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カービィたちが、力を合わせて温泉で村おこし!? すてきな観光地を作って、メタナイトやドロッチェ、エフィリンたちを招待しよう♪ 2024年3月13日発売予定のつばさ文庫『星のカービィ プププ温泉はいい湯だな♪の巻』の先行ためし読みだよ!
◆第4回
よろず屋のオバチャンがいなくなり、すっかりさびれてしまったサンセット村を救うため、みんなに協力してもらおうと、ワープスターでもどってきたカービィ。
さあ、みんなをドンドンさそっていきましょう!
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みんなで行こう!
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カービィを乗せたワープスターは、あっという間に、デデデ城の近くに帰り着いた。
何人かの住民たちが気づいて、駆けよってきた。
「よぉ、カービィ! どこ行ってたんだよ?」
真っ先にそう言ったのは、バーニンレオ。
チリーも、心配そうに言った。
「デデデ大王も、バンダナ君もいないしさ。他のワドルディたちに聞いてみても、サンセットがどうとか、よろず屋がどうとか、いまいち話がわからなくて」
コックカワサキも言った。
「カービィやデデデ大王が食事に来てくれないから、つまらなかったよ。新しいレシピを考えたから、食べてもらいたかったのに」
カービィは、ワープスターから飛び降りて、元気よく言った。
「あのね、ぼくら、西の果てにあるサンセット村に行ってきたんだよ。サンセット村ではね……」
カービィは、よろず屋がなくなってしまったことや、村人たちが困りきっていることを話した。
「それで、ぼく、村に新しいお店を作ったらどうかなって思いついたんだ。みんなにも、手伝ってほしいんだよ」
「え? 新しいお店……?」
「なんでも売ってる、べんりなお店を作れば、サンセット村のみんなが助かるでしょ。それに、レストランも作って、村をにぎやかにしたいんだ」
「レストラン?」
コックカワサキが、身を乗り出した。
「うん! サンセット村の近くでは、おいしいおさかなが釣れるんだって。だから、コックカワサキに、おいしいおさかな料理を作ってもらいたいんだ」
「わあ、いいね! きっと、この近くにはいない魚が釣れるんだろうね。まったく新しいレシピができそうだ。ワクワクするなあ!」
コックカワサキは、目をかがやかせた。
ナックルジョーが、たずねた。
「コックカワサキの役割(やくわり)はわかるッスけど、オレたちは? 何をするッスか?」
「やることは、たくさんあるよ。看板(かんばん)をかけ替えたり、売り物を準備したり。とにかく、新しいお店を作るんだから、大いそがしなんだよ。みんなに来てほしいんだ」
バウンシーが、ぴょんぴょん飛びはねながら言った。
「おもしろそうね! わたし、お店屋さんごっこ、大好きなんだ。ごっこじゃなくて、本物のお店を作れるなんて、すごく楽しそう!」
集まった住民たちは、ワイワイと声を上げた。みんな、乗り気になってくれたようだ。
と、そこへ。
「新しい店作りか……ヘッ、くだらねえことを考えるぜ」
低い声がした。カービィたちは、そちらに目を向けた。
うすわらいを浮かべているのは、ボンカースだった。
バーニンレオが、小声で言った。
「くだらねえ、だって。あいかわらず、ひねくれてるな、ボンカースは」
すると、ボンカースはギロッと目を光らせて、みんなをにらみつけた。
「……何? 今、オレの悪口を言ったのは、どいつだ?」
「え!? え!? し、知らないぜ!」
バーニンレオは、あわてて、コックカワサキの後ろにかくれた。
ボンカースは、みんなからこわがられている乱暴者。力が強く、ケンカっぱやくて、怒りっぽい。みんなと仲良く遊ぶのがきらいらしく、たいてい一人でうろついている。
集まった住民たちは、ボンカースをこわがってあとじさったが、カービィはおかまいなし。よろこんで、ボンカースに駆けよった。
「わあい、ボンカースも来てくれるの? ありがとう!」
ボンカースは、めいわくそうに首を振った。
