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大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」先行ためし読み連載 第11回

「莉子ちゃん、どうして持ってるの?」

「あ、あの。これは……つ、つくりなおそうと思って……」

「そうなんだ~、なくなったかと思ってびっくりしたよお」

 ほっと、むねをなでおろす。

「あっ、それなら、いっしょにつくる? 柴くんたちみたいに、わたしたちも大きいてるてる坊主をつくろう!」

 莉子ちゃんといっしょにつくるなんて、たのしそう。

 でも、莉子ちゃんの顔は暗い。様子が、いつもとちがう。

「……ねえ、空の天気予報は当たるんだよね?」

 ふるえる声で、そう聞かれた。

「運動会の日、このまま雨にならないかな。あたし、雨で中止になってほしいの」

 びっくりしすぎて、わたしはかたまった。

 莉子ちゃんはあわてて、両手をふる。

「あっ、ごめん。ヘンなこと言っちゃった。気にしないで。じゃああたし、用があるから」

 早足でわたしの横を通って、帰ろうとする。

 かたまってる場合じゃないよ。とっさに、莉子ちゃんの手をつかんだ。

「まって! わたし、ちゃんと聞くから!」

 莉子ちゃんには、なにか言いたいことがある。それなのに、必死にがまんしているみたい。

 このまま、知らないふりなんてできないよ。

「ハレくんほどたよりにはならないかもだけど、聞くよ。莉子ちゃんが言いたいこと、なんでも言って」

「空……」

 莉子ちゃんは、ぐっとくちびるをかむ。しばらくして、ふっと息を吐いた。

「あのね、あたし……ほんとうは、リレーに出たくないの……!」



「えっ……」

「種目決めでお願いされたとき、ことわりたかった。でもことわったら、みんなと気まずくなるかもって思って言えなかった。だってあたし、転校してきて一年も経ってないし」

 話し合いのとき、「女子は莉子ちゃんに決まりだよね」ってみんなに言われて、莉子ちゃんも「がんばるね」ってふつうに答えてた。なんにも、問題ないって思ってた。

「でもね、太陽くんの、柴くんに向かって言った言葉を聞いたとき、ものすごく後悔した」

「そうだったんだ……。でも、なんでことわりたいの? 莉子ちゃん、足速いのに」

「いやな思い出があるの。あたし、前の学校の運動会でもリレーに出たんだけど、バトンを落として負けちゃって……。みんなに、すごくがっかりされた」

 莉子ちゃんが、顔をふせる。

「ちゃんと練習したんだよ? あたし、本番のプレッシャーに弱いところがあるから。失敗しないように、何回も何回も練習したのに……」

 わたしは、思い出してはっとする。

「じゃあ、もしかして。合同練習のとき、顔色が悪かったのは……」

「うん、体調が悪かったんじゃないの。また同じ失敗をしそうでこわかったの。てるてる坊主をとったのも、つくりなおしたいからじゃない。あたしは、みんなみたいに晴れてほしいって思ってないから……運動会なんてきらい。晴れてほしくない……!」

 初めて聞く、莉子ちゃんの弱音。

 いつも、いろんなことを、なんでもないようにこなしているように見えてた。それがかっこよくて、うらやましかった。

 でも、かげでだれよりもがんばってた。そして、傷ついてたんだ……。

「ごめん、ごめんね。空は一位を目指してがんばってるのに、こんなこと言って。あたしのせいで空がこまったらいやだから、言わないって決めてたのに」

 莉子ちゃんは、泣きながらあやまる。

「いいんだよ、いいんだよ。莉子ちゃん、話してくれてありがとう」

 莉子ちゃんの背中を、一生けんめいにさすった。

 運動会をぜったいに、晴れにする。深沢先ぱいのお願いを聞いてから、ずっとそのためにがんばってきた。

 でも、心にブレーキがかかる。

 わたし、明日を晴れにしていいのかな……。


第12回へつづく


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323736

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