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まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は動物に変身できる! 笑いもトラブルもたえない学校生活の中、まなみたちにしか見えない『見えない卵』が学校で見つかり、周りの生徒が意識を失う事件がおきた! ナゾが解けないままむかえた学校一のイベント・体育祭。ところが、大事件がおきて中止の危機⁉ 体育祭はぜったい中止させない!!!
『放課後チェンジ 最高のコンビ? 嵐の体育祭!』
(藤並みなと・作 こよせ・絵)
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2章 応援団と見えない卵
1 ボスバーガーでハッピータイム
「まなみ、若葉。今日ボスバーガー行かねえ? 新作シェイク出たってさ」
帰りの下駄箱で、尊に声をかけられた。
「あっ、『傾国(けいこく)のメロメロメロンシェイク』でしょ⁉ 飲みたいって思ってた」
ウキウキと答えてから、ハッと息を飲む。
「もしかして、わたしのおごり?」
指輪を見つけてまきぞえにしちゃったおわびに、一年分の新作シェイクをおごれって前に尊に言われたんだよね。尊はニンマリとほおをゆるめて、
「もちろん! ……と言いたいとこだけど、今日はオレがメーワクかけたからチャラにしよう。行成も行くって」
「よかった! 若葉ちゃんはどう?」
「うん、行こうかな」
ボスバーガーに着いて、新作シェイクと、フライドポテトも食べたいな……と思ったけど、おこづかいがあまり残ってなかった。
今日はシェイクだけにするかー。
注文したものを受けとってみんなで席に着くと、行成がわたしのトレーにポテトのLを置いた。
「調理実習の、イシャ料」
「くれるの⁉ わーい。じゃあみんなで食べよう」
もしかして行成、わたしがポテトを欲しそうにしてたの気づいたのかな……相変わらずまわりをよく見てる。
メロン味のシェイクはさわやかで香りがよくて、すごくおいしい!
ポテトも外はカリッとしてるのに中はホクホクで、手が止まらない~。
「シェイクうまっ」
尊も目を輝かせてる……甘党なんだよね。
そして尊は、あーんと大きく口を開けると、とがった犬歯(けんし)が目立つ歯で、ガブリとてりやきバーガーにかぶりついた。
ボスバーガーは尊が大好きなファーストフード店で、尊は来るたびに必ずてりやきバーガーとシェイクを注文する。
食べ物もスポーツ選手もアーティストも、一度好きになったらそればっかり、ずーっと一途。そういうところは、もともと犬っぽいかも。
「行成が飲んでるのは抹茶シェイクだろ。それ、けっこー苦くね?」
「悪くない」
「若葉ちゃんは何をたのんだの?」
「ナッツソースのアボカドチーズバーガー……おなか空いちゃって」
ちょっとはずかしそうにそう言ってから、大きなハンバーガーにパクリとかぶりつく若葉ちゃん。小さな口をいっぱいにして、ほっぺをふくらませてモグモグしてる……かわいいなあ。
「ハンバーガーもすごくおいしそう」
「よかったら味見する?」
「やったー。じゃあ若葉ちゃんも『傾国(けいこく)のメロメロメロンシェイク』をどうぞ」
おたがいに味見して、おいしいねとほほ笑みあう。
「ところで傾国ってどういう意味だろ?」
「国を傾(かたむ)けるくらいの絶世の美女をさす言葉……だよね、行成?」
「ああ。国王がその女に夢中になるあまり、政治をおろそかにして、国が滅ぶような美女をいう。このシェイクの場合、国が傾くくらい魅力的、みたいな意味合いか」
「すげー、大きく出たな。たしかにうまいけど」
「うん! もう何杯でもおかわりしたい」
「太るぞ。まなみにはデブ注意の『警告(けいこく)のメロンシェイク』だな」
「尊はすぐそういうこと言う!」
そんな感じでだべっていたら、ふと、若葉ちゃんが言った。
「そういえば、もうすぐ体育祭だね」
向かいに座ってた尊が「マジ⁉」と身を乗りだす。
「うん、年間予定表に書いてあったよ。明日のホームルームで、係や競技を決めるんじゃない?」
体育祭か~。毎年、尊が大活躍するイベントだ。
小学校の時は必ずリレーの選手で、一昨年なんてアンカーで二人ぬきしてたっけ。
でも……。
「……今年は指輪のことがあるよね。どうする?」
「……んー……」
わたしがためらいながらたずねると、尊は腕を組んで、迷うように瞳(ひとみ)をゆらした。
やっぱり、自分の能力じゃない指輪の力で勝つのはフェアじゃない、と思うのかな?
