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話題のシリーズが全文無料!(期間限定)『探偵七音はあきらめない』 第4回 色葉を動かす、その理由


【怪盗レッド・少年探偵 響の秋木真さんの贈る、だれも見たことのない新ヒロイン!!】

「名探偵のひとり娘」なのに、夢を認めてもらえない七音(なお)。
天才と比べられても、凹まない。
あたしは、あたしなりに、理想の探偵をめざす――。
信念をもって真実を追う七音ちゃんが、とにかくかっこいい!
話題のシリーズを、このチャンスにぜひ読んでみてね。
(2024年7月31日までの期間限定・全8回)



※これまでのお話はコチラから

8 お嬢さまは、型やぶり!?

「ねえ、響のところにもきた?」
 朝。
 あたしは教室につくと、すぐに響のところに行って確認する。
「ああ。清瀬家からの知らせだろう」
 すでに教室にいた響が、うなずく。
「うちにもきた」
 色葉もやってくる。
「咲希にも、いったよね」
「ああ。昨日のうちに、咲希さんからもこちらに連絡がきた」
 響が答える。
 どういうことかといえば、昨日家に帰ったところに清瀬家の使用人の人から連絡があったんだ。
『明日、ご都合がよろしければ、清瀬家にご招待したいのですが、いかがでしょうか』って。
 えっ、急に明日に招待?
 しかも警察ぬきで、あたしたちとだけ話したい、ってこと!?
 放課後、学校までお迎えにあがりますって。
 警察署で直接、幸人さんと顔を合わせたばかりなのに、いったいなんの用事なのか?
 あの場では、話せなかったこと?
 警察にも、秘密にしたいことがあるとか?
 いろいろと考えたけど、とにかく行ってみるしかない。
 そんなわけで、あたしはワクワクしながら、放課後を待っていたんだ。そうしたら……。
 校舎の出口近くで、すでに予感はしてた。
 やけに外がさわがしいって。しかも校門あたりが。
 そうしたら、学園の駐車スペースに、黒塗りの縦に長い高級車が止まっているのを見つけたの。
 ……びっくりして、思わず足を止めちゃった。
 うちの学園は、お金持ちの家の子もいる。
 だけど、さすがにあんな、いかにも高級ですっていう車は、見たことがない。
 響がかまわずに車にむかっていくので、あたしと色葉もついていく。
「お待ちしておりました」
 執事服の50代ぐらいの男性が、車のわきで、ていねいにおじぎをする。
 それから、車の後部座席のドアを開けてくれた。
 あたしたちは、おずおずと中に乗る。
 ひ、広っ! 車って、こんなに広くていいの?
 高級車の中は、座席がむかい合わせになっていて、広くすわっても2人ずつ、ちょっとつめれば3人ずつはすわれそうだった。
 しかも、座席もふわふわ。
 こんなイスだったら、ずっとすわっていたいかも、って思っちゃった。
 でも、車が走ると、あっという間についたらしい。
「どうぞこちらへ」
 また、執事さんが車のドアを開けてくれて、あたしは車を下りる。
「あっ、七音ちゃんたち」
 先についていた咲希が、小走りにかけよってくる。
 すご――――く心細かった、と顔に書いてある。
 そりゃ、こんな高級な車に乗って、いきなりこんなところに連れてこられたらこわいよね。
「大きいおうちだよね……」
 目の前の巨大なお屋敷を前にして、咲希がたじろいでいる。
 お屋敷は、ブラウンとホワイトをベースにした壁に、左右対称なかたちのお屋敷で、中央が正面玄関になっているらしい。
 映画やドラマで「お屋敷」って見たことあるけど、本物は建物自体に威圧感みたいなものがある。
「すごっ……! 響の家もそうとう立派だと思ったけど、スケールがちがうわね……」
 あたしは屋敷を見上げながら、つぶやく。
「ようこそ、清瀬邸へ。ご案内いたします」
 燕尾服を着た白髪まじりのきりっとした男性が、案内してくれる。
 屋敷の中も、期待を裏切らない豪華さだ。