「……あぁ? オレが? まさかだぜ。くだらねえ店の手伝いなんて、このボンカース様が、するわけねえだろ」
「そっかぁ」
カービィは、残念そうに言った。
「じゃ、しかたないね。ばいばい、ボンカース」
「…………え?」
カービィがあっさり引き下がったので、ボンカースはひょうし抜けした。
「な、なんだと? 待てよ、カービィ……」
「さっそく、出発の準備をしなくちゃ。ワドルディ隊のみんな、大きなカゴを用意してくれる? ワープスターにくくりつけて、みんなをサンセット村まで運ぶんだ」
「はい!」
ワドルディ隊は、大急ぎでお城の倉庫に向かった。
ボンカースは、カリカリして、カービィをどなりつけた。
「なんだよ、カービィ! てめぇ……オレが必要じゃねえのかよ!」
「来てくれると助かるけど、イヤなら、しょうがないもんね」
「てめぇ、あきらめが早すぎるんだよ! もう少し熱心にさそってみやがれ。ひょっとすると、オレだってよぉ……その気に、なるかもしれねえぜ?」
「ううん、ボンカースがイヤなことは、押しつけたくないもん。あ、カゴが来た。この、おっきなカゴなら、みんな乗れるよ。さあ、乗って乗って!」
カービィは、みんなに手まねきをした。
ボンカースは、顔をまっかにしてわめいた。
「ごるぁぁ、カービィ! てめぇ、オレ抜きで、計画がうまくいくと思ってんのかよ! オレがいなきゃ、失敗するに決まってんぞ、オラ!」
どなりまくっているボンカースをよそに、住民たちは巨大なカゴに乗りこんだ。ワドルディ隊が、太いロープで、カゴをワープスターにくくりつけた。
カービィは、ぴょんとワープスターに飛び乗り、叫んだ。
「じゃ、しゅっぱーつ! みんな、落ちないように、しっかりつかまってね!」
ワープスターはふわりと浮き上がり、みんなを乗せたカゴも宙に浮いた。
ボンカースは、あわててカゴに飛びついた。
「このやろう、カービィ! オレを無視するんじゃねえ……!」
「あ、ボンカース、やっぱり来てくれるの? ボンカースは、やさしいなあ! さあ、行くぞー!」
カービィのかけ声とともに、ワープスターはボンカースをぶら下げたまま、ぐんとスピードを上げた。
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ワープスターは、ひとっ飛びで、サンセット村に到着した。
バンダナワドルディが、笑顔でみんなを出むかえた。
「みんな、来てくれて、ありがとう! 早かったね!」
真っ先にカゴから下りたのは、コックカワサキ。
「カービィから話を聞いたよ。新しいレストランを作るんだってね。ぼく、がんばるよ!」
続いて、バーニンレオやチリーら、おなじみの面々も下りてきた。
「おっ、ここがサンセット村か」
「山の中なんだね。まわりは、木ばっかりだ」
バンダナワドルディは、一人一人に声をかけた。
「おつかれさま、バーニンレオと、チリー。バウンシーも来てくれたんだね。ナックルジョーも、キャピィも、みんな、みんな……えっ!?」
バンダナワドルディは、たじろいだ。
ぐったりとカゴにしがみついている、ボンカースに気がついたのだ。
「ボ、ボンカース!? ボンカースも来てくれたの……!?」
なにしろ、ボンカースは、孤独(こどく)な乱暴者。まさか、手伝いに来てくれるなんて、思ってもいなかった。
ボンカースは、ずっとカゴにしがみついていたせいでしびれた腕をさすり、ドスのきいた声で言った。
「なんだ、てめぇ。オレが来ちゃ、めいわくなのかよ?」
「ま、ま、まさか! 来てくれて、ありがとう、ボンカース!」
バンダナワドルディは、ふるえ上がった。
だれかれかまわずケンカを吹っかけるボンカースを、ワドルディたちは、とてもこわがっている。バンダナワドルディも、ボンカースの前に立っただけで、足がふるえてしまうほどなのだ。
ボンカースは、文句を続けようとしたが、その前にデデデ大王が進み出た。
「来てくれたのか、ボンカース。おまえは腕っぷしが強いから、頼りにしてるぞ」
「……ぬぬ? お、おお。カービィが、どうしてもって言うんでな。いやいやだが、来てやったぜ」
ボンカースは、少し、態度(たいど)をあらためた。
