私たちのまわりには、プラスチック製品があふれています。軽くて丈夫、とても便利で生活に欠かせないものですが、一旦ゴミとなると自然界で分解されず海に流れだしたり、焼却するときには温室効果ガスを発生したりと、地球温暖化の原因のひとつとも言われています。
環境問題の要因として注目され、現在はプラスチック製品を増やさないよう再利用が促進され、分別やリサイクルが法律によって義務付けられています。
今回は、このプラスチック製品がなぜ問題となっているのか、環境問題を解決するために私たちができることは何か、世界で行われている取り組みはどんなものかを知ることのできる絵本をご紹介します。
プラスチックのうみ
未就学児~小学校高学年
「プラスチックのうみ」
作/ミシェル・ロード 絵/ジュリア・ブラットマン 訳/川上拓土 監修/磯辺篤彦
小学館 1,650円
あらすじ
大きな海に、大小無数のプラスチックゴミが浮いています。人間が捨てたゴミが海に流れ着いたのです。
ゴミの中で魚が泳ぎ、ペットボトルのふたを口の中に入れています。その魚をアザラシが食べます。
プラスチックの魚とり網がアザラシにからみつきます。海流にのってゴミはどんどん海に広がり、そのゴミはウミガメに引っかかります。
海沿いには人間たちが捨てたプラスチックゴミが埋め立てられ、そこからまた海へとゴミがばらまかれていきます。
私たち人間が捨てたプラスチックゴミによって、ゴミだらけの海となってしまっている海。きれいな海を取り戻すために今なにができるか? を問う絵本です。
おすすめポイント
プラスチックゴミによる海洋汚染について描いた絵本です。
海洋汚染の原因であるプラスチックゴミを小さな魚が食べ、それをさらに大きな魚や海洋生物が食べるなど生態系に取り込まれていき最終的に人間の体にも入って健康に悪影響を与えます。
持続可能な開発目標=SDGsの17の目標のうち14番目の「海の豊かさを守ろう」でも取り上げられ、ふだんからプラスチックゴミを出さないようにすること、プラスチック製品をリサイクルすることなどが、きれいな海と海洋生物を守るための取り組みとして示されています。
そうした海洋のプラスチックゴミの現状も巻末で取り上げながら、絵本では、私たち人間は海にあふれるプラスチックゴミに危機感を持つべきと警鐘を鳴らします。
さようなら プラスチック・ストロー
小学校中学年~
「さようなら プラスチック・ストロー」
文/ディー・ロミート 絵/ズユェ・チェン 訳/千葉茂樹
光村教育図書 1,760円
あらすじ
古代、飲みにくい飲み物を飲むためにシュメール人たちは植物のアシを使って“ストロー”を作り、その後は最近まで植物の茎や紙をまいたストローを使うことが一般的でした。ですが紙のストローはぬれるとバラバラになってしまいます。そこで、ついにプラスチック製のストローができました。
安くて丈夫なプラスチック・ストローは1960年代には世界中に広まりましたが、当時は使い捨てされたストローの影響について誰も考えていませんでした。
軽いプラスチック・ストローは風や海流に乗って遠くまで運ばれ世界中の海岸で83億本ものストローが見つかると言われています。
「プラスチック・ストローを使わない」という環境を守るための小さな一歩を描いた絵本です。
おすすめポイント
私たちの生活を便利にしているプラスチック製品の中でもストローに着目し、その歴史と環境への影響を説明した絵本です。
使い捨てられたストローは海に流され、食べ物と間違えて海洋生物たちが飲み込み、喉につかえて死んでしまうこともあります。そうして海の生き物はどんどん数が減少し、絶滅の危機に瀕している種もあるそう。
そうした現状に対し、2011年、9歳の男の子が「ストローをなくそう」というキャンペーンをはじめたり、世界中でプラスチックではなく紙や分解しやすいストローを使うように定められたり、さまざまな取り組みが進んでいます。環境を守るための小さな一歩とはどんなものかを教えてくれます。
ステラとカモメとプラスチック うみべのおそうじパーティー
3,4歳、小学校低学年
「ステラとカモメとプラスチック うみべのおそうじパーティー」
作/ジョージナ・スティーブンス 絵/イジー・バートン 訳/伊藤 伸子
岩崎書店 1,760円
あらすじ
ステラは海の近くのマンションにおばあちゃんと住んでいます。そこには、毎日小さいカモメ・ミューちゃんが遊びに来ます。ミューちゃんが毎日持ってくるのはストローやペットボトルのふたに、おかしの袋、全部プラスチックでできたものばかりでした。
ある日、ミューちゃんが姿を見せません。探しにいくと、ミューちゃんは具合が悪そうです。病院ではミューちゃんの体の中にプラスチックがたくさんつまっていると言われました。
ミューちゃんのためにプラスチックゴミを減らそうと、ステラは“海辺のおそうじパーティー”を町のみんなに呼びかけたり、プラスチック製品の会社にも手紙を出したり行動を始めるのでした。
