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カービィたちが管理センターに到着したとき、ちょうどドックから一隻(せき)の帆船が出航していくところだった。
まっさきにカービィが気づいて、叫んだ。
「あ、あの船! メタナイトたちが乗ってる!」
「何!? むむむ……あいつめ……」
メタナイツたちは甲板に出て、舵を取ったり、望遠鏡であたりを見張ったり、いそがしく動き回っている。メタナイトは船のへさきに立ち、部下たちに指図をしているようだ。
カービィは、大声で叫んだ。
「おーい、メタナイト! どこ行くの!? ぼくらも船を借りるんだ! いっしょに行こうよ! おーい!」
しかし、その声はメタナイトたちには届かなかった。
たとえ届いたとしても、メタナイトは船をとめるどころか、ますますスピードを上げて遠ざかったことだろう。
デデデ大王が、怒りをこめて言った。
「ぬぬぬ! メタナイトめ、ぬけがけをする気だな!」
「え? ぬけがけ?」
「ヤツは、オレ様たちより先に、巨大タコのうわさを聞きつけていたのだ! オレ様たちを出し抜いて、巨大タコをつかまえる気なのだ!」
「えー!? メタナイトも、タコ焼きをねらってるってこと!?」
「ええい、こうしてはいられんわい!」
デデデ大王は、ドタドタと管理センターの建物に走りこんだ。
「船だ! 急いで船を貸せ!」
受付にいた係員をいきなりどなりつけると、係員はおどろいて飛び上がった。
「ええ!? あんたたち、いったい……」
「今、メタナイトが船を借りていっただろう! あいつらより、スピードが出る船を貸せ!」
「あ、ああ……あんたたち、さっきの騎士様の知り合いなのかい?」
係員は、うたがわしそうに、デデデ大王とカービィを見た。
「知り合いではない、ライバルだわい! あいつには、ぜったい負けられんのだ! いいから、とにかく船を貸せ!」
「貸せと言われても……」
係員は、困ったように肩をすくめた。
「まさか、あんたたちも、キングフロッツォを退治しようなんて考えてるんじゃないだろうね? それは、ぜったい無理だから……」
「無理なわけがあるか! ええい、ぐずぐずせずに、メタナイトの船よりスピードの出る船を貸せ!」
係員は、やれやれという表情で、一行を船のドックへ案内した。
「まったく、最近の観光客は、言い出したら聞かないんだから……それじゃ、さっきの騎士様に貸した『夕映えのハーモニー号』と同型の船を使うといい。『朝焼けのメロディ号』っていうんだ。とにかくスピードが出る船だよ」
「おお。出航だ――!」
デデデ大王とカービィ、そしておおぜいのワドルディたちが、急いで『朝焼けのメロディ号』に乗りこんだ。
大きな帆が風をはらんで、港からすべり出て行く。
「待てー! メタナイトー!」
「タコ焼きひとりじめは、ずるいよー! みんなで食べようよー!」
しかし、メタナイトたちを乗せた『夕映えのハーモニー号』は、すでに姿を消していた。
いち早く海へとくり出したメタナイトを追って、船で追いかけるカービィとデデデ大王。巨大なタコ・キングフロッツォをしとめるのは、メタナイトか、あるいはカービィ&デデデ大王チームか!? 大海原の大冒険のつづきは、次回「伝説の大海賊」でチェックしてね! (4月11日公開予定)
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