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大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」ためし読み連載 第4回

「フウくん!」

 ハレくんたちと保健室に飛びこむ。

 ベッドのそばに、ライくんが立っていた。フウくんは、頭までふとんをかぶっている。

「ライ! なにがあったんだ⁉ フウはだいじょうぶなのか⁉」

 ライくんは重い表情で、無言でふとんをめくる。すると――。

「みんな、どうしたの? なんかあったの?」

 フウくんは板チョコをかじりながら、きょとんとしていた。どういうこと?

「なんかって……聞いてるのはこっちだ! ぜんぜんっ、だいじょうぶじゃねーかっ」

 ハレくんはフウくんにおこって、それからアメくんをふり返る。

「アメもどういうことだ? たおれたとか、カンちがいするようなこと言って」

「ぼくは、ライから聞いたことを、そのまま伝えただけだよ。フウがカレーを食べてたおれたから、ハレが食べる前に教えろって」

「ライ、大げさだよ~。おれ、カレーがからくてびっくりして、イスから落ちただけじゃん」

「えっ、そうなの? ほんとうに、それだけ?」

「うん。おいしそうなにおい~って一気に食べたら、口の中がヒリヒリしてさあ。でも、こっそり持ってきたチョコで、完全復活!」

 フウくんは身軽に、ベッドからジャンプして下りる。

「ていうことは、お前がさわぎの原因か」

 ハレくんは、ライくんの服のえりをつかんだ。

「オレ、一口も食べてないのに!」

「ああ、間に合ってよかった。たいへんなことになる前に」

 ライくんは、まったく表情を変えない。

「俺たちにとって、給食のメニューは初めて食べるものばかりで、なにが起きるか分からない。フウはたまたまだいじょうぶだっただけで、ハレやアメがたおれていた可能性もあった」

「な、なるほど。わたし、みんなの視線ばっかり気にして、もう少しでハレくんをあぶない目にあわせるかもだったんだ……ありがとう、ライくん」

「空まで真に受けるなっ。ライは、なんでも心配しすぎなんだよ。ったく」

 ハレくんが、どかっとベッドにすわる。

「腹がへるのだって、たいへんだろうが。あーあ」

 さすがのハレくんも、ちょっとしょんぼり。わたしも、お腹が鳴りそうかも……。

 そのとき、保健室にだれかが入ってきた。

「大地、だいじょうぶか?」

「だいじょーぶ、だいじょーぶ」

 深沢先ぱいと中島先ぱい! わたしは気まずくて、いそいでカーテンを閉める。

「なんで閉めるんだよ?」

「しっ。今は、先ぱいたちと顔を合わせられないのっ」

 でも気になって、カーテンのすきまからのぞく。

「先生、いないな。大地のひざ、手当してもらいにきたのに」

「かすり傷だし、いいって。でも、ちょっと休んでこうぜ」

 先ぱいたちはならんで、空いているベッドにすわった。

「大地さあ、さいきん運動会の練習がんばりすぎ。本番前にケガしたら意味ないじゃん。なんで、そんなにがんばるんだよ?」

「んー、もう言ってもいいかな……。おれさ、蓮が転校する前にいっしょに優勝したくて」

 深沢先ぱいの本音に、中島先ぱいの肩がゆれた。

「そうだったのか……。なんにも言わないから、転校のことは気にしてないと思ってた」

「そんなわけない。ぜったい、最高の思い出をつくる。蓮のこと、忘れたくないから」

「……」

「だから言いたくなかったんだよ。お前、すぐに泣くし」

「泣いてないし! てか、おれも優勝する気満々だから。ちゃんと言えよな」

 二人で、照れくさそうに笑い合う。ほんとに、仲いいんだなあ。

「でも優勝するなら、まずは天気の心配しないとな。雨ふったら、中止だし」

「それはだいじょうぶ! おれ、めっちゃお願いしておいたから。さっ、もう行こうぜ」

 話しながら、二人は保健室を出ていく。

「すてきな友情だね。がんばって、晴れにしてあげたいね」

 アメくんがまた感動して、なみだをぬぐう。

 わたしは逆に、どんどん不安になっていく。

「どうしよう? 先ぱい、すごく信じてくれてる」

「あたりまえだ。神さまは、信じてもらえなくちゃ意味がない」

 ハレくんはうでを組んで、わたしを見る。

「それで、空のかなえたい目標は決まったか?」

「考えてはいるんだけど、まだ。はあ。わたしには、熱くなる心がないのかも……」

「そんなことない」

 ハレくんが、はっきり言う。

「だれの心も、熱くなれる。じぶんの気持ちを、かくしさえしなきゃな」

 かくさなかったら……。

 わたしは、みんなの顔色を気にするくせのせいで、気持ちをかくしちゃうことがある。

 そのせいで、熱くなれる目標も見つけられないのかも。

 ちょうど予鈴が鳴った。つぎの五時間目は、社会だ。調べ学習で、話し合いがある。

 ……まずは、かくさない練習をがんばってみようかな。


第5回へつづく


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323736

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