みんなの前では、いばり散らしているボンカースだが、デデデ大王には腕っぷしでかなわないことがわかっているので、おとなしくならざるをえない。
リーファンとチップをはじめ、サンセット村の住民たちは、おどろいた様子で一行を取りかこんだ。
カービィが言った。
「みんな、力を貸してくれるって! よかったね、リーファン、チップ」
「うん! どうもありがとう!」
リーファンもチップも、うれしそうに頭を下げた。
そこへやって来たのは、花の姿をしたラブリー。
ラブリーは、ぐったりとして言った。
「こんなにたくさん、集まってくれるなんて……もうしわけないわ。あたしたちみたいな、ダメな子のために……ううううう」
ラブリーは、しゅんと、しおれてしまった。
カービィが言った。
「そんなこと言わないで。ぼく、おさかなをたくさん釣って、すてきなレストランを作るから……」
「レストランなんて、あたしには意味がないの」
ラブリーは、じわっとなみだぐんだ。
「あたしが好きなのは、おいしい肥料(ひりょう)だもの……オバチャンの店で売ってた、おいしい肥料が食べたいの……ううううっ」
ラブリーは、ますます、しおれてしまった。
バンダナワドルディが、気の毒そうに言った。
「もちろん、肥料も作りましょう。新しいよろず屋を、どんな店にしたいか、みなさんの意見を出してください」
けれど、住民たちは、元気のない表情で言った。
「どんな店って言われても……オバチャンのよろず屋みたいな店だよ」
「おいしいお弁当とか、いいにおいのせっけんとかがほしいんだ」
デデデ大王が、やれやれとばかりに肩をすくめて言った。
「おまえらは、なんでも他人まかせなんだな! そんな気持ちでいる限り、よろず屋はもどって来んぞ!」
「だけど……」
「とにかく、始めるぞ。名付けて、『デデデ大王様のサンセット村ふっこう大作戦』開始だわい!」
カービィが言った。
「『デデデ大王様の』は、いらないよ。『サンセット村に新しいお店を作るぞ! おいしいおさかな料理のレストランを作るぞ! あと、ラーメン屋さんとカレー屋さんとケーキ屋さんと、あと、あと、とにかくたくさん食べ物屋さんを作るぞ大作戦』、はじめー!」
「長すぎッスよ、カービィ……」
チップとリーファンは、みんなを見回して言った。
「それじゃ、まずは会議を始めよう。こっちだよ!」
一行は、村の中心にある元よろず屋に向かって、歩き出した。
たのしいことが大好きなプププランドの住民は、やる気まんまん! ……でも、サンセット村の住民たちは、なんだかしょんぼりとして元気がなさそう……。
村おこしの大作戦、これからいったいどうなっちゃうの!?
次回「デデデ大王の大発見」をおたのしみに!(3月15日公開予定)
『星のカービィ プププ温泉はいい湯だな♪の巻』は2024年3月13日発売予定!
- 【定価】
- 814円(本体740円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046322364
つばさ文庫「星のカービィ」シリーズ10周年! 10年分の大冒険でいっぱいの特集ページだよ!!
『星のカービィ ミュージックフェスで大はしゃぎ!の巻』好評発売中!ためし読みも公開中だよ♪
作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと
- 【定価】
- 814円(本体740円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046322357
大人気発売中『星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』もためし読み公開中!
作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと
- 【定価】
- 1,320円(本体1,200円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- B6判
- 【ISBN】
- 9784041116197
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