをするくらい小さいゆうちゃんですからその扱いはけっこう雑……。という感じで、思っていたのとなんだか違う扱いにストレスマックス!
そんなほげちゃんにちょっと共感してしまいます。そのブチ切れ具合が「おうちをぐっちゃぐちゃにしちゃうぞ!」というのもなんともかわいく、思わず笑顔に。
作者のやぎたみこさん曰く「ほげー」と鳴きそうだから“ほげちゃん”、というおとぼげ具合いにもなんだかハマる、ユーモアたっぷりのおもしろい絵本です!

カ どこいった?



  3歳~  
「カ どこいった?」
作・絵/鈴木のりたけ
小学館 1,320円

あらすじ

気づいたらこっそり血を吸われるし、刺されるとかゆくてイライラする“カ”。この絵本は、そのにっくき“カ”を読み手も一緒に退治しちゃおうという画期的なアクション絵本です。
絵本の中に“カ”を発見、勢いよくページをめくって、“カ”を挟んで退治しようとします。「パーン!」とたたくと、“カ”はひらひらと逃げていき、積み木の上に止まった“カ”をもう一回ページをめくってたたこうとすると、ガッチャーン!と、積み木は粉々。でもまた逃げられて……。
ケーキ、ピアノの上、噴水の小便小僧の頭の上などなど、どんどん“カ”はとんでもないところに移動して、たたき損ねた手がまた大惨事を引き起こし続けます! さあ、“カ”はうまく仕留められるのでしょうか?

おすすめポイント

絵本の画面上にいる“カ”を、ページをめくることで「パーン!」とやっつけてしまおうと、読者も絵本の中に入り込んで楽しめる参加型絵本です。
私たちは“カ”を見つけるととっさにたたこうとしますが、“カ”はするりと逃げ出していってしまうのもあるあるですよね。そんな心理が、ページをめくるアクションと一体化して「次こそ仕留めるぞ!」と読めば読むほどワクワク感が募っていきます。
さらに、さまざまなシチュエーションで“カ”をたたいて失敗するたび、とんでもない惨事が引き起こされる展開に爆笑必至です。
読者も一緒に参加するので読み聞かせ会でも大人気、とっても盛り上がる絵本です。

だれのパンツ?



 4・5歳~  
「だれのパンツ?」
作/シゲリカツヒコ
KADOKAWA 1,650

あらすじ

タロウが団地の前の公園に寄り道していると、何かがバサッと落ちてきました。黄色い、ヒョウ柄の布です。「もしかして、パンツ……?」。すると、上の方から、「おーい、こっち こっち!」と声が。見上げると、似たような色の洗濯物が団地のベランダで揺れています。
持ち主にとどけようとその部屋をおとずれたタロウですが、「私がこんなに大きなパンツをはくわけないでしょ」と、住人に怒られてしまいます。
そこからタロウの冒険がスタート。
黄色い絵ばかりを描く絵描きさんの部屋を訪ねたり、闘牛士やゴリラが暮らす部屋を訪ねたり……不思議な住人たちの間を駆け巡ります。
「パンツ」の持ち主は、いったい誰だったのでしょう。
作家のシゲリカツヒコさんがひそませた、あそびゴコロたっぷりの絵さがしも楽しめます。

おすすめポイント

大きな大きな黄色いパンツが降ってくるという事件から物語がはじまります。タロウが訪ねる扉の向こうで暮らす団地の住人は、みんなひと癖ある人たちばかり。上へのぼっていくと、階段がゆがんでいたり人以外のいきものが暮らしていたりと、奇想天外な展開に。
絵本のなかに登場する黄色い「パンツ」の柄や、住人たちの部屋に注目してください。よーく見ると、おはなしの続きがわかるヒントがかくれています。
そしてなんといっても、「パンツ」だと思っていたものが実はちがった!? というまさかのオチに大笑い。
読み終わったあと、最初のページに戻って絵を見比べたりと、何度も楽しめる絵本です。

いっぺん やって みたかってん



  3歳~  
「いっぺん やって みたかってん」
作/はっとりひろき
講談社 1,430円

あらすじ

今日は雨降りなので、公園には誰もいません。そこで出てきたのは砂場の“すなくん”。
「なーなー。だ~れも おらへんし ぶらんこくん いっぺん あそばせてや~。」すなくんはそう言うと、ぶらんこくんに「ひゃっほー‼」と乗り込みます。
雨が降って砂が固まっているから大丈夫とは言いますが、ちょいちょい砂は飛び散っていて読者はハラハラ。さらにはすべりだいくんも、「ぼくも やってみたいわー」とぶらんこくんに無理やりまきつきます。ついには、ぶらんこくんも参加して、すべりだいくんを滑りおります。
いつもは遊ばれる側の遊具たちが、誰もいない公園を思う存分遊びつくすシュールな設定に、思わず笑顔になってしまいます。

おすすめポイント

誰もいない公園では、いつもの遊具は何をしているかな? という突拍子もない発想からはじまって、遊具たちによるむちゃくちゃな遊びが絵の中で思いっきり展開されます。
特に、砂場の砂がどうやって遊ぶの? と思ったら普通に砂が散らばっていて、そんな絵を見ても「ぷっ」と吹き出してしまいます。ぶらんこやすべりだいたちの鬼ごっこや木登りも、ありえない状況の絵のおもしろさが味わい深く、遊具たちの楽しそうな姿を見ていると、笑いながらなんだか気分まですっきりしてしまいます。
思いっきり遊ぶ爽快さを感じながらもゲラゲラ笑える楽しい絵本です。

ま、いっか!



  5歳~  
「ま、いっか!」
作/サトシン 絵/ドーリー
えほんの杜 1,540円

あらすじ

テキトーさんが目覚まし時計の音で目を覚ますと、会社はとっくに始まっている時間でした。時間のセットを間違ってしまったみたいです。ですが、テキトーさんは「ま、いっか!」で終わらせてしまいます。
遅刻をしても会社には行こうとするテキトーさんは支度をしますが、ネクタイの結び方がへんてこりん。それでも「首にちゃんと巻いていることにはかわりないから、ま、いっか!」。バスを乗り過ごしても「ま、いっか!」。カバンをバスに忘れてしまっても「ま、いっか!」。
テキトーさんの一日は、どんな失敗があったとしても一事が万事、「ま、いっか!」で過ぎていくのでした……。

おすすめポイント

テキトーさんはその名の通り、どんなに失敗してもまずいことが起きても「ま、いっか!」を合言葉に適当に日々を過ごしています。
しかしバスを乗り過ごしても、いつもと違う景色を見るのはとってもおもしろくて得した気分になるし、足がもつれて海に落ちてしまっても、久々の海水浴を楽しんでしまうし、「ま、いっか!」というテキトーさんの生き方を見ていると、読み手も愉快な気持ちになってきます。
どんな失敗も「ま、いっか!」でやり過ごすテキトーさんの姿がちょっと哲学的で、「なんだかいいね」と大人にもウケる、おもしろ絵本です。


今回は笑える絵本を紹介しました。
次回は、「チョコレート」をテーマにした絵本を紹介予定です。(1月公開予定)

お楽しみに。
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