特殊能力を持った三きょうだいが、人知れず、困っている人を救う!
角川つばさ文庫の人気シリーズ『神スキル!!!』最新7巻が、もうすぐ発売☆
発売前にドドンとイラストつきで、試し読みしちゃおう!
(公開期限:2026年2月27日(金)23:59まで)
めちゃくちゃすごい能力〈神スキル〉を持った神木三きょうだいが通う学園で、文化祭が開幕! お化け屋敷、占い、カフェに演劇……出し物の準備でトラブル続出!? なにより、まひるが実行委員の先輩に恋しちゃった! そんななか、売上金がねらわれて……犯人を追いかけるまひるが大ピンチ。いったいどうなっちゃうの!?
『神スキル!!! ようこそ! 恋とあらしの文化祭』
(大空なつき・作 アルセチカ・絵)
1月7日発売予定!
4 恋より仕事が大いそがし!?
「それでは、これで帰りのホームルームを終わります」
ガタッ!
わたし、まひるは、先生の話が終わると同時に、さっと席を立った。
ふ~、やっと放課後。文化祭実行委員の、仕事の時間!
荷物をつめておいたカバンを肩にかけると、ポケットからクマの形の手鏡を取りだす。
シャツのえり、髪の毛のリボンの角度、ベストのしわ……うん。ぜんぶオーケー!
「あ、まひるちゃん。シャツのえり、後ろが曲がってるよ」
桜子(さくらこ)が、えりの後ろの折り目をきれいに整えてくれる。
大川(おおかわ)桜子は、小学校一年生のときからのわたしの親友。やさしくて上品で、きれいで……。
天野(あまの)先輩のことだってすぐ相談できるくらい信頼してる、大親友なの。
「うん。これで、だいじょうぶ。すごくかわいいよ。きっと先輩の目にもすてきに映るね」
「ホント うう~っ、桜子。ありがとう!」
桜子が太鼓判を押してくれるなら、こわいものなし!
「クラスの横断幕の手伝いができなくて、ごめんね。みんなにまかせっぱなしで……」
「気にしないで。実行委員のお仕事、がんばってね」
教室を出ていくわたしを見おくりながら、桜子が、手帳を持った手を、笑顔で振る。
そういえば、あの手帳の中……桜子の好きな人の写真が入ってるんだっけ。
けっきょく、桜子の好きな人はだれなんだろ? わたしばっかり応援してもらって悪いなあ。
「いつか教えてくれたときには、全力で応援しなくっちゃ!」
桜子に、ぶんぶんと手を振りかえしてから、教室を飛びだす。
実行委員室は、説明会でも使った会議室。
特別棟の三階にあるから、わたしの二階の教室からは、あっという間だ。
「失礼しますっ!」
ドキドキしながら入った実行委員室には、もう何人かメンバーの姿が見えた。
あれは店舗係の先輩で、あっちは装飾係の一年生だっけ。あとは、となりのクラスの子と――。
天野先輩!
「神木さん、おつかれさま」
天野先輩のさわやかな笑顔に、ドクンと心臓が高なる。
う~~~~、今日もまぶしい! 笑顔がりりしくてカッコいい!
「神木さん、だいじょうぶ? 顔が赤くない?」
「なっなな、なんでもないです! その、ホームルームが終わって、急いで来ただけで!」
なんとかごまかしながら、天野先輩に近づく。
「今日から、準備も本格始動ですね。何から始めたらいいですか?」
「やる気じゅうぶんだね。まずは、これからの流れをオレが説明するよ。でも、その前に……」
天野先輩が、持っていた袋から、文字が入った赤色の布を取りだす。
〈ひのはら祭・実行委員〉――文化祭実行委員の腕章だ。
「はい、これ。神木さんのぶん。実行委員の仕事中は、これをつけてね」
「ありがとうございます! うれしいです。う~ん、どこにつけようかな。みんなから、見えやすいところにしないと……」
「それなら、左腕の真ん中がいいよ。ちょうど、このあたりかな」
天野先輩が、腕に通した腕章を外からつまんで、位置を調整してくれる。
わっ……近い!
天野先輩の手が、シャツごしに、わたしの腕に軽く当たる。
……どうしよう。
ドキドキで、スキルが暴発しそう!
ぎゅっと胸の前で手を組んだとき、天野先輩が、安全ピンで、わたしの腕章を留めつけた。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます!」
このピン……絶対外したくない!
