
2024年 新シリーズ売上 第1位の「放課後チェンジ」。
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まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は動物に変身できる! 笑いもトラブルもたえない学校生活の中、まなみたちにしか見えない『見えない卵』が学校で見つかり、周りの生徒が意識を失う事件がおきた! ナゾが解けないままむかえた学校一のイベント・体育祭。ところが、大事件がおきて中止の危機⁉ 体育祭はぜったい中止させない!!!
『放課後チェンジ 最高のコンビ? 嵐の体育祭!』
(藤並みなと・作 こよせ・絵)
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4 尊のスペシャル・クッキング
ひーひー言いながら、なんとか玉ねぎのみじん切りを終えるわたし。
「次はひき肉と玉ねぎをねって、肉だねを作るんだよね、若葉ちゃん」
「……その前にひとつ相談があるんだけど、いい?」
「相談? なに?」
「このごろ、光太郎(こうたろう)のスキキライがはげしくてね。よくご飯を残しちゃうんだけど、特にニンジンは絶対食べてくれないの」
光太郎くんは、若葉ちゃんの五つ下の弟だ。
「だから私、光太郎が食べてくれるようなニンジン料理を作れるようになりたいんだ。光太郎はニンジン入ってるってわかると手をつけないから、ふつうに切ってスープに入れると食べないと思う。でも、ピーマンの肉づめは好きだから、ニンジンをみじん切りにして肉だねにまぜたら食べてくれるかもと思って」
「なるほど! つまり、このニンジンはスープじゃなくて、ピーマンの肉づめに入れたいってことだね」
野菜スープの材料にするつもりで用意していたニンジンを持って、わたしがそう言うと、若葉ちゃんはうなずいた。
「うん。試しに作ってみたくて……いいかな、まなみ?」
「もちろん!」
ありがとう、と笑顔になる若葉ちゃん。チーム㋐でもお姉ちゃんポジションだけど、弟のために料理を作りたいなんて、若葉ちゃん、本当にいいお姉ちゃんだな~。
若葉ちゃんはニンジンを洗ってまな板の上におくと、包丁を持って、ふうっと深呼吸。
あ、なんか、見おぼえある光景。
「斬(ざん)! 斬! 斬! 斬! 斬!」
気合のかけ声とともに、ダイナミックに包丁を何度もふりおろす若葉ちゃん。
やがて、ひたいの汗を手のこうでぬぐいながら、
「できた! みじん切り!」
「でか……カレー用?」
わたしが正直な感想をのべると、若葉ちゃんは「ダメかー」とその場にくずおれた。
ニンジンは乱切りサイズで、しかもやっぱり、切り口は全部ななめになっている……。
「うう、けさ斬(ぎ)りしかできないなんて、格闘ゲームでも弱キャラすぎる……!」
「上級者のしばりプレイみたいだな」
頭をかかえる若葉ちゃんに、ぼそりとツッコむ行成。
「こっちはド素人(しろうと)ですけどね⁉」
うーん、若葉ちゃん、どうしても包丁で細かく切るのはむずかしいみたいだ。
このままじゃせっかくの計画が失敗に終わっちゃう。
でも、家でひとりで作れるようになりたいなら、私が手伝ったら意味ないだろうし……そもそもみじん切りができないなら、ふつうのピーマンの肉づめもムリなんじゃ……。
「――料理の素人(しろうと)でもかんたんに作れるニンジンレシピ、教えようか?」
こまっていたら、そんな尊の声がした。
「ほんと⁉ お願い!」
わたしがすぐにとびつくと、尊は意表をつかれたように目をみはった。
あ、怒ってたんだよね、わたし……でも。
「若葉ちゃんを助けてあげて。そしたら、朝のアレはなかったことにする」
しょんぼりしていた若葉ちゃんが、みるみるほおをほころばせる。
「まなみ……ありがとう。尊、そのレシピ、教えてくれる?」
「まかせとけ!」
尊も笑みを浮かべて、たのもしくうなずいた。
「若葉、ひとまずニンジンはおいといて、玉ねぎを半分、切ってくれ。ざく切りでいい」
「わかった。斬(ざん)! 斬! 斬! 斬!」
野菜スープ用に残していた玉ねぎに、ようしゃなく包丁をふりおろす若葉ちゃん。
「オーケー。じゃあ、さっきのニンジンと玉ねぎを耐熱ボウルに入れて、ラップをしてレンジで五分加熱」
若葉ちゃんが言われたとおりにレンチンしている間に、尊は調理実習室の後ろのたなから、何かを持ってきた。――ミキサー?
「まなみ、これをサッと洗って、組みたてて」
「りょうかいです!」
「このミキサーに、レンチンしてやわらかくなったニンジンと玉ねぎ、牛乳、コンソメの素を入れる。牛乳はオレたちがスープのアレンジ用に持ってきたのを使えばいい。あっ、まなみ、たしか生クリーム持ってきてたよな?」
「あるよ!」
ピーマンの肉づめをスイーツ風にアレンジしようと思って、用意してた生クリーム。
「せっかくだから、これも入れよう。牛乳だけでも作れるけど、生クリームを入れるとコクが出るんだ。ただ、全部入れると味が重たくなるから、牛乳の三分の一くらいの量な」
尊の説明をきいて、若葉ちゃんが材料をミキサーに入れると、最後にスイッチをオン。
ぎゅいーん、とシェイクが始まる。
「野菜のかたまりがなくなって、なめらかになるまで混ぜること。完全に混ざったら、中身をなべにうつして、バターを入れて火にかける。沸騰させないように気をつけて、ひと煮たちしたら、塩コショウで味をととのえる」
できあがったキレイなオレンジ色のスープを見て、思わずグーとおなかが鳴った。
「ニンジンぎらいにもオススメの、ニンジンのポタージュ、いっちょあがり」
尊が歌うような調子で、言う。
「ほんとにかんたん! おいしそう~」

はしゃぐわたしのとなりで、若葉ちゃんが小皿にスープをよそって、味見をする。
「……おいしい! ニンジンのくさみもないし、これなら光太郎も喜んで食べてくれそう」
パアッと顔をかがやかせる若葉ちゃん。よかった!
「ありがとう、尊」
満面の笑みでお礼を言う若葉ちゃんに、尊もうれしそうに「ああ」とうなずいた。