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ものがたり

大人気の新シリーズ2巻め!「お天気係におねがい!(2) 霧につつまれた林間学校」先行ためし読み連載 第6回

 アメくんのうしろから、三つ編みの女の子があらわれる。

「彼女は同じ二組の、和泉さん。和泉さんは、とくべつな事情があって、雨がふってほしいって願ったんだ」

「とくべつな事情?」

「そんな、すごい事情じゃないの。ただ、カヤックがこわくて……」

 あっ。湖でする、カヤック体験のことだね。

「わたし泳げなくて、水が苦手なの。だからつい、雨がふれば中止になると思って……。ごめん。たのしみにしている子だっているのに」

「和泉さん、あやまることじゃないよ。みんなそれぞれ、こわいものはあるから」

「そうだよ。わたしも、ちょっとこわいし」

 初体験だけど、うまくできる想像ができないもん。

「でもこれで、はっきりしたね。ぼくたちがかなえる天気は、雨だよ」

 アメくんは、うれしそうに言う。うーん。カヤックも、明日の二日目にあるし……。

 和泉さんが、こんどこそ、本物の依頼人でまちがいないかも!

「ちょっとまて。和泉がお願いした神社は、ほんとうにお天気神社か?」

 ハレくんがきびしい顔つきで、前に出てくる。

「街にある、ながーい石階段をのぼった先にある神社でまちがいないか?」

「うん、そうだよ。おばあちゃんに、教えてもらって」

「赤い鳥居があって、四角いさいせん箱があって、白いひもがたれてて……そういう神社だったか?」

 ハレくんったら、じぶんがまちがえたからって。アメくんがまちがえるわけないよ。

「わたし、あんまり周りは見てないの。うす暗い時間に行ったから、ちょっとこわくて」

「えっ、うす暗い時間?」

 なぜか、アメくんがびっくりした声を出す。

「和泉さん、きのう何時に、神社に行ったの?」

「おまつりの、夜の笹のお焚き上げが始まる前くらいかな」

「アメ……」

 ライくんの視線に、めずらしくアメくんがあわてる。そして、

「和泉さん、ありがとう。もどってもらって、だいじょうぶだよ」

 せっかく連れてきた依頼人を帰しちゃった!

「なんでアメくん? せっかく見つけたのに」

「あの子のお願いは、正式に受けつけたものじゃないからだ」

 アメくんより先に、ライくんが答える。

「空たちが願いを聞き逃したのは、昼ごろだった。同じ日、同じ場所について複数の天気の願いがあった場合は、一番初めに聞いた願いをかなえるのが決まりなんだ」

 そんなルールまであるんだ。

「ったく。オレたちに言う前に、ちゃんと確認しろよな。そそっかしいやつだな」

 ハレくんが文句を言うと、アメくんがムッとする。

「もちろん悪かったよ。でも、ハレだけには、言われたくないな」

「はあ? オレだけにって、どういう……」

「二人とも、いいかげんにしろ」

 ハレくんとアメくんの前に、ライくんがけわしい顔で立つ。

「なにをやってるんだ。がんばってさがすのはいいが、確認しなくちゃいけないことは忘れるな。今は人間でも、天気の神さまなんだぞ。もっとしっかりしろ」

 ライくん、おこってる? ううん、イライラしてる……?

「落ちついてさがせ。あせっても、よけいに時間のムダになるだけだ。俺は、じぶんの班にもどるからな」

 ライくんは、さっそうと立ち去る。

 ハレくんとアメくんも言い合いをやめて、じぶんの班のところへもどる。

「わたしたちも、もどろっか」

 ぽんっと、フウくんの肩をたたいた。

「そらりん……いつでも、話を聞いてくれるって言ったよね。いま、いい?」

「もちろん! でも、だいじょうぶ?」

 だって、肩がプルプルふるえてる……。

「だいじょうぶじゃない。おれ、もうダメかも」

 言いながら、フウくんはゆっくりこっちをふり返る。

「!」

 わたしはびっくりして、口をぱくぱくさせる。

 だって、フウくんが、泣いてる……?!


ためし読みはここまで!
この続きは1月7日発売の本『お天気係におねがい!(2) 霧につつまれた林間学校』をチェックしてね。かわいくて楽しいイラストがいっぱいです!


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324009

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