 床は赤いじゅうたんで、くつのままでいいのか、なやみたくなるような踏み心地だし、壁には高そうな絵画がいくつも飾られている。
 どこもかしこも高級そうだから、さわれない。
 つまずいたりしないように気をつけながら、とにかく、執事さんについていくことにする。
 咲希も同じ気持ちみたい。
 響は、なにも感じてないみたいに、すたすた歩いていくのが、ちょっとしゃくだ。
 意外にも、色葉も、とくに緊張していなさそうに見える。
「こちらのお部屋で、お待ちください」
 執事さんに案内されたのは、教室ぐらいの広さがある、応接間らしき場所。
 ふっかふかのソファに、ガラス製のテーブルが中央におかれている。
 ソファにすわって、部屋を見まわすと、壁の絵画も、テーブルの上の花瓶も、芸術品っぽい。
 そして、天使をかたどった彫刻まで飾られている。
 や、やっぱり、もしこわしたりしたら、大変なことになりそう……!?
 そんなことを思っていると、不意にドアが開く。
 ノックもなく開いたので、おどろいて見ると、そこに、あたしたちより少し年上くらいの子が立っていた。
 黒のチノパンに、白のTシャツ、上からデニムのジャケットっていうカジュアルな服装の……。
 ん? この人は?
「やあ! きみたちがウワサの探偵くんたちか!」
 その人は、気さくな調子で言いながら、おおまたで部屋に入ってくる。
 思わず、あたしたちは顔を見あわせる。
「え~と、どなたですか?」
 あたしは、たずねる。
「ごめんごめん。自己紹介がまだだった。ぼくは理央。清瀬理央だよ。今回のパーティーで祝われる人間さ」
 そう言って目の前のボーイッシュな服装の女の子――清瀬理央さんは、肩をすくめる。
 ……って、ええええっ!?
「祝われる」っていうことは、この子が清瀬家のお嬢様ってこと!?
 まわりを見ると、さすがの響も、おどろいた顔をしている。
「ここにいたのか、理央」
 またドアが開き、今度は昨日も会った幸人さんが部屋に入ってくる。
「あ――ご招待ありがとうございます、清瀬さん」
 響が立ちあがって、あいさつする。
 あたしたちも、あわてて頭を下げる。
「堅苦しくしないでくれ。個人的によびつけてしまって申し訳ない。理央がどうしても、きみたちに会いたいといってね。それに、パーティー当日は、そうそう顔を合わせられないだろうし」
 幸人さんは、肩をすくめる。
「お父さん、本当にパーティーをやるんですか? ドレスは動きにくくて好きじゃないから、中止になってもよかったんだけどなぁ……」
 理央さんは、ため息まじりに言う。
 たしかに今の様子から、この人のドレス姿は、想像がつかないかも。
「慣れてもらわなければ、こまるんだ。それより、今日は探偵たちと会いたかったんだろう」
「あっ、そうだった」
 理央さんが姿勢を正して、あたしたちのほうを見る。
 思わず、あたしも背筋をのばす。
「あのブルースカイは、清瀬家にとっては、とても大事なものなんだ。ぜひ守ってほしい」
 理央さんは、目をきらきらさせながら言って、深く頭を下げてくる。
 清瀬家のお嬢様と言ったら、もっとえらそうでもいいのに。
 年下のあたしたちに、なんのためらいもなく、頭を下げる。
 それだけで、理央さんはすてきな人だな、とあたしは思う。
「「力をつくします」」
 あたしと響の声がそろう。
 絶対に、とは言わない。
 この世に絶対がないってことを知っているのが、探偵だからね。
 だけど、「全力をつくす」ことはできる――くやしいけど、響もあたしと意見は同じか。
「あの、理央さんは、こわいとは思わないんですか……? ご自分が主役のパーティーへの犯行予告を受けているわけですけど」
 咲希が、質問する。
 たしかに、そうだよね?
「そうだね…………正直いうとね」
 真剣な視線で、顔を上げた理央さんに、あたしは思わず、ゴクリとつばを飲みこむ。
「――――すごく興味があるっ! 敵の目的がブルースカイなら、ぼくは教授には会えないかもしれないけど。本当なら、きみたちにずっとついていたいぐらいさ!」
 理央さんが身を乗りだして言う。
