
2024年 新シリーズ売上 第1位の「放課後チェンジ」。
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まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は動物に変身できる! 笑いもトラブルもたえない学校生活の中、まなみたちにしか見えない『見えない卵』が学校で見つかり、周りの生徒が意識を失う事件がおきた! ナゾが解けないままむかえた学校一のイベント・体育祭。ところが、大事件がおきて中止の危機⁉ 体育祭はぜったい中止させない!!!
『放課後チェンジ 最高のコンビ? 嵐の体育祭!』
(藤並みなと・作 こよせ・絵)
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2 見えない卵⁉
ポカンとするわたしと尊を見て、団員はそばにいた他の団員に声をかけた。
「お、おい。神崎(かんざき)の手の上、何かのってる?」
「ん~? ナゾナゾ? 空気、とか?」
「あっ、かかえきれない可能性とか!」
あははは、とノリよく笑う団員たち。
もしかして、わたしと尊にしか、この卵、見えてないの……⁉
仲間たちの反応を見て、卵をふみかけた団員もジョーダンだと思ったようだ。
「だまされたー。二人だけの世界を見せつけんなよ!」
笑いながら、卵をのせて差しだしていた尊の手を、バチーン! えっ、たたいた⁉
ギョッと目をみはるわたしと尊の前で、ぐしゃっとつぶれる卵。
男子団員は、卵を割ったことにも気づいていないようす。
卵の中は、からっぽ……? と思った直後。
『キョロロロ……』と不思議な笛のような音とともに、甘い香りが鼻をついて、頭がくらくら
してきた。
何これ……⁉
まわりにいた応援団員たちが、バタバタとその場にたおれていく。
「くっ……」
尊がひざをつき、わたしも立っていられず、へたりこむ。
そのままバランスをうしなって、わたしと尊も横になった。
応援団員はみんな、意識をうしなっているようで、瞳(ひとみ)を閉じている。
わたしは目はさめているけど、体がピクリとも、動かない……!
尊の顔は見えないけど、同じ状態なのかな?
声も出せないから、無事をたしかめることもできない。
とほうもない恐怖が、全身を襲う。
いったい何が起こってるの……⁉
無限のように思える時間が、じりじりと過ぎていく。
ふいに、ポツン、とほおに冷たいものが落ちてきた。
雨……?
と思ったところで、すっと金しばりのような状態がとけて、体が動くようになった。
同時に尊も上体を起こす。
「まなみ、だいじょうぶか⁉」
「うん……急に体が動かなくなったね」
まわりの応援団員たちも、少しおくれて目をさましたみたい。
ポツポツと雨が降りだす中、みんな不思議そうな顔で起きあがっていたら、「おーい」と少しはなれたところで練習していた野球部の生徒たちが走ってきた。
「たおれてるのが見えたけど、どうした⁉ 何があったんだ?」
そうたずねられたけど、応援団員たちも首をかしげるだけだ。
「おれたちにも、なにがなんだかわからなくて……」
「急に目の前が暗くなったと思ったら、立っていられなくなった」
「……練習が終わったのがちょうど六時だったから、たおれたのは、ほんの数分みたいだな」
時計を見ながら、尊が言う。
数分……もっとすごく、長く感じた……。
話している間に、雨が本格的になってきて、下校のチャイムも鳴ったから、結局わけがわからないまま、その場は解散することになった。
折りたたみガサを持ってきた生徒はそれをさして、カサのない生徒は友だちに入れてもらったり、カバンを頭に乗せて雨の中を走っていったり。
わたしはすぐにでも尊と卵の話をしたかったけど、まわりにもう少し人がいなくなってからじゃないとね。
「尊、カサないの?」
木の下でカバンをあさって顔をしかめる幼なじみを見て、そうたずねると、尊はうなずいた。
「わたしはちゃんと持ってきたよ。えらいでしょ?」
じゃーん、とお気に入りの肉球(にくきゅう)ガラのカサを開く。
「えらいえらい。じゃ、卵の件は、夜に電話するから」
そう言って尊が走って行こうとするから、ビックリした。
「えっ、いっしょに入っていきなよ。風邪(かぜ)ひくよ?」
「ひかないし」
「バカだから?」
「おい」
「今の時期はとくに、万が一でも風邪ひいたらこまるでしょ。卵の話も早くしたいし、いっしょに帰ろう」
わたしの言葉に、尊はしぶしぶうなずいた。
相合ガサがはずかしいのかな……小さい時はそんなことなかったのに。

「尊、肩、めっちゃぬれてない? そんなにこっちに差してくれなくていいよ?」
「二人で入るにはせますぎるんだよ。もっとでかいカサを買え」
「入れてもらってその態度は何⁉」
しとしとと降る雨の中、たしかに二人で一つのカサはせまかった。
でも、カサを持ってくれてる尊ばっかり、ぬれてるみたい……。
もう少しくっつこうと、こっちにばかりカサを差す尊の手を押しながらグッと体をよせたら、 ボン! と尊が黒柴(くろしば)に変身した。
「えっ、なに⁉」
同時にカサが地面に落ちたから、あわてて拾うわたし。
「……オ、オレが犬になれば一つのカサでもぬれないと思って! とっさにキライなものを想像して、変身したんだ!」
「想像だけで変身できたの⁉ すごいね」
わたしたち、大キライなものを見て、ドキッとすることでも変身できるから、変身したい時はそういうものの画像を見たりするんだけど……。
尊は思い浮かべただけで、できちゃったんだ?
ブルブルッと体を振って、ぬれた毛皮の水をはらう黒柴を見ながら、やるなあと感心する。
「いきなりだったからビックリした。でも、たしかにナイスアイディアかも」
「だろ?」
「何を思い浮かべたの? まさかピーマン?」
モフモフの黒柴は「そこまでガキじゃねえ!」と犬歯を見せて怒ってから、プイッと顔をそらした。
「……ヒミツだ」
「えー、ケチ」
わたしは口をとがらせたけど、この犬の姿だと、尊がナマイキでも無愛想でもかわいく見えて、すぐほおがゆるんじゃう。
ぶんぶんとしっぽをふる黒柴にカサを差して、わたしはまた歩きだした。
「――みんなが気を失ったの、絶対、あの卵が割れたのが原因だよね」
まわりに生徒がいなくなったので、さっきの事件をふりかえる。
「ああ。でも、オレは意識はあった。体が全然動かなくなって、あせったけど」
「わたしも同じ! こわかったよね……」
さっきの恐怖を思いだすと、体がブルッとふるえた。
「あと、卵が割れた後に、なんか笛みたいな音と、甘い香りがしなかったか?」
「したした! でも、それもみんなは感じていないみたいだったね」
「オレとまなみにしか見えない卵と、音と、香り。受けた影響にも差がある。ということは――」
うす暗い雨の中で、尊のしっぽの付け根に光る赤の石が、あざやかに目にうつった。
わたしも自分の右手中指のバンソーコーにそっと触れて、うなずく。
「うん。たぶんこの指輪や、悪霊(あくりょう)に関係した事件ってことだね」
つづきは、『放課後チェンジ 最高のコンビ? 嵐の体育祭!』を読んでね!

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