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ものがたり

【新シリーズ!】『マス×コン!』先行ためし読み連載 第2回 運命の席替えスタート!


席替えで好きな人の隣をゲットできるのは『?』%!?

算数が超ニガテな詩音は、校長先生が出す《算数ミッション》にクリアしないと、夏休みがぜんぶナシの大ピンチ!! 初ミッションは「席替えで好きな人の隣をゲットせよ」ーーってどこが算数と関係あるの!?
明日学校で言いたくなる、おもしろ算数でミッションコンプリート!
超人気のおもしろショート動画が本になった新感覚シリーズだよ☆

(毎週火曜日更新予定☆全5回)

◆◇◆◇◆登場人物◆◇◆◇◆
 



川原詩音(かわはら・うたね)
算数が超ニガテな小学5年生。算数のことを考えるとうたた寝しちゃうのがなやみ。
 



樫木圭介(かしのき・けいすけ)
詩音のクラスにやってきた転校生。陸上部のエースで超カッコいい。
 



先崎 颯(さきざき・そう)
詩音と家がとなり同士の幼なじみ。いつも詩音にちょっかいを出してくるけど、ほんとうは…?
 



竹長朝陽(たけなが・あさひ)
頼れるクラス委員。でも、目つきがするどいような…?
 



アキト先生
校長先生の代理を名乗る先生。口ぐせは「とんとん」。

【 これまでのお話 】
算数が超ニガテな詩音。
夏休みの存続をかけて、校長代理のアキト先生から《算数ミッション――席替えで好きな人のとなりになるには?――》をもらったけど、なんだか算数っぽくない…?
そんな中、なんだかとってもカッコいい樫木圭介くんが転校してきた!
いつもと違うことが起こりそうな新学期。運命の席替えの結果は…!?

 

2 好きぴのとなりの席になる確率!

 それから、クラスのみんなで講堂に移動して、始業式が始まった。
 教頭先生が、全校生徒の前に出て、校長先生は病気なのでしばらくお休みだって、話してた。
 そんな間にも、わたしの頭の中では、今朝の出来事が、ぐるぐる回ってた。
――校長室のアキト先生と、変なミッション。
――そして、なんか気になる、あの子、樫木圭介……。

 教室にもどってからも、ほかの生徒にかくれながら、樫木くんのようすをうかがう。
 明るい笑顔で、親しみやすそう。まわりの男子にも、女子にも、よく話しかけられてる。
 だけどわたしには……さっき、変なこと言ってたのが、忘れられないんだ。

――ろうかをただ安全に歩いていたのに、ぶつかるなんて、そんな確率ってないよな

 どういう意味なんだろ、あれ……。
 そのとき。
「それでは、くじを、順番に引いてください!」
 という声を聞いて、ハッとした。
「くじ!? なんで!?」
 くじびき、大きらい!
 商店街のくじびきでは、いつもハズレのお菓子だし、お正月のおみくじは、小吉がいいとこ。
 いい結果が出ることなんか、ぜったい、ないんだ。
「今学期の席を決めるためです。学期の初めの日には、いつもやるでしょ?」
 って、竹長さんは、じろっとわたしを見る。
 背が高くて、目つきがこわい、竹長さん……。
 さっき、新しいクラス委員に、決まったんだよね。
 みんなは、竹長さんの前に、1列に並びだした。
 順番に、箱から小さな紙切れを取り出している。
 あそこに、新しい席の番号が書いてあるんだ――。

――席替えで好きな人のとなりになるには、どうしたらいいの? 教えて、とーんとん!

  あれ?
  アキト先生のミッション、このくじ引きのことかも!?
 好きな人って、だれのこと? 仲のいい友だち? それとも………。
「樫木圭介のとなりになりたい、とか、思ってんだろ」
「だっ!」
 見ると、颯のど・アップが目の前にあった。
 いきなり、そばに来るな!
「そんなこと、思ってないよ! ってか、なんで!?」
 こいつのとなりにだけは、なりたくないわっ。
「だってあいつ、転校生だけど、もうすっかり有名人なんだろ」
 樫木くんは、陸上競技界で注目されてる小学生選手なんだって。
 前の学校では、4年生なのに、5、6年生をさしおいて、陸上部のエース。
 だけど、家族の事情で、この町に引っ越してきて……。
うちの学校への入学が決まったのと同時に、陸上部は入部をお願いしたらしい。
「あと、なんか朝から、女子がキャーキャーうるせえし」
 そっか、女子たちも、樫木くんに注目してるのか。
 なんか、やっぱ、カッコいいもんね。
「あっ。あいつの席、決まったな。窓際か、ちぇっ、いいなー」
 副クラス委員さんが黒板に、新しい席順を書きだしてた。
 樫木くん、窓際の2番めだ。となりの席は、まだ、空いてる。
 あんな子の、となりの席になったりしたら――。
 なーーーーんてね。ない、ない、ぜったいない。
「わたしも、くじ、引いてくる!」
「待てよ、オレも行く」
 わたしが列に並ぶと、颯もついてきた。
 列の先頭まで来ると、
「はい、川原さん、どうぞ」
 と、竹長さんが、箱を差し出した。



