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ものがたり

期間限定『意味がわかると怖すぎる学校の記録』ためし読み 第3回


最後まで読むと……ゾクッ! 親子で楽しめるホラー傑作『意味がわかると怖すぎる学校の記録』のためし読みができるよ! 
学校で起こる異変の数々……一見バラバラに見えるそれらの異変は、やがて一本の線で結ばれ、恐ろしい真実が明らかに!(全3回、毎週火曜日更新予定 ※2026年1月12日23:59までの期間限定公開)



「この学校で起こる異変は全部つながります」――そう言い残して、一人の女子生徒が消えた。
生徒会のメンバーたちは、彼女の行方を追うため、校内で起こる不可解な出来事を調べ始める。
校庭に積み上げられた机の山、給食室で行われる謎の儀式……
一見バラバラに見えるそれらの異変は、
やがて一本の線で結ばれ、恐ろしい真実が明らかになる!

※これまでのお話はこちらから

『あ』は机だけじゃない……『あ』が生き物のように思えて、気味が悪くなってきました。

 僕はドアから校舎の中に入って、踊り場を抜けて階段を急いで下りました。とにかく屋上から離れたくなったんです。

 駆け下りて三階に着くと、膝ひざに手をついて呼吸を整えました。

 さてどうしよう、とうつむいたまま歩を進めるために片足を上げると、

 そこには、マジックで書かれた『あ』がありました。

 あ! あ! あ! あ! と、僕は心の中で叫びながら一階に下りると、下駄箱のある昇降口に足早に向かいました。

 校舎内をうろうろしてたら、警察官に変に怪しまれそうだし、このまま一人でいるのは不安でしょうがなかったので、校庭に行ってみんなの中に交ざってしまおう、って思ったんです。

 異端を脱ぎ捨ててその他大勢になってしまえば、僕もみんなと同じただの中学生なんだから。

 いったん森の中の木の葉になって、落ち着いたら記事をどういう感じで書こうか、と考えたり、みんなに取材インタビューなんかもできるかもしれない。

 それで下駄箱に着いて、「あ!」とまた声を出してしまったんです。

 僕の隣の下駄箱に収まる、S田君の上靴のかかと部分に、『あ』と書いてあったんです。

 それだけじゃないんです。

 

 T山君の上靴にも、N城さんの上靴にも、H 田さんの上靴にも、佐Mさんの上靴にも、A 木君の上靴にも…………ざっと目に入る僕のクラスの三年二組の生徒全員の上靴のかかとの所に、『あ』が書いてありました。


『あ』が丸いフォルムだったせいもあるかもしれませんが、それらが目のように、いっせいに僕の事を見ているように思えたんです。

 僕は怖さをまぎらわせるように、「あ―――っ」と叫ぶと、みんなの靴を下駄箱から引きずり出していきました。

『あ』が僕を敵視している! 

 それなら僕は、自分の身を守るためにも『あ』を記事にしなきゃならない。

 それで、足元に乱雑に転がっているたくさんの上靴を一心不乱にカメラに収めました。


「なにしてるの!」


 急に声をかけられて見ると、そこにはK本さんはじめクラスメイトたちがいました。

「……『あ』が……『あ』が学校を侵食してるんだよ! 秘密を暴く為に記事にしないといけないんだ!」

 僕が必死に訴えると、「何言ってるの? 意味わかんないよT崎君〜」と、K本さんが僕の前に歩み出ました。

 そして僕の耳元で言ったんです。


「あ〜〜〜〜あ。

『あ』は一つでいいんだって。そんなに写真を撮って増やしちゃダメじゃんか」


 え⁇ どういう事??? と思った瞬間。

 僕は保健室のベッドの上で横になっていました。

「大丈夫? T崎君?」

 保健室の先生の心配そうな顔が見えました。

 先生の話によると、僕は、校庭で机を運び出す途中で体調が悪くなったとか。

「え? 屋上? 君はそんな所行ってないよ? 校内放送の指示どおり、みんなで校庭に出たって聞いてるよ?」

 ……屋上に行った事実が無くなっていたんです。

 そんなはずないと混乱していると、枕元に置かれた僕のデジタルカメラが目に入りました。

 撮った写真を見ようと画像フォルダーを開くと、

 全く身に覚えがない、三年二組のクラスメイトのみんなと写る集合写真が、一枚あるだけだったんです。


 その日の昼休み、みんなの上靴を見て回りましたが、かかとにはそれぞれの名字が書いてあるだけでした。

 三階の階段付近も、『あ』の文字は見当たらずで。

 先生に無理を言って立ち会いのもと、鍵を開けてもらって屋上にも出ましたが、ドアには何も書かれていませんでした。

 地面にも文字は無く、代わりに一本のネジが転がっているだけでした。

「T崎〜、もういいか〜?」

 昼休みの時間が減ってしまった先生が、少しいらだったような声を上げるなか、僕は混乱したままフラフラと屋上の柵の前に来ました。

 そして見下ろすと、そこには全ての机が片付けられて殺風景な校庭が広がるのみでした……。

 

 それから僕は、休み時間になるたびに、校内を廻って『あ』を探しています。

 何度も何度もぐるぐるぐるぐる学校中を探しています。

 あのわけのわからない怪奇な出来事、『あ積み謎机怪奇事件』の謎を解くために……。


学校で起こる数々の異変。この調査の先に、何が待っているのか――?
気になる続きは、発売中『意味がわかると怖すぎる学校の記録』で!




作: 狐歪野 ツッコ 絵: 湖西 晶

定価
1,540円(本体1,400円+税)
発売日
サイズ
四六判
ISBN
9784041159514

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