「体育祭は、祭りだろ」
抹茶シェイクをすすってから、何気ない口調でそう言ったのは行成だ。
「ズルとか考えず、全力で楽しんだらいいんじゃないか?」
「たしかに! 勝ち負けはあっても、年に一回かぎりのものだしね」
「同感。ただ、あんまり人間ばなれした能力を見せちゃうのはキケンだから、そのへんがバレにくそうな競技に出場するのがいいかも」
わたしと若葉ちゃんも賛成すると、尊は目をパチパチしてから、ニッと口元をゆるめた。
「……そうだな! よし、なんか、燃えてきたー!」
声をはずませて、ぐっとガッツポーズをする尊がうれしそうで、わたしもうれしかった。
若葉ちゃんの予想どおり、翌日のホームルームで体育祭についての話し合いが行われて、尊は体育祭実行委員と、応援団にも立候補した。
以来、毎日準備でいそがしそうだ。
「――あーあ、今日は早く帰って、昨日の漣(れん)くんのドラマ見かえそうと思ってたのに……」
小テストの結果が悪くて、九十点とれるまでくりかえしテストをするという英語の補習がようやく終わった放課後。
わたしがひとりごとを言いながら校門に向かっていたら、校庭で応援団が練習をしていた。
ホイッスルの音に合わせて、空手の型のような演舞をやっている。
尊は……いた! 真剣な表情だけど、生き生きとして見えた。
こんな時間までがんばってるなあ……。
なんとなくながめていたら、はあーっと近くから大きなため息が聞こえた。
「体育祭なんて……ほろべばいいのに……」
暗いまなざしでそうつぶやくのは、同じクラスのメガネ女子、梨田希望(なしだ のぞみ)ちゃん。
「体育祭……それは運動神経にめぐまれた選ばれし者たちの残酷(ざんこく)なる宴(うたげ)……。私のようなトロくさい陰(いん)キャはチームの足を引っぱって、ハジとなみだにまみれるだけの地獄のXデー……」
「の、希望ちゃん。運動キライなんだ?」
「斉賀まなみ……あなたのような日向(ひなた)にいる者には、この苦しみは理解できないわ……」
「わたしもドンくさいからリレーでこけて、メーワクかけちゃったことあるよ。でも、体育祭はお祭りだしさ、じっさいの勝ち負けよりも、楽しんだもの勝ちだと思う!」
わたしの主張に、希望ちゃんは、「ふっ」と皮肉っぽく口元をゆがめた。
「表向きはキレイごとを言っても、裏では私のことバカにして笑ってるのよ……!」
「そんなことないって」
「のろまな私の醜態(しゅうたい)を見て、せいぜい楽しむがいいわ……陽キャどもの祝祭のイケニエにささげられしアワレな子羊、それが私……」
ゆううつそうにぼやきながら、去っていく希望ちゃん。
名前は希望なのに、めっちゃ悲観的だ……。
あぜんと見送っていたら、練習が終わったのか、応援団の人たちがこっちの方にわらわらとやってきた。
あ、そこの木にみんな荷物を置いてたんだね。
「尊、おつかれさま!」
「おー、のどかわいたー」
カバンから水とうを出して、ゴクゴクとお茶を飲む尊に近づいたところで、ふと、そばの木の根元に、何かが落ちているのに気づいた。
直後、近くにきた男子応援団員がそれをふみそうになったから、わたしはとっさに声をあげる。
「待って!」
団員はビクッと動きを止め、わたしはすばやくその「何か」を、そっと拾いあげる。
毒々しい紫に黒いマダラもようの……卵……?
大きさは、ピンポン玉くらいだ。
「どうした、まなみ?」
「これが落ちてたんだけど、何かの卵っぽいよね」
尊にわたすと、尊もナゾの卵をいろんな角度からながめて、「だな」とうなずいた。
「なんかブキミな色だよね……」
そう言いながら、わたしが顔をあげると、さっきの応援団員が、キョトンとした顔でこちらを見ていた。
「なあ、これ、なんの卵かわかるか?」
尊がたずねると、団員はまゆをひそめて言う。
「……どれ?」
え?
第6回へつづく(4月4日公開予定)
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