おすすめポイント
ミューちゃんのような海鳥の10羽に9羽はプラスチックを食べてしまっているそうです。プラスチックはそのままお腹にたまるので、えさを食べられず死んでしまいます。
海鳥たちを助けるには、まずプラスチックゴミを放置しないようにすること、できるだけプラスチック製品ではなく自然にかえる素材の製品を使うこと、そしてプラスチックゴミを集めてリサイクルすることが必要です。
このお話ではチョコレートのプラスチックの袋はリサイクルされ遊具になりましたが、ほかにもペットボトルをリサイクルすると新しいペットボトルや衣料品になったり、化学製品の原料となったりします。
絵本では、そうした世界でのさまざまな取り組みも紹介され、日常生活の中で私たちが環境のために取り組めることは何かを伝えてくれます。
ハブラシのサミー
5歳以上
「ハブラシのサミー」
著/M・G・レナード 絵/ダニエル・リエリー 訳/青山 南
化学同人 1,980円
あらすじ
ソフィアは「好きなハブラシを選びなさい」と言われ、お日さまみたいな黄色いハブラシにサミーと名づけ、毎朝毎晩サミーで歯を磨きました。しかし、おかあさんは毛先がグシャグシャになったサミーを捨ててしまったのです。
ゴミ収集車の中にはさまざまなプラスチックゴミがいて、まとめられると船に乗せられゴミ集積場に放り出されました。
「ソフィアに会いたい」と思ったサミーは通りがかりの大きなネズミに頼んで川に流してもらいました。サミーは海を進み、お星さまに「北北東に進むといい」と教えられます。そして餌と間違われたアホウドリにくわえられ、ソフィアのうちに連れ帰ってもらえました!
帰ったサミーはハブラシとしては役に立ちません。はたして、どのように使われるようになったのでしょうか?
おすすめポイント
プラスチックでできたハブラシは、基本的には使い捨てです。そしていろいろなプラスチックがまじっていてリサイクルすることも難しいのが現状です。
1本のハブラシは大体3,4か月しか使わないので人は一生でハブラシを300本くらい使うのだそう。
サミーはもう歯を磨いてあげることはできないので、ソフィアに違うお仕事を見つけてもらいました。サミーは「つかってもらえないと、だれかに 大事にしてもらわないと ぼくたちは みんな、ゴミになってしまうんだよ」と言います。
一昔前までは1つの物は大事に「使い切る」ことが当たり前でしたが、プラスチック製品は使い捨てられることが一般的です。環境を守るために、まずは1つの物を大事に使い切ること、そして竹のハブラシなどプラスチック製ではないものに替えるなど、環境を守りながら生活するために、私たちが何を意識すべきか示唆してくれる絵本です。
プラスチック星にはなりたくない! 地球のためにできること
小学校低学年~
「プラスチック星にはなりたくない! 地球のためにできること」
作・絵/ニール・レイトン 訳/いわじょうよしひと 日本語版監修/高田秀重
ひさかたチャイルド 1,760円
あらすじ
プラスチックはどんな形にもどんな色にもできるのでとても便利。ですので、私たちの身の回りにはプラスチック製品があふれています。
しかし、プラスチックは“生分解”できないことが厄介なところ。生分解とは微生物によって自然界に還ることですが、それができないプラスチックは、日光や雨風にさらされボロボロになり小さなかけらとなります。特に5㎜より小さなかけらはマイクロプラスチックとよばれ、これが大きな問題となっています。
海に流れ込んだマイクロプラスチックは海の生き物に悪影響を与えます。さらには、小さな魚が口にし、その魚を大きな魚が食べ、最後その魚を人間が食べることにもなるのです。
地球がプラスチックだらけにならないための、リデュース(ゴミをへらすこと)、リユース(再利用すること)、リサイクル(資源として再利用すること)について説明し、どうやって環境を守っていくかを分かりやすく伝えます。
おすすめポイント
20世紀初めにプラスチック製品が作られてから、あっという間に私たちの身の回りのあらゆるものがプラスチックで作られるようになりました。
しかし、分解されないプラスチックゴミは海に流れこんで魚の死の原因ともなり、このままでは2050年の海は魚よりもプラスチックの方が多くなると言われています。
この本では、プラスチックについての理解を深めつつ、その環境への問題点と環境を保護するために多くの人々がプラスチック製品をできるだけ使わないようにするためにどうすべきか、最新のアイデアについても紹介。便利なプラスチック製品に対し、私たち一人ひとりがどう使用していくべきかを考えさせてくれます。
今回はプラスチックがテーマの絵本を紹介しました。
次回は、「笑える絵本」を紹介予定です。(12月公開予定)
お楽しみに。
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