KADOKAWA Group
NEW ものがたり

大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」先行ためし読み連載 第12回

「えっ?」

「分かってるって言うけど、まったく分かってない。なんで、そうなるんだよ?」

 ハレくんは、おこっていた。

「莉子の話を聞いて、どうして晴れにするのを迷うんだよ。空──」

 ハレくんの顔が、さらにけわしくなる。

「ただのビビリにもどったな」

「そ、そんなんじゃないよ!」

 あわてて、ごかいを解こうとする。ハレくん、なにかカンちがいしてるよ。

「わたしはただ、莉子ちゃんのことが心配で……」

「ちがう。お前は、こわがってるだけだ」

 どういうこと? なんで、わたしの話を否定するの?

 気持ちを分かってもらえなくて、だんだんイライラしてくる。

「こ、こわがってるのはハレくんじゃないの?」

 がまんできなくて、つい言い返した。

「はあ? オレがいつ、こわがったんだよ!」

「ずっとだよ。今までぜったいにお願いをかなえてきたのに、わたしのせいで失敗するのがこわいんだよ。だから、莉子ちゃんの気持ちをかんたんにムシできるんだ……。莉子ちゃんは、わたしのだいじな親友なの! ハレくんたちより、ずっとずっとだいじなの!」

 あっ……。あわてて、手で口をふさぐ。

 どうしよう。わたし、ひどいこと言っちゃった。つい、ムキになりすぎて……。

 ハレくんはなにも言わないで、ただわたしを見ている。ほんとうにそう思ってるのか? って心の声が聞こえた気がした。

 わたしだって、こんなケンカしたかったわけじゃないよ。

 ケンカするのだって初めて。今までは、だれともしないように気持ちをかくしてきた。

 でも、かくすなって教えてもらったから。

 わたしが、莉子ちゃんのことを心配する気持ちはかくせない。

 だから、素直に「ごめん」って言えないよ……。

「……わたし、帰る」

 やっと言えたのは、それだけだった。

 くるっと、ハレくんに背中を向ける。そのまま、じぶんの家にむかって走る。

 気持ちはぐちゃぐちゃ。もう、どうしたらいいか分からない。

 雨にまじって、わたしのなみだも、ポタポタ地面に落ちていったんだ。


第13回へつづく


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323736

紙の本を買う

電子書籍を買う

夏休みはつばさ文庫を読もう!




この記事をシェアする

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • LINEでシェアする
ページトップへ戻る