 ……ええええ?
 どうやらこのお嬢様は、すてきなだけじゃなくて、相当な変わり者でもあるらしい。
「パーティーや役目をぬけだしたりは、ゆるさないからな」
 幸人さんが、あきれたように、くぎを刺す。
「わかってますよ。さすがにぼくだってわきまえてます。それに、探偵たちの邪魔はしたくないですから」
 理央さんが、少し不満げな顔でうなずく。
「こんな調子で、変わったところのある娘だが、今日はゆっくりしていってくれるとうれしい」
 幸人さんが、やさしい目で理央さんのことを見てる。
 視線だけでも、大切に思っていることが伝わってくる。
「それと、これはきみたちの一般展示の入場チケットだ。警備としてかかわってもらっているが、きみたちに、ぜひゆっくり展示も、見てほしいと思っている。スタッフたちが、気合いを入れて準備したものだからね。――それでは、私はここで。まだ仕事があるから」
 幸人さんは、テーブルの上にチケットをおくと、そのまま部屋を出ていく。
「よーし、うるさいのもいなくなったし。きみたちの話を、きかせてくれないかな! これまでにズバッと解決した事件のこととかさ!」
 理央さんはそう言って、いたずらっぽく笑う。
「話せないこともありますよ」
 響が、たしなめるように言う。
 こうしてると、理央さんのほうが年上なのに、まるで逆みたい。
 うん、探偵には、守秘義務があるもんね。
 守秘義務っていうのは、その仕事をとおして知った秘密を、ほかで話してはいけない、という約束だ。
「話せる範囲でいいからさ! さあ、お菓子や紅茶も、えんりょなくどうぞ」
 理央さんが、テーブルの上に出された、マドレーヌと紅茶のカップをしめす。
 やった!
 さっきからおいしそう! と思っていたんだよね。
 さっそくマドレーヌを、ひと口。
 んんんっ!? す、すごい、おいし~い!
 ほどよい甘さに、こうばしいいい香りがして、口の中でほどける。
「これは、すばらしい茶葉ですね」
 響が紅茶を飲んで、ほほ笑みをうかべてる。
 むっ、かっこつけちゃって。
 そういえば、響は紅茶にうるさいんだよね。
 あたしは、あんまり葉の種類とか知らないんだけど、いろいろあるらしい。
「うちのパティシエは焼き菓子が得意でさ。こっちのマカロンもその人の作だよ」
「いただきます」
 色葉が無表情のまま、さっそく手にとって、マカロンを口にしている。
「おいしい……」
 色葉が感動したように言って、さりげなく次のマカロンにも手をのばしている。
 意外と食いしんぼみたいね。
 あたしたちは、お菓子と紅茶を楽しみながら、学校のことや言える範囲での事件のことを話す。
 理央さんは、前のめりになってきいていたから、気がついたらすっかりくつろいでしまった。
 理央さんは、会社の経営についてや幸人さんの仕事の補佐をしているらしい。
「まだ中学生なのに、会社のことを考えるなんてすごいね……」
 咲希が感心してる。
 たしかに、ふつうだったら縁がないことだよね。
 でも、それが清瀬グループの社長令嬢という立場なのかもしれない。
「会社の組織の1つ1つが、なんのために存在するのか。どんな仕事をしているのか。そして、全員のむかうべき未来は、どちらなのか。上に立つ人間はそれを予想して、今できる手を打たなきゃいけないんだ」
「きくだけで、責任が重そうよ」
 だって、たくさんのおとなや、その家族の未来なんでしょ?
 お嬢様って、もう少しゆったりした生活をしてるのかと思ってたけど……。
「まあたしかに、責任重大だけど、おもしろいんだよ」
 理央さんは、肩をすくめて笑う。
 す、すごい……。
 この理央さんなら、将来は優秀な社長になるのかもね。
 カジュアルな姿だけど、すごくたのもしく見えてきた。
 結局、あたしたちは、日が暮れるまで話をして、清瀬家の車で送ってもらうことになった。
 こんな黒塗りの高級車で、マンションの前につけたら、近所の人がなにごとかと思いそう。
 まあ、パトカーよりは、ぜんぜんいいけどね。