 「あっ、まっ、待って。集中」
(心をこめて、念じれば、きっといける。集中! 集中すれば、願いはかなう!
 人気のマンガでも、そんなこと、言ってたよね?
 きっと集中力が、アキト先生のミッションの答えだ!
 集中、集中……。竹長さんがにらんでいるけど、気にしない気にしない……)
「……ぅうううう、うりゃっ!」
 で、箱から1枚、紙を取り出した。
「こ、これ……?」
 これが、わたしの新しい席?
  竹長さんは、その紙切れを受け取ると、
「5列、1番めね」
 と、目の前の席順表に、わたしの名前を書き込んだ。
「やだ~、いちばん前かぁ」
 それにもちろん、樫木くんのとなりなんかじゃ、ない。ま、そりゃ、そうだよね……。
 そのとき、
「うわっ、うた、オレのとなり?」
 と、言ったのは――颯。今引いたばかりのくじを、手に持ってる。
「まっ!? まじで!?」
 うるさい颯が、となり? 最悪じゃん!
「もっ、もういちど、くじ引かせて」
「そうはいかないでしょ、くじ引きなんだから。はい、次の人」
 と、竹長さんに言われて、わたしはしぶしぶ、新しい席につく。
 颯も、となりの席にすわった。
「なんでおまえがとなりなんだよー。行き帰りもいっしょだろ。もうおまえ、あきたっつーの」
「わたしだって、同じだよーっ」
 ホント、なぜ、よりによって、ほかでもない、颯がとなりになっちゃったの? 
「あれっ、川原さん、先崎くんのとなりなの? 家もとなりで、席もとなりってこと? めずらしいわねえ、すごい確率ねえ」
 と、餅本先生まで、よけいなこと言ってる!
「ん? 確率?」
 そういえば、あの子――樫木くんも、そんなこと、言ってたっけ。

――そんな確率ってないよな

 確率? 確率って、なに?
 聞いたことあるけど……ぐうぜんとか、そういう意味の言葉だっけ?
 算数の教科書どっかにのってたっけ……それとも、先の学年で習うこと……?
 くじに当たったり、外れたりすることに、関係があるのかな……?
 グウ……。
(ハッ! またねちゃった! 算数のこと考えると、すぐこれだ!)
 目を開けると、餅本先生が、目の前で、うでを組んでた。
「はい、川原さんがねているうちに、終礼は終わりました。今日は授業がないから、もう帰ってくださーい。さようならーっ」
 と、うんざりした様子で、教室を出ていった。
 やばい。このまま帰ったら今学期の席替え終了……ミッション失敗になっちゃうかも!?

<第3回につづく>


席替えで気になる転校生・樫木くんの隣の席になれなかった詩音…。
ミッションは失敗!? と、ということは、夏休みがぜんぶナシになっちゃう!?涙
それだけはなんとか阻止しなくちゃ…!

次回は3月12日更新予定、楽しみにしていてね!

 



【書籍情報】

わたし詩音(うたね)! 算数が大のニガテな小学5年生。

…だけど、校長先生が出す《算数ミッション》をクリアしないと、
夏休みがぜーーんぶナシの大ピンチ!
初ミッションは「好きな人の隣の席をゲットせよ!」
――って、これのどこが算数と関係あるの…!?涙
そんな中、超イケメンで陸上部のスターな転校生・圭介くん
と同じクラスになってドキドキ! クリアすれば
圭介くんの隣の席になれちゃうってこと…!?


企画:あきとんとん 文:こぐれ 京 絵:ももこっこ

定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322951

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