う~、お洗濯、つけたままでできないかな
……とにかく、大切にしよう。
「じゃあ、会計も呼んで、ミーティングをしよう。具体的な仕事内容も説明するね」
会計の先輩が来ると、天野先輩が話し始める。
「まず、オレたちの仕事から。これから、当日まで、実行委員はそれぞれの係に分かれて、ひのはら祭の準備をサポートするよ。ステージ係、広報係、入場門係……とかね」
「委員にも、たくさん係がありますよね。それだけ、やることがたくさんあるってことですか?」
「そうだね。グラウンドと体育館のステージの運営に、学校の外への宣伝、各出し物の進行、投票の集計……予算の管理も、けっこう大変なんだ。百万円単位のお金を扱うことになるから……」
「ひゃ、百万円!?」
そっか。一クラスの予算が三万円でも、全クラス集まれば、かなりの金額になるよね。
ステージもあるし……。
驚いたわたしを見て、天野先輩が笑った。
「オレたち、委員長・副委員長・会計は、委員のサポートをしたり、先生たちと調整したりして、文化祭全体をまとめるのが仕事だよ。みんながひのはら祭を楽しめるように、がんばろう!」
「はい!」
実行委員の仕事をしてると出し物には参加できないから、クラスのリーダーをやればよかったかなって思ったときもあったけど……。
やっぱり、みんなを支える〈縁の下の力持ち〉って、すごくカッコいい。
天野先輩のおかげで、さらにやる気が出てきた!
メモをばりばり取っていると、天野先輩がうれしそうにうなずいた。
「他にも、副委員長には過去の卒業生にあげてもらう気球の準備を担当してもらってる。気球は卒業生があげてくれるから、事前の連絡をしたり、場所の確認をしたりするのが仕事で――」
「あのー、委員長。ちょっといいですか?」
気がつくと、すぐそばに何人かの生徒が集まっている。
実行委員に、クラスや部活のリーダーの人に……もしかして、もう相談に来たのかな?
一番手前にいた店舗係のリーダーの子が言った。
「じつは、中一のクラスがクイズをやりたいそうなんです。きょうだいがいる人から、三年前にやったクラスがあったって聞いて、資料を見たいらしくて」
「三年前か。資料はとってあると思うけど……あの中かな」
天野先輩が、会議室の後ろにつまれた段ボールの山を指さす。ぎっしりとファイルがつまっているのか、少しふくらんでいて重そうだ。ざっと見ただけで、十個はある。
「一つずつ、確認してみようか。ちょっと時間はかかりそうだけど……」
これ、手伝えそう!
わたしは、そっと目を閉じて息を止める。
集中――すると、まるで宙に浮かんでいるような、変な感覚がしてくる。
スキルを使う感覚だ。
目標は目の前にあるから、すぐに視えるはず!
パッ
閉じたまぶたの裏に、今のわたしより少し高い位置からの映像が、鮮やかに映る。
スキルで視ている、リアルタイムの映像だ。
よし、いい感じ。このまま、そーっと段ボールの中を視て……。
一番上の段ボールには、大きなファイルがぎゅっとつまっている。
うす暗くて、視にくいなあ。ファイルの見出しは……一年前。去年の資料かな?
二つ目の段ボールは、五年前の資料。三つ目も違うし……。
あった!
わたしは、パチッと目を開けると、七個目の段ボールを指さした。
「この中に入ってると思います」
「これに?」
天野先輩が、上につまれた箱をゆっくり下ろして、わたしが指さした段ボールを開ける。
中をのぞきこんだ店舗係の子が、目を丸くした。
「あ、あった! 三年前のファイル、これです! でも、なんでわかったのかな……」
ぎくうっ!
マズい。なんとか言い訳しないと!
「え、ええっと、じつは昨日、中を見たんです。過去の資料で予習しておこうと思って……」
「そうだったんだ。助かったよ。神木さん、ありがとう! これなら、だいじょうぶかな」
「いいえ、そんな……えっ。だいじょうぶって、何がですか?」
天野先輩が、キラキラとまぶしい笑みを浮かべて言った。
「実行委員の仕事だよ。進め方を教えようと思ってたけど、もう任せられそうだ。神木さん、ここで、これから来る相談に対応してくれる? オレは、この人たちと学校を回って一つずつ対応してくるよ」
「はい! えっ!? わたしが実行委員室、先輩が学校の中!?」
ってことは、もう先輩と、はなればなれになるってこと~~~~
「あ、あ、あの、わたし!」
「明日からは、交代制にしよう。じゃあ神木さん、よろしくね。よし、行こうか。ええっと、出し物の申請書類が未提出のクラスがある? それなら、まず担任の先生に確認して――」
手を伸ばした先で、天野先輩が実行委員室を出ていくと、残された人たちが、どっとわたしのまわりに集まった。
「レシピの試作で、調理実習室を借りられますか?」「クラスの予算が足りるか不安で……」
「段ボールは、どこでもらったらいいですか? おすすめのお店はありますか」
……そんな。しかも、相談者がもう増えてるー!
「ええっと、調理実習室は、料理研究部と相談するね。予算は、会計の先輩に確認して……」
だ……段ボールがもらえそうなお店は、スキルで探しちゃってもいいかな?
え~ん、実行委員、いそがしすぎ!
これじゃあ恋するヒマもない!?
第5回へつづく
書籍情報
- 【定価】
- 858円(本体780円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046323774
年末年始はつばさ文庫を読もう!