9 色葉を動かすその理由

「いまごろ、公開がはじまってるわね……」
 教室の時計を見ながら、あたしは言う。
 いよいよ、ブルースカイの一般公開がはじまる日がやってきた。
 展示開始は10時だから、お昼休みの今は、もう一般公開がはじまっていることになる。
 展示期間は、今日から1週間。
 予定どおり、あたしたちが警護できるのは、週末の2日だけ。
 一般公開される、平日の5日間は、完全に警察にまかせるって決めた。
 もう決まったことだから、あたしたちが動けるときにがんばるしかない。なんだけど……。
 さっきから、あたしの席の前を、色葉が左にいったり、右にいったりと、落ちつかない様子で歩いているんだ。
「ちょっと色葉、どうしたの?」
 あたしは、色葉にたずねる。
 色葉は足を止めて、あたしのほうを見て、ぐいっと身をよせてくる。
「今日、教授が狙っていて、ブルースカイを持っていかれたらどうしよう」
 色葉が真剣な顔で言う。
「あたしの推理を信じてないの?」
 あたし――そして響の推理は、以前から変わらない。
 教授が狙うのは、週末の2日間だ、というものだ。
「推理は信じてる。けど……」
 色葉は、不安そうな顔をしている。
 あたしたちといっしょに警備に加わることになったとはいえ、どうして、そこまで気にするんだろう。
 もともと、幸人さんから依頼されたのは、響、あたし、咲希の3人だ。
 色葉が、責任を感じすぎる必要はないのに。
「――ねえ、色葉。答えたくなかったらいいけど、色葉は、教授となにか因縁でもあるの?」
 あたしは、声をおさえてきく。
 すると、色葉の動きが、ピタッと止まった。左右を見まわしてから、あたしを見る。
「……場所をうつしていい?」
 あたしは、うなずくと席から立ちあがり、色葉といっしょに教室を出る。
 秘密の話をするのによさそうな場所へ、あたしが案内する。
 教室がある棟とは、はなれた場所にある、理科室や工作室などの特別教室がならぶ棟だ。
「ここだよ」
 あたしは、音楽室の前で立ち止まる。
 中には、ちょうど人もいない。
「勝手に入っていいの?」
 色葉がきいてくる。
「少しだけだし。それにここなら防音もされてるから、大切な話をするにはもってこいでしょ」
 あたしは、わざと明るく言って、音楽室のドアを開ける。
 音楽室の中には、グランドピアノがおかれていて、壁ぎわの棚には楽譜がならんでいる。
「大切……というほどでもない……」
「本人がおいそれと話したくないって思うことは、なんだって大切なの」
 どんなに小さなことでも、秘密にしたいことは秘密だし、すごく重大な話でも、気にせずに話せる人もいる。
 どっちがいいとかじゃなくて、人の感じることって、それぞれちがうものだよね。
 それになにより、色葉の顔が大切なことだって言ってる気がするんだ。
 ここしばらく、いっしょに行動して、色葉の無表情が読みとれるようになってきたような。
「うん。今、七音に話しておきたい」
 色葉が顔を上げて、あたしを見る。
「ありがと」
 あたしは言う。
 色葉がそう思ってくれたことが、うれしいから。
「……お父さんがね、追っていた事件だったの。教授がおこした、盗難事件が」
 色葉は、ためらいがちに話しだす。
 お父さんが……追っていた? 教授のことを??
「お父さんは、刑事なの?」
「探偵……みたいなものかな」
「えっ、そうなの!?」
 あたしはおどろく。
 まさか、色葉のお父さんの職業が、あたしといっしょだとは思わなかった。
 でも……「みたいなもの」ってなんだろ?
 あいまいな言い方は気になったけど、色葉のお父さんに、がぜん興味がわいてくる。
「もしかして、それで、最初からあたしたちに興味を持ってたの?」
「そう」と色葉がうなずく。
 なるほど!
 やっと、腑に落ちたよ!
 お父さんが探偵だっていうなら、あたしや響に興味を持つのは、自然なことかも。
 そして、「追っていた」っていうことは、色葉のお父さんも、教授をつかまえられなかったってこと……。
「教授のゆくえを辿るのはほぼ不可能だからね。一度犯罪現場から姿をくらましたら、次に現れるときまで、見つかったことはないから」
「わかってる。警察もずっと指名手配をしていても、見つけられない。だから――」
「……それで、色葉のお父さんは?」
 あたしは、色葉の言い方から、うすうす察しつつも、たずねる。
「病気で亡くなった。お父さんが最後に追っていた事件が、教授の事件」
「そっか……」
 あたしは、静かにうつむく。
 色葉が、教授に強く反応する理由が、これでわかった。
 思い入れがあって、とうぜんだ。
「こんな個人的な理由で、七音たちの捜査についていくのは迷惑かもしれない、とは思う……」
 色葉は、迷った表情をする。
「ううん、そんなことないよ。たしかに、教授に復讐するのが目的だ、とか言われたら止めるけど。そもそも、子どもが教授を追おうとするのも止めたいところだけど……そこは、あたしも人のこと言えないしね。それに……色葉は事件を止めたいんでしょ」
「うん」
 だよね。
 教授をどうにかしたい、っていうだけなら、色葉を止める。
 でも、色葉はそれだけには、見えないんだよね。
「それなら、あたしたちと想いはいっしょでしょ。もし、色葉がまちがえそうになったら、ちゃんとあたしが止めるから。それが秘密を話してくれた、あたしからのお返し」
「ありがとう、七音」
 色葉の声が、ほんの少し、ゆるんだ気がする。
 あたしに話せたことで、少しでも気分が楽になればいいんだけど。
「でも、色葉。どうしてあたしなの?」
「えっ」
 色葉が、目を見ひらいて、あたしを見る。
 あたしは、ちょっと口に出したくなくて、ためらってから、やっぱり言った。
「……だって。教授の事件を追いたいなら、あたしより響のほうが動けるのはわかるでしょ?」
 ……うう。認めたくないけど、事実は事実。
 だって、響はもうプロの探偵として動いているんだ。
「見習い」あつかいのあたしとは、まったくちがう。
 そのとき、色葉が言った。
「どうしてって……探偵七音がいいと思った。七音ならわかってくれると感じたから」
「……!」
 色葉がはにかむように、かすかに笑った!
 そんなふうに表情を変える色葉を見たのは、はじめてだ。
 探偵七音がいい……だって。
 うわあっ。
「そ、そっか。……それじゃ、そろそろ教室にもどろっか」
 あたしは言って、足ばやに音楽室のドアにむかう。
「もしかして……七音、てれてる?」
 色葉がとなりにきて、あたしの顔をのぞきこんでくる。
「て、てれてないから!」
 あたしはわざとツンと顔をそらして言って、ならんで自分たちの教室にむかう。
 よかった。
 話をきけて、少しだけ色葉と近づけた気がする。
 探偵としてのあたしのことを、選んでくれたってことも、すごくうれしい……!
「わたし、がんばるから」
 色葉は決意のこもった表情で、拳をギュッとにぎりしめている。
「うん。あたしもがんばる」
 色葉の想いを、かなえるためにも。
 あたしも、まっすぐ前をむいたまま、こたえたんだ。


第5回へ続く(5月20日公開予定)



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